クリスマスの思い出
高校生のころ、クリスマスから正月にかけて玩具屋でアルバイトしていた。クリスマスイブは息つく間もないほど忙しかったのだが、帰りにはとても素敵なプレゼントが待っていた。12月24日に仕事をした全員に店長が大きなクリスマスケーキをくれたのだ。それに1月1日にアルバイトすると、お年玉ももらえた。今から考えると粋な計らいだったものだ。仕事を始めてからはクリスマスはいつもとかわらず働いていたからあわただしく過ぎてしまい、考え事をしている暇もなかった。
さて、フランスでのクリスマス。1年目は風邪をひき込んでずっと寝込んでいた。日本人の友人がわざわざ食べ物を持ってきてくれて有難かった。そして2年目のクリスマスを迎えたのが、この写真の建物、le Palais Briauパレ・ブリオーである。ロワール川を下りAngersアンジェとNantesナントのちょうど中間にある。友達の親類が所有していて夏場は博物館およびホテルになっている。敷地面積は18ヘクタールあり庭も美しい。その年、所有者一家はメキシコに出かけていていなかったのだが、親類の人たち10人くらいとここに数日間宿泊した。

天井までの高さが5メートル以上あり、暖房しても寒くてみんな厚着していたことを懐かしく思い出す。それまでこんな大きな建物に泊まったことがなかったので、その規模に少々とまどった。François BRIAUが1854年に建てたもので、当時としては画期的な全館暖房がほどこされていたらしいが、今は機能していない。彼は鉄道のエンジニアとして冨を蓄え、イタリア風のビラを建てたのだ。中央入り口を入ると大きな階段がある。その天井に絵を描いたのはJules DaubanとLenepveuで、パリのオペラ座の装飾も手がけた著名な画家である。
イブの夜はみんなで教会のミサに行き、もどってから夕食を食べた。大きなテーブルに銀食器が所狭しと並び、まるで夢でも見ているかのようだった。毎晩暖炉に火をともし、その前でブリッジをしたり、ビリヤードをしたり、全く日本とは異なる文化を体験したひと時だった。客室は4部屋しかないがどこもゆったりしたつくりで私は薔薇の間に泊めてもらった。
その翌年だっただろうか。ロンドン行きの飛行機に乗って新聞Le figaroを開いたら、PALAIS BRIAUの記事が片面いっぱいに載っていて思わず「ここ知ってる」と言いたくなった。それから友人と一緒に2度訪ねたことはあるのだが泊まったことはなく、クリスマスが近づくとみんな元気かなと思う。娘さんが日本に留学していたこともあるので、日本のことにも詳しくとても親切なご家族である。
昨年はちょうど今頃リヨン、ヌベールと旅していたが、今年はレンヌにずっといる予定だ。原稿がおわっていないので、パソコンの前にずっと座っていることになるだろう。せめてワインでも飲みながらがんばろう。
PALAIS BRIAU ホームページ (フランス語、英語)
Vieilles Maisons Françaises
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