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2006.03.15

トリニティカレッジとソルボンヌ

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  今回のアイルランドの旅でどうしても訪ねたかったのがダブリンのTrinity Collegeトリニティ・カレッジ。目的はThe Book of Kellsケルズの書をみることだ。はじめに2日続けて日帰りのバスツアーに参加したので、ここへ行ったのは旅の中盤になってからだった。

  徒歩で数分の所に泊まっていたので、バスツアーから帰って先に売店だけ覗いた。いやあ。舞い上がってしまった! この旅、長年の想いがこもっていて毎日興奮の連続。ずっと血圧が下がったことはないだろう・・・ そしてやっとThe Book of Kellsが展示されている部屋へ足を踏み入れた。

  いやその前にたくさんのパネル展示を見学。The Book of Kellsの各ページ(もちろん一部だけ)が2メートルくらいの大きさに引き伸ばされているので、これまで知らなかった細部のシンボルがはっきり見えた。ビデオがいくつかあって、製本の様子、文字を書き込んでいるところなど、1回で飽きたらず何回も見た。

  そして少し薄暗くなっているガラスケースの中にThe Book of Kells ケルズの書(4巻に分巻されたうちの2巻)とBook of Durrow ダロウの書(8世紀)、そしてBook of Armagh アーマーの書(9世紀)の4巻が展示されていた。いろんな人が入れ替わり立ち替わりやってきては去って行く。私は気がすむまでガラスケースの周りをグルグルまわっていた。

    世界一美しいと言われているLes Très Riches Heures du Duc de Berry ベリー公のいとも優雅なる時祷書を前にしたときも、まさか実物が見られるとは思っていなかった。ほかにも奇跡的に保存されている本をたくさん見た。Mont-Saint-Michelモン・サン・ミッシェルの蔵書を保管しているAvranches市役所内の図書館も素晴らしかったし、ルーブル美術館のPARIS1400も忘れられない。旅の終わりにたちよったロンドン大英博物館にあるThe Paul Hamlyn Libraryの美しさも息をのむほどだ。

  階段を登るとトリニティ・カレッジの心臓ともいえる図書館だ。(写真はTrinity Collegeで購入した24ページのカラー本)。丁寧にほこりをはらっている館員、そしてアイルランドのユーロコインやギネスビールにもデザインされているアイリッシュハープThe Brian Boru harpもあった。しばらく木のベンチに腰掛けて本を眺めていた。戦乱を潜り抜け、宗教戦争の迫害も逃れ、そこに大切に保存されている本の数々。そこに座っていられるだけでも幸せだった。涙で本がかすんで見えた。

  France2のテレビニュースで3月10日ソルボンヌ(パリ第4大学)にたてこもった反CPEの学生たちの行動を見た。もう映像がなくなっているのでリンクできないが、一部の学生たちが図書館の本やコンピューターを窓から投げていた。ガラスが割られ椅子や机もダメージを受けている。そして焼け焦げた本の映像が映った。ごくわずかかもしれない。そんなに貴重ではない本かも知れない。だがフランスを代表する学び舎で本が焼かれたことを私は断じて許すことはできない。

  強行突入したCRS(共和国機動隊)は催涙弾を使用し大学生を校内から退去させた。その後ソルボンヌは安全が確保できないという理由で数日間閉鎖された。Silence est mort「沈黙は死」と書かれた張り紙があった。言いたいことを言うのは自由だ。だが、CRSの隊員の中には大怪我をおった人もいる。なぜ暴力なしに話し合いができないのだろうか。

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コメント

 こんにちは。レンヌやパリの状況を読みました。若年者雇用問題に抗議する学生の行動について驚き以上のものを感じます。学生が本やパソコンを投げ捨て、大怪我をおった人もいたということですが、それは一部の過激な学生なのか、あるいは普段は過激派というわけでもない学生が、暴力的な行為をおこなう風潮や土壌があるのでしょうか。

 トリニティカレッジのロングルームは素晴らしいですね。私も6年ほど前に行くことができ、人間の文化の奥深さをしみじみ感じました。カレッジのセミナーに出席していたライブラリアンの知人によるとロング・ルームでのレセプションがあったとかで、うらやましい限りでした。

 それにしても、本という知の形態は中世から動乱期の中も教会や大学で営々と受け継がれ、ロングルームのように人間の作り出した最高の空間の一つを成すものなのに、フランスの大学で学生によって本が投げ捨てられたとは痛ましく思います。

 そのようなことをする学生たちは、主張と理屈は言うけれど自分たちが何を犠牲にしているかわかっていないように見えます。(それともわかっているのでしょうか?)また、自分たちの行動を正当化する暴力的な声高さに、恐ろしささえ覚えました。

 外国のこのような事態を、事情を詳細に知らない外国人が感情的に受け止めることは正解ではないのでしょうけれど、農業者の抗議も激しいかたちをとることが多いようですし、抗議は過激にするのが当然と思うのがフランスなのでしょうか・・・。

投稿: LULUMOON | 2006.03.16 00:49

ソルボンヌでの騒ぎはずっとなかったわけですから、普段から過激とは言えないでしょう。その場でついエスカレートという心理が怖いです。

はずみで投げた石で万が一人が亡くなったとしたら、あやまって済むことではないでしょう。どうしてこうなるのか、ずっと何年も考えていますが答えはでません。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.03.16 03:13

本好きの一人としては、トリニティカレッジのパンフレットの写真を見るだけでもぞくぞくしますね。

こういう体験記を読んでいると、ああ、研究者に戻りたいなあ、と思ってしまいます。一生食べられるだけ稼いだら、本にうずもれた研究生活をおくりたいものです。

しかしながら、その愛する本を燃やす輩というのは、断じてゆるしがたい。

職がない、という不安感はわからないでもないが、集団で暴力をふるうという行動は許されるものではない。

こういった行動はなにも新しいものを生まないことを、学生は知らなくてはならないと、記事を読んで思いました。TBもさせていただきました。

投稿: dunkel | 2006.03.17 18:02

こんにちは

暴れるとそれが「報道されるので注目される」、「政府も手をやいて法を取り下げるだろう」とどんどんエスカレートしてゆくわけです。

デモだけなら理解できます。「デモに人数を集められなかったから暴れないと無視される」という幼稚な行動のように感じます。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.03.17 18:36

トリニティカレッジの旧大図書館、私も2年前に参りました。
素晴らしいですよね。
あまりに感動して、涙をこらえるのが大変でした。

そして同時に、これだけの書物を連綿と保存し続けているという文化的な奥深さを思いやると、(特に昨今の)日本の大学がなんとも浅はかでいかがわしく思えてきてしまいます。
世界のCenter of Excellenceを目指せなどと言ったりしていますが、なんともおこがましい話だと思います。
そんなものは目指すものでも何でもなく、長い間学問を大事にしてこなければ、所詮成金主義の張りぼてに過ぎません。
彼我の数100年の差は簡単に埋められる物ではないことを思いやると、途方に暮れてしまいます。

ベリー公のいとも華麗な時祷書を見るのは夢です。是非見てみたいと思っています。
モンサンミッシェルの蔵書は山から下りているのですね。機会があれば、是非見に行ってみようと思います。

投稿: ウォンバット | 2006.03.23 05:50

ウォンバット さん。こんばんは。

数日前梅原猛さんの著書を読み日本のことを考えました。素晴らしい著書でしたので、そのうち書きたいと思います。

ウォンバット さんにメールを出したのですがかえってきました。恐れ入りますがプロフィールからメールをいただけますか。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.03.23 06:38

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