フランス語版・アーサー王の死

「アーサー王の死」と聞けばたいていの人がTomas Malony トマス・マロリーの名前を思い出すだろう。キャクストン版LE Morte D'Arthur 全21巻が日本語版ではアーサー王物語 5巻として完訳版で発売されたことはすでにここに書いている。
ところが、フランスでLa Mort du Roi Arthur「アーサー王の死」と一般にいわれているのはLa Mort Le Roi Artuなのである。当然作者はトマス・マロリーではない。本の中にはGautier Mapの名前があるのだが、それは一部だけで、全体の作者はわからないままである。書かれた時代もまったく異なっていてフランス語版は13世紀前半、マロリー版は15世紀半ばなのだ。
今週このLa Mort Le Roi Artuを読んでいた。この古フランス語版はフランスではなくスイスで出版されていて、本屋でユーロと交換比率がわからないとさんざん待たされて買ったといういわく付きのもの。古フランス語なのですらすら読めず、現代フランス語訳と読み比べていたのだが、数種類ある現代語訳も、間違いがあったりニュアンスが違っていたりする。これは聖杯探求やランスロの物語が中心となっていて、アーサー王の力がしだいに弱まってゆく過程がえがかれている。残念ながらまだ日本語訳はないはずだ。
すでにフランスでは12世紀後半にChétien de Troyesクレティアン・ドゥ・トロワが一連のアーサー王物語を書いていて、こちらは子供向けの解説書もたくさんでている。アーサー物語にはメルランのような魔法もあやつる預言者や妖精がでてきて、ケルトの伝承がちりばめられているのだが、そこに、聖杯探求というキリスト教の真髄が加わり、独特の世界観が生まれたのだ。

The World of King Arthurのフランス語訳を2年くらい前に買ってもっているのだが、まだ全部は読んでいない。今週これも参考にしたのだが、アーサー王伝説の成り立ちから現代までの変遷が非常によくまとまっているし、カラー図版がたくさんはいっていて、しかも日本で手にはいるのであわせて紹介しておく。
追加情報 (5月12日)
知り合いの翻訳家の方から情報をいただいた。La Mort Le Roi Artuの日本語訳について
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コメント
わあ~、とっても面白そう!読んでみたいなあ~。英語なら頑張って読みたいけど、フ、フランス語はちょっと無理(涙)。大学で勉強したのに、不勉強の故か・・・まあ、しかたないけど。
でも聖杯伝説って興味深いですね。その元になったといわれる「マギノピオン」だったかな?これは日本語あるのに、それ以外の資料はさすがに日本では少ないみたいですね。
投稿: alice-room | 2005.05.08 02:51
こんにちは
欧州でのアーサー人気はゆるぎないものがあります。救世主ですから。
たしかイギリスのチャールズ皇太子もアーサーというミドルネイムを持っていたはずです。
教会の中にもいろいろ浮き彫りが残っているくらいです。
投稿: 市絛 三紗 | 2005.05.08 14:40