聖書の人名表記
西洋の文化を学ぶ日本人にとって厄介なのが人名や地名。フランス語を聞いてもそんな名前知らないといつも思うのだが、よく説明を聞いているうちに何となく、もしかすると知っているかもしれないと思いはじめる。けれども確信はないし、特殊な人名はふつうの辞書に載っていないこともあって、正確な情報を見つけるのはとっても大変だ。
はじめに謎だったのが「ジェジュクリ」。「そんな人知らない」と言って馬鹿にされた。Jésus-Christと綴りをみれば、誰だかわかるのだが・・・ 聖書の日本語人名表記は古典ヘブライ語から派生したものが多いのだが、時にはギリシャ語だったりほかの言語だったりするので、日本語で聖書を読んでいても、フランス語表記になると、さっぱりお手上げなのである。前法王ヨハネ・パウロ2世の名前を中心に、辞書Wikipediaから関連する単語を抜き出してみたので下記に列挙する。
イエス
かつての日本のカトリック教会ではラテン語の発音からイエズスという語を用いていたが、現在ではエキュメニズムの流れに沿ってイエスに統一されている。また、英語の発音からジーザス(・クライスト)という表記が用いられることもある。ギリシア語Ιησους(イエースース)の日本語表記。元の語は、アラム語イェーシュア(ישוע Yeshua')=ヘブライ語のヨシュア(イェホーシューア יהושע Yehoshua')。「ヤハヴェ(エホバ)は救い」を意味する。当時のユダヤ社会では普通に見られた名前。東地中海地方ではその後も「イーサー」「イースス」の形でよく用いられる。キリスト
ギリシア語Χριστοςの日本語表記。ヘブライ語メシアの意訳で英語の発音からメサイアなどとも言い、救世主を意味する。(原義は、香油を注がれた者を示す普通名詞)イエス・キリスト
よって「イエス・キリスト」とは「救世主としてのイエス」を意味し、同時にキリスト教徒においては「イエスは救世主である」との信仰告白をも意味する。歴史学等では、歴史上の人間としてのイエスを指す場合は宗教的意味をつけないために「(ナザレの)イエス」を使う。
古典ヘブライ語 古代のヘブライ人の言葉がカナーン語と混じり合ってできあがったものだとされている。ヘブライ語で書かれた最も著名な書物は「ヘブライ語聖書」(キリスト教徒にとっての旧約聖書)である。この言語は当時のオリエント世界の共通語であったアラム語に取って代わられていき、旧約聖書も一部はアラム語で記述された。後の新約聖書の時代においても、イエスは日常的にはヘブライ語とともにアラム語を話したと考えられており、新約聖書にはイエスの言葉として両方の言語の言葉がそのまま記載された箇所がある。紀元70年にユダヤ人の世界離散(ディアスポラ)が起こってからは、ユダヤ教における宗教儀式において使用されるほかは、ラディーノ語、イディッシュ語の中に痕跡を残すのみで一般的な話し言葉としては完全に死語になっていた。
ヨハネ ヘブライ語で「主は恵み深い」を意味するヨーハーナーンが元の形とされるが、ギリシア語ではIóannés (イオーアンネース)、ラテン語ではJohannes(ヨハンネス)、日本語ではヨハネと呼ぶ慣例である。この名は英語でJohn(ジョン)、フランス語でJean(ジャン)、ポルトガル語でJoão(ジョアン)、ドイツ語でHans(ハンス)、ロシア語でIvan(イヴァン)、イタリア語でGiovanni (ジョヴァンニ)
パウロ 「サウロ」とも呼ばれる。古代ローマの属州キリキアの州都タルソス(今のトルコ中南部メルスィン県のタルスス)生まれのユダヤ人。「サウロ」はヘブライ名で、これをギリシア語に直すと「パウロス」となる。 「サウロ」という名前は、『使徒行伝』にもよく出てきており、彼自身「パウロス」と自称することからすると、ディアスポラのユダヤ人のならいでギリシア名とヘブライ名の両方をもっていたのかもしれない。
新法王ベネディクト16世の「ベネディクト」という名は、修道会を創始した聖人に由来する。Benedictus(ベネディクトゥス)がラテン語。Benoît(ブノワ) がフランス語。Benedictだからこの表記は英語読みだと思う。
おまけ
1) ヘブライ語起源の言葉
シェーハール šēkhâr: 林檎酒、シードル cider の語源。
日本語(japlish)サイダーは誤用。
2) 1549年にフランシスコ・ザビエルが日本語約の聖書を持ってきた とされるが現存しない。
1859年、ヘボン来日時に持参したギュツラフ訳が現存するうち もっとも古い。 和訳史 (聖書教会)
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コメント
こんにちわ。久々にカキコです。先日やっとルーブル美術館に行きました。フランス人の友達といったので解説つきでしたw。というのもヘラクレスがエルキュルだったりサモトラケがサモトラスだったり・・・フランス語も原語も日本語も覚えとかないといけないって事ですね。SAINT JEANの絵も沢山ありましたし。(ヨハネ)
投稿: りゅう☆= | 2005.04.22 07:35
こんばんは。
フランス語は何でもフランス風にしてしまうから、はじめて聞くとびっくりします。「モイーズ」って女の子かと思ったら「モーゼ」だった・・・ なかなか覚えられませんね。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.04.22 07:49
謎が解けました!有難う御座いました!
最近も、新聞にべノアって名前がたくさん出ていてなんだろうと思っていたらベネディクトのことだった。(恥)
投稿: colorglass | 2005.04.22 15:57
colorglassさん。こんにちは。
読み方書くのを忘れていたのですが、アクサンがないので、ブノワと読みます。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.04.22 16:48
市條さま
そうですね。ブノワの方がいいですね。
去年、ブルターニュのべノデ(Benodet)に行ったのがなんとなく頭に残っていました。って言っても、最初のeはアクサンつきですね。
投稿: colorglass | 2005.04.23 05:36
こんばんは。
Bénodetという場所は知らなかったので、調べてみました。カンペールの南なんですね。ここにもタラソがあることも発見。
ここから、ちょっと西のLoctudyというところのロマネスク教会を訪ねたことがありますので、横をとおっているかもしれません。
もうひとつ付け加えると、市絛という漢字は特殊なのでふつう出てこないんです。木じゃなくて、糸なんですよ・・・
投稿: 市絛 三紗 | 2005.04.23 05:54
うわああああ、失礼しました、市絛さま。確かに良く見ると「木」じゃない、、、。これからはコピぺします。
べノデは、単に自分の職場の人たちが全員でそこに行ってそれぞれの仕事を紹介して交流を図るというのがあっただけで、ほとんどホテルに缶詰で、その近傍しか見回っていません。でも、ブルターニュの透明で荒涼とした雰囲気は十分に感じることはできました。
投稿: colorglass | 2005.04.23 06:05
聖書の名前が何語なのかはいつも気になっていたのですが、何か一つの言葉に統一されているわけではないのですね。おもしろかったです。
投稿: ふらんす | 2005.04.25 16:53
ふらんすさん。こんにちは。
フランス語の記述をするさい、いつも「語源を明記せよ」といわれ、Robertの3倍くらいある、緑色の語源辞典のお世話に。そこまでする必要ないと思うのですが・・・
投稿: 市絛 三紗 | 2005.04.25 19:35