風刺画に対するフランスの論調
フランスの新聞が実際にどのようにこの風刺画を報道したのか、日本語に翻訳して解説してくれている3つのブログを紹介したい。まとめて読めば現在フランスの抱える様々な苦悩が浮き彫りになってくる。
1) fenestraeのムハンマドの風刺画(1)である。読み応えのある長い記事だが、ここで注目してほしいのがLa position de «Libération»『リベラシオン』の立場 という部分だ。
デンマークの新聞、ユランズ・ポステン紙が掲載したムハンマドの風刺画を「陳腐なレベルのものでしかなく、編集部ではだれ一人としてこれを自分たちの新聞の紙面に載せたいと思うものはいなかった」けれど「表現の自由を守る闘いは分裂させてはいけない」ので「普通のときだったら絶対に掲載を受け入れないであろう絵の保証人に嫌々ながらならなければならない」から掲載にふみきったと記述している。
2) L'ECUME DES JOURSの「Caricatures : geopolitique de l'indignation」 par Olivier Royオリヴィエ・ロワによるLe Mondeの記事「諷刺画:憤慨の地政学」には「全ての西洋の国において、現在、表現の自由は制限されている。それは、法律と一定の社会的同意という二つによって制限されているのである」。
また「どんな偉大な新聞も、起訴されることよりも悪趣味であることを恐れて、盲人や小人、同性愛者またはジプシーの諷刺画を掲載しないであろう。しかしイスラムに対する悪趣味は通用するのだ」と延べ、「ヨーロッパのこの大きな顕示が様々な政体と運動から成る同盟との緊張をもたらす。そしてこれら政体や運動はヨーロッパのムスリムを人質にとっているのだ」と続けてゆく。
3) ね式(世界の読み方)ブログのCARICATUERIE -- カナール・アンシェネ記事紹介である。Le Canard enchainéは「それらカリカチュアの大部分はさして面白くもないし、ましてオリジナルなものでもない」が「“愛”と“寛容”の宗教権威が平静を呼びかけ、この凄惨な憎悪のカリカチュア爆発と、暴力と不寛容に終止符を打つまで、もちろんわれわれはこういった主題を嘲笑し続ける」と声だかに宣言しているのである。
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コメント
初めまして。
TB拝受いたしました。ありがとうございます。
しかし、なんと、引用していただいた部分に誤訳がありました。読み直して「なんかおかしいな~」と思い、原文をもう一度確認したら、「悪趣味であることよりも起訴されることを恐れて」ではなく「起訴されることよりも悪趣味であることを恐れて」でした。なんとも面目ないです。
お手数ですが、もしできればこちらの本文中の引用も訂正していただけますでしょうか。申し訳ありません。
何日も誤訳のままネットで曝されていたかと思うと恥ずかしいやら申し訳ないやら…。
ところで、この前のエントリー(「パンドラの箱は開かれた」)で、イスラム系共同体とフランス社会について言及されていますが、新聞記事を参照にしつつ冷静に事実を記述されていて、安心して読ませていただきました。ほっとしたというか、読後感がよかったです。
私も今回の諷刺画事件で、スカーフ禁止法についてもふれようと思ったのですが、結局長くなってしまい、わき道にそれるような気がしたので消しました。でもこのフランス社会におけるイスラム(特にintegrisme)というのは、現在のフランスにおいて重要な問題ですね。
長文失礼いたしました。
投稿: shiba | 2006.02.15 08:03
はじめまして
訂正しておきました。私も書き間違いはしょっちゅうで、いつもこっそり書き直しています。
パンドラのコメントに書いたのですが、あの前半部分は03年に別のところにすでに発表していることの要約なのです。イスラム教徒の友人もいるし、物騒なニュースは聞きたくありません。
投稿: 市絛 三紗 | 2006.02.15 08:26