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2004.04.22

セシルの誕生日

cecile.JPG  かけがえのない出会いがある。まだ数度しか会ったことがないが、会えてよかったと心から思える人がいる。セシルという女性である。彼女は月に一度、外国人ばかり10-20人を自宅に招き、一緒に昼食を食べる。困ったことはないか、病気をしていないか、ひとりひとりをまるで、家族のようにあつかってくれる。彼女のおおらかな心に国境はない。食べ物のほとんどは、それぞれが分担して持ち寄るし、後片付けもみんなでするから、考えるほどの負担にはならない。それでも、祖国を離れて暮らす留学生たちにとって、セシルのように、あたたかく受け入れてもらえる場所は多くない。

  昨年のクリスマスイブもセシルの家で17人の仲間たちと過ごした。7時半からセシルとリビア人(イスラム教徒)でミサに行き10時ごろから晩餐を食べた。生牡蠣、七面鳥、ブッシュ・ドゥ・ノエルなどなどのごちそうだった。食後、驚いたことに、ひとりひとりにプレゼントが渡された。私がもらったのは、木のフライ返しだった。さらに彼女の住んでるマンションの住人たちを無作為に20軒選び、ジャムをそっと玄関に置いてくる役目をおおせつかった。まさかプレゼントが用意されてるとは思わなかったので、私はクリスマスカードしか持っていなかった。ほかの人たちは、ちゃんとセシルにプレゼントを渡していて、ちょっと恥ずかしかった。これが、キリストの誕生の喜びをともに分かち合うカトリックの真髄なのだろう。彼女の優しさが心に沁みた。

  彼女のことが、教会が発行している雑誌に載った。その記事を読んではじめて彼女がこういった活動をもう30年以上続けていることを知った。きっかけは、30-50歳のころ、病気がちで、外にあまり出かけられなかったからだという。離れて暮らしている子供たちも一人暮らしの彼女を気遣うので、誰かを家に呼ぼうと考えたのだそうだ。

  4月17日、セシルの70歳の誕生日だった。いつもは外国人ばかりだが、この日ばかりは特別に、遠くに住む子供や孫たち、それからフランス人の友達もたくさん集まった。参加者は「春の花を飾りにつけてくること」と招待状に書かれていたのだが、私はすっかり忘れていたので、外に出てタンポポとマーガレットを摘み小さなブーケにした。総勢100人くらいだっただろうか。はじめて会う人もたくさんいたが、和やかな楽しい午後だった。いつまでも元気でいてほしい。

  セシルからみなさんに伝言がある。彼女はフランスの刑務所に服役中の人に手紙を書くというボランティアをしている。フランス国内に住む日本人の方で、日本語で手紙を書いてくれるボランティアを探している。住所も名前も受刑者には知らせないが、数年間つづけることが条件である。
連絡先 : le courrier de Bovet

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コメント

宙飛行士リック・ハズバンド

投稿: xasa | 2004.04.24 16:25

リック・ハズバンドさんはスペースシャトル「コロンビア」の船長(Commander)だった方。事故で亡くなったのですね。

宇宙から眺めたら、地球はひとつなのに、残念ながら、争いはたえません。

投稿: 市絛 三紗 | 2004.04.25 06:16

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