
今回のアイルランドの旅でどうしても訪ねたかったのがダブリンのTrinity Collegeトリニティ・カレッジ。目的はThe Book of Kellsケルズの書をみることだ。はじめに2日続けて日帰りのバスツアーに参加したので、ここへ行ったのは旅の中盤になってからだった。
徒歩で数分の所に泊まっていたので、バスツアーから帰って先に売店だけ覗いた。いやあ。舞い上がってしまった! この旅、長年の想いがこもっていて毎日興奮の連続。ずっと血圧が下がったことはないだろう・・・ そしてやっとThe Book of Kellsが展示されている部屋へ足を踏み入れた。
いやその前にたくさんのパネル展示を見学。The Book of Kellsの各ページ(もちろん一部だけ)が2メートルくらいの大きさに引き伸ばされているので、これまで知らなかった細部のシンボルがはっきり見えた。ビデオがいくつかあって、製本の様子、文字を書き込んでいるところなど、1回で飽きたらず何回も見た。
そして少し薄暗くなっているガラスケースの中にThe Book of Kells ケルズの書(4巻に分巻されたうちの2巻)とBook of Durrow ダロウの書(8世紀)、そしてBook of Armagh アーマーの書(9世紀)の4巻が展示されていた。いろんな人が入れ替わり立ち替わりやってきては去って行く。私は気がすむまでガラスケースの周りをグルグルまわっていた。
世界一美しいと言われているLes Très Riches Heures du Duc de Berry ベリー公のいとも優雅なる時祷書を前にしたときも、まさか実物が見られるとは思っていなかった。ほかにも奇跡的に保存されている本をたくさん見た。Mont-Saint-Michelモン・サン・ミッシェルの蔵書を保管しているAvranches市役所内の図書館も素晴らしかったし、ルーブル美術館のPARIS1400も忘れられない。旅の終わりにたちよったロンドン大英博物館にあるThe Paul Hamlyn Libraryの美しさも息をのむほどだ。
階段を登るとトリニティ・カレッジの心臓ともいえる図書館だ。(写真はTrinity Collegeで購入した24ページのカラー本)。丁寧にほこりをはらっている館員、そしてアイルランドのユーロコインやギネスビールにもデザインされているアイリッシュハープThe Brian Boru harpもあった。しばらく木のベンチに腰掛けて本を眺めていた。戦乱を潜り抜け、宗教戦争の迫害も逃れ、そこに大切に保存されている本の数々。そこに座っていられるだけでも幸せだった。涙で本がかすんで見えた。
France2のテレビニュースで3月10日ソルボンヌ(パリ第4大学)にたてこもった反CPEの学生たちの行動を見た。もう映像がなくなっているのでリンクできないが、一部の学生たちが図書館の本やコンピューターを窓から投げていた。ガラスが割られ椅子や机もダメージを受けている。そして焼け焦げた本の映像が映った。ごくわずかかもしれない。そんなに貴重ではない本かも知れない。だがフランスを代表する学び舎で本が焼かれたことを私は断じて許すことはできない。
強行突入したCRS(共和国機動隊)は催涙弾を使用し大学生を校内から退去させた。その後ソルボンヌは安全が確保できないという理由で数日間閉鎖された。Silence est mort「沈黙は死」と書かれた張り紙があった。言いたいことを言うのは自由だ。だが、CRSの隊員の中には大怪我をおった人もいる。なぜ暴力なしに話し合いができないのだろうか。
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