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2005.11.08

フランスの暴動拡大について

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  10月27日、警官に追われた17歳と15歳のアフリカ系移民の少年2人が変電所に逃げ込み感電死したことに端を発して、パリ東北部セーヌ・サンドニ県で若者たちが暴徒化したのがはじまりだったが器物損壊や機動隊との衝突は、全国にひろがり、さらにはドイツやベルギーでも車両の放火が相次いでいる。

  この表は放火された車の台数である。レンヌは20台となっているが、駅の南側だけの数字で、数字はさらに増えて倍以上になる見込みである。レンヌ第二大学のある地域でもゴミ箱や車が放火されたからだ。メールマガジンに書いてきたように、これまでにも数千人規模の乱闘騒ぎが何度も起きているので、それと比較すればレンヌ中心部では目だった動きはなく、いつもよりも静かな週末だった。

  だが全国的にみるとその被害は警察署や公的機関だけでなく、学校やスーパー、スポーツクラブなどにもおよび、見境がなくなってきている。政府はレンヌの例でわかるように、若者たちに水をあびせかけ、催涙弾を投げ、力で抑える方策をとってきた。これらのいわゆる「サルコジスム」については解決にはならないという声も強かった。

  「フランスは揺れている」とメールマガジンに書いてきたことが、ついにおそれていた形で表面化してきた。私がメールマガジンを発行しはじめた時は「若者たちの不満はどの国にでもあるし、取り立てて言うような大したことではない」という意見が多かった。だが毎年確実に若者たちの振る舞いが横暴になっていることは明白だった。何かが狂っている。みんなもう一度考えてみてほしい。

     追加情報

  この亡くなった2人の少年たちの日常生活と、この日何が起こったのかが12月にル・モンドに載ったようですが、この記事Le dernier jour de Bouna Traoré et Zyed Bennaは読んでいません。これを日本語訳してくれているのが「ね式(世界の読み方)ブログ」ブウナ・トラオレとジェッド・ベナの最後の日です。郊外にすむ少年たちの暮らしがよくわかります。
  

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コメント

「フランスは揺れている」とのことですが、日本は不自然に感じるくらい揺れ『ない』という意味で、私は、かつてパリに住んだ者として、フランスが健全な社会を保つ強さを信じています。フランスで何かが狂っているとすれば、日本ではより根の深い何かが狂っていると心配されるところです。

投稿: 目黒もぐら | 2005.11.08 21:16

はじめまして

フランスの社会が移民たちに厳しいのは事実でしょう。差別されていると怒る気持ちはよくわかります。

では差別されたら、仕返しに何をしてもいいのでしょうか。子供が通っている幼稚園がおそわれても「しかたないよ。失業しているんだから」と笑って言えますか。あなたがローンを組んで買ったばかりの車が全焼しても、「ああ。いいよ。僕は働き口があるから」と許せるでしょうか。あなたのお父さんが覆面をした若者になぐり殺されても、黙っているでしょうか。

すでに何も罪のない市民が亡くなっています。覆面をした犯人は逃げて、つかまっていません。路線バスがのっとられ、燃やされています。この地図の数字は今日から乗る車がない人の数です。これは普通のことでしょうか? 私には健全だとは思えないのです。

投稿: 市絛 三紗 | 2005.11.08 23:03

日本でも、若者の何かが狂っているような事件が多くなっていますね。30過ぎの子供のような人も増えてきていますし。
「暴動」と言う分かりやすい形で出てこないのは、日本人の「事なかれ主義」と「先送り体質」に因るモノかなぁ、なんて思ってます。
あるいは、狩猟民族と農耕民族の違いに因るモノですかね?
それとも、「衣食足りて、なまくらになる」?

投稿: yasu | 2005.11.08 23:11

市絛 三紗さん、今晩は。

差別はどこの国にもあるものですが、フランス(特に、コルシカ島)における有色人種に対する差別はなかな厳しいようですね。私のベルベル人の妻は、フランスで生まれ育ち、パリで高等教育(bac+5)を受けましたが、これまでに受けた差別は相当にひどかったようで、「フランスは世界で一番嫌いな国」だといつも云っています。

日本ではフランスの人種差別の現状について報告されることがあまりないので、「若者たちの不満はどの国にでもあるし、取り立てて言うような大したことではない」と考える日本人が多かったとしても無理はないと思います。何せ、フランス在住の日本人は名誉白人意識が強いですから、自分がフランスで差別を受けたことがあったとしても、日本では口を拭って言いません。いかにも自分がフランス語を流暢に話し、フランス人と対等に付き合ったかのような口吻で語るのが常です。

投稿: Tristan | 2005.11.09 02:52

以前テレビ番組で、調査をしていました。ある人が名前を「モハメッド」と名乗り、求人を出している会社に電話をします。すると、「もうほかの人に決まった」という返事。

しばらくして「ピエール」などの偽名で同じ人が同じ会社に電話します。返事は「面接に来てください」というもの。全部の会社がこうではありませんが、名前や住所で判断されてしまうこともあります。

それでも、今回の事件で一般市民の感情をさかなでしてしまいました。一部地域では10時以降外出禁止ですからね。公共バスでさえ、運転手が運転を拒否し動いていないところもあります。

