オリンピックと月桂樹
遠い昔、はじめてナイル河が氾濫したとき、大蛇ピュトンが誕生し、人間たちを恐怖におとしいれた。アポロンがおびただしい矢を浴びせかけ退治したのだが、この名声を忘れられないように競技会を制定し、殺された大蛇の名から「ピュティア競技」と呼ぶことにした。競技会で優勝した若者にはすべて樫の葉の冠が授けられた。まだ月桂樹がなかったからだ。
この誉れでおもいあがっていたアポロンはクーピドをからかったので、矢を射ぬかれダフネに恋をする。クーピドはもういっぽうのダフネに恋を忘れさせる矢をはなったので、アポロンを嫌い必死で逃げる。恐怖におののきながらひた走るダフネをどこまでも追いかけてアポロンはやっと彼女に近づいた。その時ダフネは最後の力をふりしぼって父親である河神ぺネイオスに助けを求めた。「わたしの美しい姿を別のものに変えてください」と。すると見る間に彼女の身体は樹皮でおおわれた。
それでもダフネのことをあきらめきれないアポロンは腕に抱きしめ木肌にくちづけるが、木はそれさえもしりぞけるように枝をゆする。アポロンは「妻になれないのなら、これからはわたしの木になってもらう。月桂樹よ、わたしの髪も、竪琴も、矢筒も、つねにおまえで飾られるようになるだろう」と言う。こうしてオリンピックの勝者には月桂樹の冠が与えられるようになったのだ。
このお話はPublius Ovidius Nasoオウィディウス(フランス語名オヴィッド)の転身物語 にでてくる。彼はエレギアという詩型で創作を行っているが、このMetamorphoses転身物語だけはヘクサメトロスという詩型にしている。全15巻、壮大なローマ神話である。「RESPIRATIOラテン語を楽しむために」というホームページのOVIDIANAに彼の経歴が、ラテン語詩の森に解説がある。
ラテン語一口メモ
Laurier 月桂樹をはじめとして木の名前は女性名詞。なぜかというと樹木は果実の母親だから
Laurifier 月桂樹で飾る
Laureola 月桂樹の葉、月桂樹の冠
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