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2006.02.08

預言者ムハンマド風刺画掲載の波紋

  昨年9月30日、デンマークの新聞社Jyllands-Postenが掲載した預言者ムハンマドの12の風刺画(ここから)をめぐって騒動が起きているのだが、その発端はさらに前にさかのぼらねばならない。私はそのあらましと、デンマーク製品がイスラム諸国からボイコットされている事実を1月31日発行のJapan Mail Media(村上龍さんが編集長)メールマガジンで読んでいた。

  現地に住む造形作家の高田ケラー有子さんが書いた記事だったが、この時はまだフランス国内の新聞には転載されておらず、デンマークやノルウエー以外でこの経過を知る人は多くなかっただろう。その後の経緯については小林恭子さんの英国メディア・ウオッチに詳しく述べられているので、ここでは省略する。

  フランス国内ではFrance Soirフランス・ソワールが2月1日に掲載したが、これは論議の末すでに出来上がっていた紙面を差し替えたものだった。先日書いたように、この記事がエジプト系の社長を憤慨させJacques Lefrancジャック・ルフラン氏解雇につながった。これに驚いたほかのマスコミが「言論の自由」を守るためいっせいに記事にしたので、その波紋はいまや世界中に広がりつつある。

  中東のメディアで風刺画を掲載したのは、ヨルダン2紙とモロッコ1紙、イエメン1紙。どの国でも責任者が逮捕されている。マレーシアの英字紙は週末版で転載したが責任をとって編集長は辞任した。はじめにこの風刺画を描いたデンマークの12人は命の危険を感じ、姿を隠している。

  フランスではするどい風刺が売り物のLe Canard Enchaîné ル・カナル・アンシェネが8日付けでまたまたこのことを皮肉っている。(ここから)。このような状況に欧州委員会は過激な言動は控えるよう呼びかけているが、イスラム教徒の怒りはおさまるどころか過激になってきている。

  中東でデンマークやノルウェー大使館が放火されただけでなく死傷者がでている。風刺画掲載に抗議するデモが6日に行われたアフガニスタンでは、計7人が死亡、数十人が負傷。ソマリア北部で6日、1人が死亡、7人が負傷した。またトルコでは5日に男子高校生が教会内部でイタリア人のカトリック神父を射殺した。

  イスラム教は本来寛容を説く宗教であるはずだ。もう一度原点に戻りそのことを思い出してくれることを切に望む。
  
      追加

  高田ケラー有子さんが7日のメールマガジンで書いているのだが、デンマーク国内でもこの問題はそんなに大騒ぎにならず、表立ったイスラムの反応もなかった。これは年内には沈静化したはずだった。それが掲載後半年もたって死傷者を出すにいたったのはどうしてなのかもう一度考えてみた。

  そこにはフランスをはじめとしたマスコミの過剰報道や、携帯電話によるデマの拡大(「コペンハーゲンの広場で4日、デンマーク人がコーランを焼こうとしている」 というメールが広がった)があったのである。宗教の対立はキリスト教対イスラム教だけに限らず、カトリック対プロテスタントでも流血の惨事が繰り返されてきた。大辞林で「宗教」を探すとはじめに「神仏などを信じて安らぎを得ようとする心のはたらき。また、神仏の教え」と書かれていた。他人を許し友として受け入れなければ双方が傷つくだけである。

  

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» ムハンマド風刺画、文明の対立に新たな火種。――炎上はいつ、止まるのか? [週刊!Tomorrow's Way]
NHK-BS、ワールドニュースアワーなどで、 ABC、CNN、BBCなど、欧米のニュースを見ていると、 このところ、イスラム教預言者、ムハンマドの風刺画問題が かなりのボリュームで連日、伝えられている。――席巻している、と言ってよいほど。 日本のメディアでは、やや、注目度が低い印象があるが、この問題、 文明間の対立を、また新たに、際立たせているようで、とても気になってきた。                 ※※ この問題の発端は昨年9月、デンマーク紙ユランズ・ポステンが、 ... [続きを読む]

受信: 2006.02.09 22:41

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