移民で成功した人たちもテレビに出演して、「すぐにやめるよう」説得していました。いったいどうなってゆくのか、わかりません。

投稿: 市絛 三紗 | 2005.11.09 18:31

三紗さま、ご無沙汰しております。あれから書込はしませんでしたが、三沙さんの記事はとても興味深く、また機知に富んだものなので毎日毎日読ませていただいておりました。
私は、三沙さんのメルマガを購読して初めてフランスで暴動の先駆けとなる事件がレンヌの地でも次々と起こっていることを知りました。それまで私はお恥ずかしいことに、フランスは日本では品があって豊かでお洒落な国と認識されているので、「暴動」なんて言葉と接点がないように思っておりました。事実はまったく違っていたのですね。三沙さんが先陣をきってなにかがおかしいと叫ばれておりましたが、遂にそれが爆発し、現実のものとなってしまいました・・・。
暴動を起こしているとされる、同じ世代の若者として一言。
近年、フランスや日本に限らず、世界全体がおかしいと思います。歯車が狂い始めたのは、何も最近のことではなくてずっと前から狂っていたように思います。なにかと「若者が・若者が」と言われがちですが、健全ではない社会を築いてしまったということが一番の問題のように思うのです。なぜそうなってしまったのか、どうしてこんな問題が生まれてしまったのか、その根本を考えていくべきであると思います。

投稿: Lilas | 2005.11.09 23:26

市絛 三紗

>ある人が名前を「モハメッド」と名乗り、求人を出している会社に電話をします。すると、「もうほかの人に決まった」という返事。/しばらくして「ピエール」などの偽名で同じ人が同じ会社に電話します。返事は「面接に来てください」というもの。

私もフランスでそれと同じ経験を何度もしました。まあ、フランスは香水を身に振り掛けた野蛮人の国ですから、仕方がありません。

投稿: Tristan | 2005.11.10 00:38

あっ、間違えました。「市絛 三紗さん、今晩は。」と打つつもりだったのですが、市絛三紗さんのお名前をコピペして、「さん、今晩は。」を加えるのを忘れてしまいました。どうかお許し下さい。m(_ _)m

投稿: Tristan | 2005.11.10 00:42

「青少年が午前2時や3時にひとりで外出できることがおかしい。家族が悪い」という意見もでています。それでも、フランスは日本より家族の絆が強いように思いますが。

メルマガにも書きましたが、「麻薬」というのも、もうひとつのキーワードでしょう。

投稿: 市絛 三紗 | 2005.11.10 04:55

三紗さん、こんにちは。
いつもこちらでは勉強させていただいています。ありがとうございます。

この暴動の件はそろそろ(表面的には)鎮火の方向かなって思っているんですが。でもまだ緊張感はありますね。
昨夜、「フランス人2人+コロンビア人1人+わたし」で会食した時にも国籍や移民の話題となり、コロンビア人としての立場の辛さも少し知ることができました。(ロンドンへ旅行するにもヴィザが必要!って日本人には考えられないような事実。)
今フランスで起きてる暴動、前世代のうちになんとかすべきだったことを先送りにしたため、次世代(子の代)で爆発したという感じがあるのですが、本当に難問ですね、これは。単に「移民差別」と一口に言える問題では無いようですし。

>それでも、フランスは日本より家族の絆が強いように思いますが。
これに関しては、「普通の白人フランス人家庭では」という前置きが必要かな?という気がします。こちらパリ18区住まいですが、郊外付近の18区では「家族の絆」という雰囲気とは遠いイメージの有色人種の地域があります。場合によっては「自分の子どもは保護手当金の金づる」という感じかも。

問題を起こしている若者たちは、ここで生まれて仏国籍を保持している。これは問題解決をさらに難しくしている原因の1つじゃないかなって気がしてなりません。(実際どうなんでしょうかね。)
日本は出生地ではなく、「血」で国籍が決まりますよね。

投稿: yaco | 2005.11.10 16:19

フランスはずっと移民たちにささえられてきました。おじいさんの代まで遡るだけで、約3分の1が外国人。中世まで経歴などをたどると、みんな血がまじっているのではないでしょうか。

王家の歴史をみれば一目でわかりますよね。ヨーロッパはみんな親類ですから。

投稿: 市絛 三紗 | 2005.11.10 20:12

1960年代のワシントンD.C.では,毎年夏になると「黒人暴動」というものが起きました.自動車への放火などが主で,表面上は今回のフランスの暴動に良く似ていますが,黒人暴動のほうが長い抑圧の歴史の末の鬱屈した気分の暴発の加減が強かったように思います.当時の日本のニュースでもよく報道されていました.しかしこの暴動はその後の公民権運動による黒人の権利回復により解消しました.

今回のフランスの若者の暴動は,いわゆる「郊外問題」がさらに進展したものか,それとも別の根がある問題なのか,日本に住んでいる私にはよくわかりません.市條さんが「揺れるフランス」で言いたかったことに深くつながっているようにも思います.

投稿: 俊(とし) | 2005.11.10 21:53

「黒人暴動」とは異なり、アフリカから自分の意思でやってきているのです。賃金は低いかもしれませんが、仕事はありますし、失業手当ももらえます。

どうしても飢え死にしそうになったら、カトリック教会やボランティアが助けてくれます。

それなのにたいした努力せずに政府に要求だけ突きつけ、それでもむしゃくしゃするから、麻薬に手をだしたり、火をつけてうさばらしをしているように感じます。火をつけたのは、移民だけではないと思いますよ。

投稿: 市絛 三紗 | 2005.11.10 23:56

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