海と森のブルターニュ
饗庭孝男さんが朝日サンツアーズの旅なかま3月号に海と森のブルターニュという文章を書かれている。
私がとりわけ心惹かれた町は北東部にあるディナンという入江にのぞんだ町で、二階の軒から上が両側から接している程の古い木造の家々が並び、又、石畳の古い道を下ってゆくと、石造の橋がある海辺の家々が立っていた。十九世紀のロマン派の詩人、シャトーブリアンがよく訪れたところである。ブルターニュ地方では古いブルトン語(ケルト系)が用いられている。大学の講義にも国家試験にも使われるから、正しい意味でフランスは二つの言語圏なのだ。私の好きな現代小説にユグナンの『荒れた海辺』がある。兄と妹の愛とこのブルターニュの夏のおわりを描いたもので美しい。 旅なかま3月号
以前にも饗庭さんの著書はブルターニュ関連書籍 その2でフランス・ロマネスクと幻想の都市―ヨーロッパ文化の象徴的空間を紹介したことがあるのだが、ほかにも石と光の思想―ヨーロッパで考えたことの中に、ブルターニュに関する文章があり、そこに前述のユグナンについての記述がある。そこにはユグナンとフルニエに同じ魂の血縁性があったとある。フルニエについて論文を書いたことがあるので、この記述には個人的な思いいれがある。
ほかにもパリ 歴史の風景は擦り切れるほど読んだし、フランス四季暦―春から夏へやフランス四季暦―秋から冬へ、知の歴史学、ヨーロッパ古寺巡礼など、ヨーロッパの文化を洞察した名著がたくさんある。フランス旅行を計画しているなら、饗庭孝男さんと田辺保さんの著書をあらかじめ読むことをお勧めする。
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コメント
ディナン、いつか行ってみたい場所の筆頭に挙がる街です。中世の雰囲気が色濃く残るリゾートっていうイメージですが。近くにブルトン音楽の本場トレゴール・ガロ地方がありますよね?そこら辺に行きたい!パルドン祭やフェスト・ノーズに行きたいです。
投稿: しづ | 2005.03.24 20:31
こんばんは。
饗庭孝男さんの著書、私も何冊か(たぶん10冊以上)読んでいます。
最初に読んだのが「フランス四季暦 春夏/秋冬」でした。これらの本をバイブルにフランスを歩き回りました。今も時々読み返しています。
来月、東京に引っ越すのを機に、念願かなって、饗庭孝男さんの講座「ロマネスク教会とは何か?」を聴講する機会を得ます。月1回6か月間の講座で、6月のテーマがブルターニュとなっています。今からとても楽しみです。
投稿: mouton-ton | 2005.03.24 23:10
しづさん。こんばんは。
トラックバックケルトに遠慮なくトラックバックしてくださいね。
Trégorトレゴールというのは、地域名。
http://tregor.net/tregornet.html
そしてGalloガロというのは、言葉です。ブルターニュではBretonブレイス語とガロ語が話されていました。ブレイス語の方が西の地域です。ガロ語はラテン語の日常語で、もともと違うものです。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.03.25 05:03
mouton-tonさん。こんばんは。
>講座「ロマネスク教会とは何か?」を聴講する機会
いいですね。聴講されたらどんな講座だったのか、ぜひ教えてください。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.03.25 05:08
「ロマネスクとは何か?ブルターニュ編」を聴講して来ました。
ブルターニュ編は6月末だったのですが、講義の直前に京都大学のプルースト研究家吉田城氏が亡くなり、饗庭先生はその葬儀に出席され、その影響からか、スライドを忘れて来られたそうで、スライドは先月末の講義の折に見ることが出来ました。
スライドに費やされるはずだった時間がプラスされ、ブルターニュのロマネスクという枠を大きくはみ出し、ブルターニュの文化の多様性と名付けるべき講義でした。
中でも印象に残っているのが、ブレストの少し東のダウラス(Daoulas)の修道院です。 12世紀に建てられた回廊は三方しか残っていないのですが、その朽ちた雰囲気と、毎年変わりなく咲いているであろう野の花の優しい色彩が、何とも静謐な空間を作り出し、無為な時間をここで過ごしてみたいと思わせられました。回廊中央の水盤に人頭が刻まれ、それが霊が宿ると考えられていた頭部を狩る習慣のあったケルト文化に由来することなどの説明を受けました。また、少し歩くと、素朴な庭が広がっていて、16世紀の小さな礼拝堂があります。あぁ、行ってみたい・・・。
トロノーエンにある最古のカルヴェールは見学したことがあるのですが、そこに刻まれた聖母の胸がはだけていること、それがケルトの大地母神信仰に由来することは、新鮮な驚きでした。
ランレフの円形教会も、そこの僧侶が自らのエルサレム巡礼の折に目にした円形墳墓教会に刺激され、ブルターニュにこんな形状の教会を建ててしまったこと、また長らく放置され、土地の人々からカトリックの教会であると認識されず、異教の建物に対する名称である temple と呼ばれるに至った経緯等、ブルターニュへの思いがかき立てられる講義でした。
饗庭氏の著書は何冊も呼んでいるのですけれど、活字と写真だけではなかなか頭にとどまってくれず、以上のこともきっと著書には書いてあるのでしょうけれど、講義を聴くことで、ようやく内容を理解し始めた気がします。
この講座も残り2回となり、今月はアルザス、来月はプロヴァンスです。その後、饗庭先生は聖母マリアを巡る旅に出られ、来春にはそれについての本を出版する予定とのことです。
投稿: mouton-ton | 2005.08.12 10:44
mouton-tonさん。
詳細を教えていただきありがとうございます。Daoulasのことは、すでに書いたことがありますし、水盤の写真は以下にあります。
http://bretagne.air-nifty.com/anne_de_bretagne/2005/03/la_bretagne.html
投稿: 市絛 三紗 | 2005.08.12 14:54
水盤のお写真を拝見いたしました。
人頭というモチーフはやはり異様な雰囲気を醸し出していますね。晴れた空の下では違和感を、曇り空の下では畏怖を覚えそうです。
Daulas の記述ですが、是非読んでみたいと思い、Googleでサイト内検索をかけたところ、検索結果は表示されるものの、うまくリンク先へ辿り着けず、読めずにいます。
投稿: mouton-ton | 2005.08.12 21:33
こんにちは
Daoulasのことは、ブルターニュ関連書籍 その2でリンク先を紹介してあります。書籍のカテゴリーから見えます。いずれあらためて紹介しますね。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.08.13 18:51