ブルターニュ関連書籍 その4
今すぐブルターニュのことを知りたいという人のために、よりすぐりの本を紹介します。
ケルトの木の知恵―神秘、魔法、癒し ジェーン・ギフォード 文・写真、井村君江 監訳、倉嶋雅人 訳
この本はThe Celtic Wisdom of Trees Mystereis, Magic and Medicine(Jane Gifford 著)の翻訳です。四季おりおりの風景が美しい写真で紹介されていて、見ているだけで、旅をしたような気分にひたれます。文字をもたなかったはずのケルトにひそかに伝えられたオガム文字と、一年を13ヶ月に区切ったケルトの木の暦。さらに20本の代表的な木にまつわる世界各地の伝説、風習、薬効などがとてもわかりやすく書かれています。
5月1日にスズランをプレゼントする風習がどのようにはじまったのかこの数日いろいろ調べてみました。 在仏熊猫日記に「森の緑豊かな木を取って娘達の家の前に植える」と書かれていたからです。ずっと起源をたどっていくと、やはりケルトまで遡らねばねばならないでしょう。ところが中世の風習となると、書かれていることはまちまちで、一貫性がなくなってくるのです。1560年にシャルルⅨ世がカトリーヌ・ドゥ・メディシスにスズランを贈ったのがはじまりだとか、舞踏会で男性が女性にスズランを贈り愛の告白をしたといったたぐいの話です。でも木を植えるという話は見つけられませんでした。
ケルトの木の知恵 神秘、魔法、癒しに話を戻しましょう。この本によると、4月15日から5月12日まではヤナギの木の月です。ヤナギは魔法や神秘の木でそばにいると霊力や直感が高まると信じられていました。その葉は恋を招くともいわれてきたのです。4月30日から5月1日の夜にかけて、夏の到来を祝うベルティネ祭が行われ、メイ・ポール(5月の柱)としてシラカバやトネリコが用いられたとも書かれています。
ほかにも5月1日に妖精の丘に生えるサンザシの下にすわると、さらわれて二度と帰ってこられなくなるとか、メイ・キングがオークとサンザシの葉でできたリースで飾られた街の中を踊り歩き、メイ・クイーンの心をいとめようとしたともいわれています。またカトリックでは5月は聖処女マリアの月とされていたので、5月にはマリアの像をサンザシの花で飾った「5月の祭壇」が家に設けられたそうです。
ブルターニュのお話もいくつかもりこまれているので、探してくださいね。スズランについても時代によって、また地方によって様々な言い伝えがあるのでしょう。木を植えるというのは、メイ・ポールが変容したものではないでしょうか。もっと詳しい情報がわかれば、お知らせします。
注意
ほかのケルトの暦も存在しています。たとえば「コリニーの暦」(Musée de la civilisation Gallo-Romaine)は連続する62の太陰月と、その間に2つの閏月が刻まれたものです。
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コメント
三紗さん、こんばんは。
トラックバック有難うございました。
色々調べられたんですね。脱帽です。
>1560年にシャルルⅨ世がカトリーヌ・ドゥ・メディシ
>スにスズランを贈ったのがはじまりだとか
シャルル9世の話は僕も聞いたことがありましたが、相手が母親だったとは知りませんでした。幸福のお守りにあげたそうですね。
>木を植えるという話は見つけられませんでした
僕も聞いた話なので、出典など余り詳しくは知りませんが、この木のことを仏語の5月と同じ「MAI」と呼ぶそうです。
語源はローマ神話の中に出て来るゼウスの息子メルクリウスの母親であるマイアMAIAから。カトリックで5月を聖母マリアに捧げるのは「神の子の母」という共通点からとも言われています。そして、このMAIを植える風習は、アルザス地方では13世紀頃から存在しているそうです。
それにしても、5月1日に纏わる色々な言い伝えがありますね。
投稿: ひで | 2004.05.10 05:49
ひでさん。さっそくの情報ありがとうございました。
名前がわかったのでLe petit robertを見たら載っていました。Arbre de mai, que l'on plantait chaque année devant la porte de qqn, en signe d'honneur.
「敬意をあらわすため、毎年誰かのドアの前にmaiの木を植えた」ということですね。でもどんな木なのかはわかりませんので、百科事典を見てみます。
以前クリスマスにモミの木を飾る習慣について調べたことがあります。これもアルザスで16世紀にはじまった習慣でした。ためしにフランス人に「どこの国だと思う」と聞いてみたら、ノルウエー、アメリカなどという答えが返ってきました・・・おもしろいですね。
投稿: 市絛 三紗 | 2004.05.10 06:47