ドイツ館・戦争俘虜がもたらした堅い交流の絆
徳島県鳴門市はドイツのリューネブルクと姉妹都市で、活発な国際交流が行われている。ベートーベンの「交響曲第九番」が日本ではじめて演奏された地でもある。
物語は第一次世界大戦下の1917年にさかのぼる。この年、ドイツの租借地であった青島から約4,700人のドイツ兵が俘虜として日本各地の収容所に送られたのである。このうち約1,000人が1917年からほぼ3年間を、板東俘虜収容所で過ごすことになったのだ。この収容所では、戦争という非常時にあっても俘虜たちの人権を尊重し、可能なかぎりの自由を認めていた。
俘虜たちは所内に80軒余りの商店、レストラン、印刷所、図書館、音楽堂などの施設を設け、健康保険組合や郵便局まで持っていた。また、スポーツ、音楽、演劇など文化活動も許されており、100回以上の演奏が行われた。その活動は所内だけにはとどまらず、一般市民とも交流の機会が与えられた。
今でも鳴門市内には、ドイツパンを販売している店があったり、俘虜がつくったドイツ橋も残っている。ドイツ館は1972年に感謝をこめて元俘虜たちから寄贈された資料を展示する施設として建設されたのである。現在のドイツ館は1993年に新築移転されたものである。もう当時の俘虜たちは亡くなってしまったが、その志は子供や孫たちに受け継がれているのだ。
ドイツ館のすぐ近所に四国八十八ヶ所めぐりの第1番札所がある。見知らぬお遍路さんに接待する伝統がここには根付いている。それが直接俘虜たちへの対応に結びついたわけではないが、言葉の壁を越えた心の交流があったことは確かである。
鳴門市ドイツ館
〒779-0225 徳島県鳴門市大麻町桧字東山田55番地の2
TEL(088)689-0099 FAX(088)689-0909
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コメント
すごい
投稿: 辻野渚 | 2004.08.29 09:55
辻野渚さん。はじめまして。
貴重な資料がたくさん展示されていますので、機会があれば、ドイツ館を訪ねてみてくださいね。
投稿: 市絛 三紗 | 2004.08.29 14:08