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2006.05.15

サン・ジルダ・ドゥ・リュイス修道院とアベラール その1

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  12世紀ルネサンスが生んだ神学者アベラールは、弁証法を駆使し論敵を次々と打ち破っていった。その名声も教え子エロイーズとの恋によって急展開する。二人の間には子供が産まれたので極秘に結婚した。だがその事実を知り憤慨したエロイーズの家族が刺客を送りアベラールに最も残酷な復讐を遂げたのだ。

  天沢退二郎さんはこの事件を歌ったフランソワ・ヴィヨンの詩に書かれている肝心の部分を「宮せられて」と翻訳しているが、どういうことかわかるだろうか。アベラールはこの事件を「彼らは彼らの苦しみを引き起こした源である私の体の或る部分を切断したのである」と後に書いている。

  襲った人間たちは厳しい処罰を受けた。アベラールにしたと同様に去勢され、目をくりぬかれたのである。身体の傷が癒えても、精神的恥辱にさいなまれたアベラールはサン・ドニ修道院に引きこもる。一方エロイーズも修道院に入りひっそりと生涯を閉じた。
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  ここまでは有名な逸話であるからフランス中世に関心のある人なら耳にしたことはあるだろう。Site philosophique de l'Académie de Lyonに二人のことを描いた絵画が載っている。

  二人が交わした往復書簡が有名なのだが、それらはアベラールがブルターニュにあるAbbaye de St Gildas de Rhuysサン・ジルダ・ドゥ・リュイス修道院の院長だったときに書かれたものだとはこれまで知らなかった。修道院がある場所はVannesヴァンヌの南。Golfe de Morbihanモルヴィアン湾を抱くように伸びている腕の部分だ。すぐ近くにはChateau de Suscinioスシニオ城もある。

   その2につづく 
    
     追加情報

  Bernadette Soubirous聖女ベルナデッタが眠りについているのはCouvent Saint Gildardサン・ジルダール修道院。こちらはNEVERSヌベールにある。聖女ベルナデッタについてはここに書いている。

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コメント

はじめまして

歴史にはうといので、この話、はじめて聞きました。
>精神的恥辱にさいなまれた
男にとってはこれは一大事ですな。この続きどうなるのか、楽しみにしています。

投稿: nobu | 2006.05.16 18:48

nobuさん。はじめまして。

「なぜこうなったのか」という理由なのですがこれまでずっと勘違いしていました。

「聖職者だから結婚できないのでこっそり・・・」と思っていたのですが、そうではなかったのです。次回をお楽しみに!

投稿: 市絛 三紗 | 2006.05.16 22:20

こんにちは、

中学の頃でしたが、”アベラールとエロイ-ズ 愛と修道の手紙”(岩波文庫)を読みました。例の事件もあったし、いじめとか、聖ベルナルド修道院長(クレルヴォーの)との神学論争で有罪判決を受けて、修道生活も波乱万丈だったのかな、と想像していました。
一方、エロイーズは修道院長になって彼から霊的指導を受け、浄化していったのが感じられるから、女は強い(?)のかな。子供は?確かお産はブルターニュでしたっけ。

投稿: arnaque | 2006.05.17 21:38

こんにちは

中学生で読んだとは驚きました。詳しいことは続きに書きますので、ちょっとまってくださいね。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.05.17 22:16

市絛さま、はじめまして。
 サン・ジルダ・ドゥ・リュイス修道院っていうのは現存しているのですね。知りませんでした。アベラールは「地の果て」だの「野蛮人たちの土地」だのひどいことばかり書いてますが、ウェブ情報を見る限り、実に美しい土地のようですね。

些末な点ですが、エロイーズの親族が怒ったのは、アベラールがエロイーズを修道院でかくまってもらったことを、やっかいばらいで修道院に放り込んだと勘違いしたからです。親族にとってエロイーズが私生児を産むのは不名誉きわまりないわけで、だから結婚にも賛成、さらには結婚をできるだけ人々に知らしめたかった。でも、それでは約束が違うと責めたのがエロイーズで、だから親族たちから暴力を受け、それでアベラールはエロイーズを修道院にかくまってもらうわけです。で、その結果、誤解が生じて刃傷沙汰にいたる、と。

それから、当時の結婚観といえばグレゴリウス改革と切り離せないようで、デュビーさんが『十二世紀の女性たち』でそういう文脈からエロイーズ書簡を解釈しています。(わたしはあまり賛同したくない解釈ではありますが)。

「その3」はまだですよね?がんばって書いてください、楽しみにしてますので。

投稿: 永嶋哲也 | 2007.04.05 17:01

こんばんは、
 横からすいません、アベラールに関しては、ど素人なのですが、
ブルターニュは、今ではヴァカンス地でも人気が高いけど、少し前だったら、ど田舎、あの時代だったら、すごい地方だったのではないかと想像します。
まして、パリで活躍し、名声も教養もある人たちにとっては、想像を絶するところだったりして、言葉も全く違うし。住民は野蛮だとか何とか書いてますね。その上、サン・ジルダ・ド・リュスの修道院はひどく乱れていたらしいから、絶望するのは無理もないかと...
 修道院は、女子修道院として現存してます。泊まれます。
http://catholique-vannes.cef.fr/site2/01-07g.html

投稿: arnaque | 2007.04.10 20:49

amaque様
はじめまして。
アベラールの故郷だってナント近郊のル・パレ、たぶん充分田舎だったでしょう。(^^;
それに遠く極東から眺めたら「ほんの近所じゃないか!」と言いたい気分がないではないし。(^^;;
いやいや、そんなこと言ったってしょうがないわけですけど。

ヴァンヌ教区のサイト、教えてくださってありがとうございました。
フランス語は、しばらく読んでなくてすっかり錆び付いてます。
いかんですなぁ。(大汗)

投稿: 永嶋 | 2007.04.15 22:21

arnaque様
名前を間違えました、すみません。m(_ _)m
送信した直後に気づきました、とほほ。。。

投稿: 永嶋 | 2007.04.15 22:26

永嶋さま。

お返事がおくれて申し訳ありません。今月中にその3以下を書きます。

arnaqueさま

今でも車がないと行くのは大変ですよ。修道院はもともと人里離れた場所にあるはずの施設ですからね。

投稿: 市絛 三紗 | 2007.04.19 19:17

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