タンザニアの映画 DARWIN’S NIGHTMARE その2
映画の中でテレビの生放送の音声が聞こえてくる。「タンザニアでは200万人が飢えている」と。大人たちにはHIVやエイズが蔓延し人口数百人の村で毎月15人くらいが命を失っている。それが現実だ。
子供たちは、一握りの食料をめぐって取っ組み合いのけんかをする。何しろ食べられなければ死んでしまうのだ。明日の見えない不安を紛らすのは魚を運ぶ籠である。どうするかというと、火で溶かしてシンナーのように吸い込むのだ。そうすれば、道端でもぐっすり寝ることもできるし、昨日あったつらい出来事も忘れられるから・・・
ナイルパーチの輸送には運賃が安く、たくさんの荷物を積み込めるという理由でロシアの航空会社が用いられている。タンザニアの空港に来るときには積荷はからっぽなのだが、ロシアから他のアフリカ諸国に武器を運んでいると、乗務員は重い口を開いた。そしてタンザニアで魚を乗せて世界に運ぶわけだ。
この魚がヴィクトリア湖に放たれたのは60年代のことだった。「タンザニアのナイルパーチの品質管理は完璧だ。この国のため、みんなもっと輸入しよう」とほかの国が応援してきたはずがこの有様だ。儲けたのは一部の企業家と武器商人たちだけだ。仕事を失い夢も希望も見出せない人々は「戦争になればいい」と口にする。
2004年、この映画は数々の国際映画賞を獲得している。欧州ドキュメンタリーグランプリ、パリ環境映画祭グランプリ、コペンハーゲン映画祭グランプリ、などなど。フランスでは3月に上映が開始されたが、メディアはアフリカの現状がよくわかったと書いている。「この映画を見てナイルパーチをこれまでのように飲み込むことは無理だ」Libération
以下その3につづく
ここでこの映画の紹介ビデオが2本見られる。 Voir la bande-annonce n°1をクリックするとビデオがはじまる。
Hubert Sauper 映画監督公式ホームページ
ここでもビデオが見られる。これが一番まとまっている。
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