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2005.06.19

アーサー王妃物語

  アーサー王妃物語 ローレル・フェラン著 角川文庫 2000

  偉大なるアーサー王の后「グイネヴィア」の生涯を描いた作品だが、非常に異質である。どうしてかというと、作者ローレル・フェランの職業が「過去世退行セラピスト」という耳慣れないものだからである。ローレル・フェランは過去に「グイネヴィア」自身であったと自己催眠で再体験し、それを書きとめた本なのである。輪廻することを念頭において考えないと、すべてがまやかしになる。

  「類希な美しい容貌とカリスマ性をもち、国民を守るためにすべてを捧げた女性、グイネヴィア。これまで明かされなかった、伝説の人物の真実の姿がここに蘇る。」というのが、この本のキャッチコピーの一部である。初版で購入してからずっと保存してあったものを、再度読み返した。

  これまで数種類のアーサー王物語を紹介してきたが、どの妃の記述とも異なる激しい性格であると記されている。ケルトの女神像になぞらえたような戦闘的な態度を常に示し、「不倫」などケルト社会では当たり前のことで、どうしてそれが問題になるのか王妃は理解できないのである。アーサー王との確執の根本的原因がキリスト教とケルトの対立であるとほのめかしている。

  また女性霊能者メレウィンとマーリンとの対比も非常におもしろい。モルガナもいつもおどおどしていて他のバージョンのようにマーリンをあやつるなど、考えられない。もし「ケルトについて考える」に書いたように、「大陸からイギリスにケルトが渡っていない」のだとしたら、この物語は成り立たない。いつもタイムマシンがあれば、時代をさかのぼってみたいと思うが、作者ローレル・フェランの過去の記憶はケルトが英国に存在したことが前提となっている。そう考えればとてもおもしろい。

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