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2006.06.16

色鮮やかな刺繍の街、Pont l'Abbéポン・ラベ

Bigoudenbjpg
  この目の覚めるような朱赤。我がブルターニュが世界に誇るPont l'Abbéポン・ラベの刺繍である。この写真は知人宅に大切に保存されていたおじいさんの遺品。約100年前の男性用のベストだ。夜撮影したので少し色が赤みを帯びている。実際にはもう少し朱の色が強い。Musee Bigoudenビグデン博物館にも衣装が展示されているのだが、少々色あせていた。これほどきれいな風合いの衣装は非常に貴重だ。

  布地から盛り上がるようなボリューム感がある。針を刺すのは非常な力仕事だったので、男性が刺繍したのである。その間、女性たちは港で荷物の積み下ろしをしていた。100キロもあるような荷物を運ぶのは女性たちだった。

  祭りにはポン・ラベの女性たちも美しい刺繍がほどこされた民族衣装を身にまとった。その頭には30センチ近くもあるとても長いコワフ(繊細なレース刺繍の帽子)をかぶっていた。
Bigoudena
  「コワフは特別なものではなく、家から外へ出る時の必需品。私の母親がパスポートをとることになった時、どうしてもコワフなしでは、写真を撮るのはいやだと拒否したんだ。役所もどう対応するか協議した結果、コワフを被った写真を許可したのだが、コワフが長いから顔なんて小さくしか写っていないんだよ」と笑う。

  このパスポートのコピーを見せてもらったが、今はこんな融通もきかないだろう。イスラム教徒がスカーフ着用して身分証明書を撮ることも許可できないと論議されるくらいなのだから。(パンドラの箱は開かれたを参照)

  「Pont l'Abbéポン・ラベには他の地方にないような不思議なことがたくさんある。赤ん坊の臀部には青いあざがあるんだよ。ブルターニュでもBigoudenビグデンだけなんだ。日本人と同じ人種かもしれないね」と地理学の元教授は真顔で私に語りかける。

    大辞泉によると「蒙古斑」とは「乳幼児の臀部(でんぶ)・腰部などにみられる青色のあざ。その真皮中にメラニン色素細胞が存在することによる。黄色人種に特に顕著。七、八歳ごろまでに自然に消失する。小児斑。児斑」と説明されている。黄色人種のみとは限定されていないので、他の国にもこういう事例があるのだろうか。

  
  Pont l'Abbé 観光案内所 コワフを被った女性の写真あり
  Fête des Brodeuses 刺繍祭り(音楽とダンスのフェスティバル) 2006年7月13~16日 
   昨年の写真およびビデオはここから 刺繍の女王の写真

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コメント

はじめまして

素晴らしく綺麗です。刺繍の女王がかぶっているコワフはおそろしく立派で、コックさんも顔負け。

「風がふいていたら大変だろう」とか「日本では天井にぶつかってしまう」とか考えてしまいました。

「蒙古斑」がフランス人にもあるというのも、にわかには信じがたい!本当に興味深い話です。

投稿: momo | 2006.06.17 16:50

こんにちは。

帽子といっても、ほんとうに筒になっているわけではなく、前と後ろの2枚をピンでとめます。この間、博物館で説明を読みました。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.06.18 08:18

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