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2005.01.02

ブルターニュ関連書籍 その6

4882028263.09.MZZZZZZZ  今すぐブルターニュのことを知りたいという人のために、よりすぐりの本を紹介します。

   フランス「ケルト」紀行―ブルターニュを歩く 武部 好伸 著  彩流社 2003

  著者がブルターニュを旅して書いた「ケルト」紀行シリーズの第5弾。どれくらいの期間で旅したのか、よくこれだけ短期間で旅したというのが正直な感想。私が行ったことのない場所も数ヶ所ある。たとえばウイスキー蒸留所。それもそのはず、彼がこの蒸留所を訪れたはじめての日本人だったのだから。もしブルターニュを旅行したいなら一度は目をとおしてほしい本。これまでの日本語でかかれているブルターニュの本に紹介されていなかった場所が多数含まれている。

  しかしながら、歴史の記述には勘違いしたと思われる箇所がいくつか見受けられる。ここでは重要な2点だけ説明したい。レンヌの旧高等法院は火災にあったが、市民が焼き討ちしたわけではない。漁民たちが政府の政策に抗議して行ったデモが過激になり、投げた火炎びん状のものがたまたま屋根の上に落下したのが火災の原因ではないかと推測されているが、はっきりと断定はされていない。またナントがブルターニュから切り離され、ロワール地方に編入されたのはヴィシー政権下の1941年である。


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  <民族起源>の精神史 ブルターニュとフランス近代 世界歴史選書 原 聖 著 岩波書店 2003

  「この地の人びとが誇る独特な言語・民俗文化はいにしえのケルト民族に由来するとされる。このような起源認識はいかにして形成されたのか。ヨーロッパ各地の民族起源論・言語系統論,近代フランスの「ガリア」意識,民俗学の誕生などの多様な視点から,民族意識と地域文化の意味をとらえなおす」というのがこの本の趣旨。

  原さんはレンヌ第二大学で研究されたことがあり、巻末についている参考文献にはブルターニュ関係の主だったものが網羅されている。残念ながらお会いしたことはないのだが、友人からいろいろなエピソードは聞いたことがある。本の内容はブルターニュのことを知らない人にもわかるように、過去から現代にいたるブルターニュの位置づけ、そして民族意識の変化などが丁寧に紹介されていて読みごたえがある。

  この2冊をあわせて読めば、ブルターニュが立体的にわかってもらえると思う。このようにブルターニュに関する新刊がでて、少しでも興味をもってくれる人が増えることはとてもうれしいことだ。


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コメント

はじめまして。私も武部さんの本持っています。
妖精とかアーサー王などの記述が多かった記憶がありますが、
私はどちらかと言うと歴史や妖精よりも、
音楽やダンスに興味があるので、こういったジャンルを日本人が取り上げてくださる詳しい本が
その内できるといいのだけれど。。

投稿: ザジ | 2005.01.02 23:04

ザジさん。はじめまして。

音楽やダンスは文章にするのはむずかしいですから、CDかビデオかがいいですね。このあいだLYONの街角で中世の音楽を演奏していたんです。すると、「ブルターニュの音楽ね」なんて声が聞こえ「違う」と声がでてしまいました。イメージだけではわからないですからね・・・

投稿: 市絛 三紗 | 2005.01.02 23:15

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