回転木馬、放火で焼失
いつものように市役所前広場を横切ろうとした。ところが、いつもの回転木馬が、そこにない。市民たちが立ち止まり、じっと見つめる先には、もう二度と子供たちを乗せることのできない木馬が黒こげのまま立っていた。
ひとりの女性がつぶやくように言う。「この木馬はね。1979年からここにあるの。わたしの子供たちも孫たちも大好きだったのよ。オーナーもよく知ってるわ。レンヌの子供たちはみんな彼と友達よ」。お話を聞くとオーナーの家族は全員回転木馬で生計をたてているのだという。「彼の子供たちもお父さんの仕事を誇りに思っているから、この仕事をついでいるのよ」と教えてくれた。
あわてて新聞Ouest-Franceを買った。オーナーはベルナールさん。83歳だそうだ。インタビューが載っていた。「はじめてこの木馬が動きはじめたのは、クリスマスだった。今じゃちょっと古くさいなんて言う人もいるが、このタイプはきのうまでフランスで3つしか残っていなかったんだよ。もう2つだけだ。AngersアンジェにあるMaison Henri Devosで作られたものだった。子供たちにどう説明したらいいんだろう・・・」
出火したのは、29日朝4時すぎだそうだ。木製なのですぐに燃えてしまったらしい。自転車レースの写真を撮った場所から10メートルしか離れていない場所なのだ。おまけに私は昨日も広場を通ったのだが、全く気づかなかったので、本当に驚いた。子供たちは、涙を浮かべていつまでもそこから立ちさろうとしない。
Rennesレンヌは約21万人の人口の半分が学生で、若さゆえの暴走もある。朝4時、5時はちょうど泥酔した学生たちが大声で叫びながら、帰宅する時間なのだ。おまけに数年前から、無職の若者たちがたくさんの大型犬をつれて、市役所前広場の周りにたむろしていて、夜ひとりで歩くのは物騒だと市民たちがいいはじめていた。商店街のショーウインドーは毎日のように割られたり、スペレーで落書きされたりしている。一日に何回もお金をせがまれると、いいかげんにしてと言いたくもなる。
私の住まいは市役所の近くにあって、今はもう夜12時すぎだが、まだまだ外で騒いでいる。警察もすぐ側にあるのだが、そんなことはおかまいなしだ。特に今はMythosというフェスティバルが開催中で、まだ音楽が聞こえている。日本でこんな時間に音楽をガンガン鳴らすなど、考えられないことである。夜中の3時に車のクラクションを数十回も鳴らされて、目が覚めることもある。
放火犯はつかまっていない。この騒ぎをどう思っているのだろう。酔っ払っていたのか、それとも遊び半分だったのか。いずれにしても、許せない。
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コメント
こう言う心無い行為が一番性質が悪いですよね。
ましてや自分から非を認めるのを潔しとしない国民ですから、
はっきりとした証拠や証人がないと犯人も見つからないかも知れない。全く残念なことです。
投稿: ひで | 2004.05.01 22:02
もう今日はすべて撤去され、何もありません。
祝日で木馬に乗るのを楽しみにしていた子供たちが
「どうして」とお父さんに聞いていました。
かわりに張り紙がありました。「Esnault家のために
基金を創設し、新しい回転木馬購入に使ってもらおう
と準備しているので、詳細は来週発表する」
という内容です。
いまさら何を言っても、元にはもどりません。はやく
子供たちが新しい木馬に乗れるよう祈るだけです。
投稿: 市絛 三紗 | 2004.05.01 23:36
最悪です・・・でもパリっ子のテクノ祭りもそんな感じでしたが。以前から思っているんですがマリファナとかふつーに吸ってる若者たち(デファンセしてる)やつらと話すと普段は普通なんだけどやっぱりどっかおかしい。道徳感がなくなるっていうか、無神経。で、すぐ忘れる。と言うわけで薬のせいじゃないかと思うんですが・・・いかかですか?と言うわけで又BLOG見に来ます☆
投稿: りゅう☆= | 2004.12.11 21:16
はじめまして
いざ暮らしてみると、旅行するだけでは気づかないフランスのいいところも悪いところも見えてきます。
約束を守らないフランス人が多いことは確かです。これは若者だけでなく、仕事している人も同じ。こんな時は日本人の几帳面さが懐かしくなりますね。
リンクさせていただきましたので私もおじゃましますよ。
投稿: 市絛 三紗 | 2004.12.11 21:54