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2006年8月の記事

2006.08.31

Golf du Morbihan モルビアン湾の夏

Yacht_en_bretagne

   Golf du Morbihan モルビアン湾は入り江になっていて大小の島が浮かんでいる。水面は穏やかといいたいところだが、入り江の外は太西洋。地元の人たちでさえ潮の流れを読むのはむずかしいのだという。この日は強風のため波があったので、帆をあげて走行しているヨットは少なかった。この美しいヨットは最新鋭らしい。

  レンヌは内陸なのでたまに海に行くと気分転換になっていい。しかしみんな考えることは同じでわずかな駐車スペースをめぐって口げんかが起こったりもする。場所が空くのを待っていた車の横から乳母車を押した女性が割り込んで「すみません。子供づれなので」と言い訳をして場所を動こうとしない。男性は「私はさっきから順番を待っていたのだから、ここにとめますよ」とこちらもゆずらない。

  最後には女性が興奮して「あんたみたいなひどい男を見たことがない。車に傷をつけてボロボロにしてやる」と叫ぶ。一方の男性は「やりたければどうぞ」とさっさと車から降りてヨットに乗り込んでしまった。周りを散歩していた人、釣り糸をたれていた人たちは時ならぬ甲高い声に振り向きながらも、何も言わずに眺めていた。この女性、数十の目が見つめる前で車に傷をつけることも出来ず、怒鳴りながら去っていった。

  売り言葉に買い言葉でどちらが悪いのかはよくわからない。人の怒っている顔など撮りたくないので私もただ見物していただけだが、せっかくの風景が台無しになったようで後味が悪かった。
  

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2006.08.30

Michelin Guide ミシュラン・ガイドをインターネットで見る

    Michelin Guide「ミシュラン・ガイド」とはタイヤメーカーであるMichelin ミシュラン社があらゆるカテゴリーのホテルとレストランを、独自の基準に基づく評価とともに掲載したガイドブックのことです。質のよいレストランやホテルを紹介していることで有名で、毎年このランキングが話題になります。今年はブルターニュにあるレストラン、La Maison de Bricourtが新たに最高の三つ星を獲得しました。

  ホテル・レストランの情報を掲載している「ミシュラン・ガイド」はフランス版、ドイツ版、イタリア版など13種類。この他に、道路や建物などを網羅したロードアトラスや旅行情報版の「グリーン・ガイド」も発行しています。最近では、北米を対象とした初めてのガイド「ミシュラン・ガイド・ニューヨークシティ2006年版」が発行されました。

  ミシュラン・ガイドには特別のマークがあります。ホームページを見る前にこのページを印刷しておいて見比べるとわかりやすいでしょう。

  私は2002年度版を持っています。それからは本屋で立ち読みしていたのですが、インターネット上で読めることがわかりました。Via Michelinで地図を見ることができますが、一番上のGuides Michelinをクリックすると、ホテル・レストランの情報が無料で検索できます。

  しかも無料会員登録すればいったん検索した情報を登録して再び見ることが可能です。すぐに登録しました。でもFirefoxでは地図が表示されないので、Operaで見ています。実は9月に仕事で南仏に行くことになりその下調べのため、本当に役立っています。それでも南仏の地域別グリーン・ガイドは3冊購入しましたが。

  ただ印刷する場合は左の欄にあるMappyの方が使いやすいです。Firefoxでも地図が表示されます。これは個人的な意見なので使い比べてください。


Michelin 2006 Red Guide France
Michelin Red Guide 2006 Paris
Michelin Red Guide Main Cities of Europe 2006
Michelin Red Guide 2006 New York City

Michelin Green Guide France
Michelin France (Michelin Atlas)

    参考

  「ミシュランの星」は どう決めているのですか?
  ミシュラン社の社長、海で水死 船に同乗していたノルマン氏のこと 悲しいニュースでした。
  ミシュランガイド フランス 2007
  ミシュランガイド東京 2008 まもなく発売

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2006.08.26

イラン大統領のブログと前大統領の来日

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  世界的に大流行しているブログ。だがこのブログは特別な反響を呼んでいる。それは核問題で注目をあつめているイランのアフマディネジャード大統領のブログだからだ。ペルシャ語がアラビア語、英語に翻訳されている。フランス語の表示もあるのだがまだ翻訳されてはいない。

Do you think that the US and Israeli intention and goal by attacking Lebanon is pulling the trigger for another word war?

  左側には「レバノンに攻撃を仕掛けたアメリカやイスラエルは新たな世界大戦を引き起こそうとしていると思うか」という問いが投げかけられている。その結果はYes:366527(42%),No:509650(58%)であった。ブログには大統領が貧しい農家で生まれたことや家族のこと、若いときの思い出などが書かれている。

  一見短い文章と思ったが、続きを開くと長文があらわれた。「多くの殉教者たちの自己犠牲のうえに信じられない成果を成し遂げた」と革命をたたえる内容。もちろん私は英語しかわからないが、Godという単語が最初と最後に出てくるのが普段目にするブログとは異なっている。

  折りしも小泉首相は24日、首相官邸でハタミ前イラン大統領と会談したばかりである。

ハタミ氏はイランの核開発問題が国連安保理に付託されたことを「望ましくないプロセスだ」と指摘し、「安保理で採り上げられれば国内の過激主義が高まりかねない」と懸念を表明。 朝日新聞

  イランの最高指導者ハメネイ師は21日、「核計画を力強く推進することを決定した」と述べている。イランに対する経済制裁が実施されれば、中東に波乱をまねくおそれもある。
Club
  数年前まではイランは私にとっても遠い国でしかなかった。だがレンヌで10人以上のイラン人と話をした。数ヶ月前にはジャーナリストクラブでイラン人の女性ジャーナリストを招いての懇親会があった。数年間イランに駐在していたAFPの記者がイランの歴史について解説し、レンヌに住むイラン人がつくってくれたたくさんの料理を食べた。

  イランは薔薇の栽培が有名で、料理にもデザートにもふんだんに薔薇のエッセンスがはいっていた。これらを食べながら私は古代オリエント文明のことやアラビアン・ナイトの世界を思いおこしていた。なかなかこのような催しはないのでこの夜は午後7時くらいから真夜中まで質問が飛び交った。帰り際女性ジャーナリストは「イランに来ることがあれば遠慮せずに連絡して」と住所を書いてわたしてくれた。

  それから映画監督が作ったイラン・イラク戦争がテーマのテレビ映画も見た。それからはイランのニュースを聞く度にひとりひとりの顔が鮮明に浮かんでくる。経済制裁が開始されれば住民の暮らしはどうなるのだろうと考えずにはいられない。
  
  普段は意識しないが、日本はイランから大量の原油を輸入している。(サウジアラビア26・2%、UAE(アラブ首長国連邦)25.0%、イラン15.0%、カタール9.0%)。イランの情勢に注意をむける必要がある。

    資料

  わが国の石油輸入事情 石油情報センター 
 

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ココログ バックナンバーがおかしくなっています

  友人と雑談していました。「それは1年くらい前に書いたわよ」と言うと「見せてよ」と言われたので「うるわしのブルターニュ」を開き、「ブルターニュ情報」をクリック。でも見せたいエントリーが見つかりません。

  おかしいと思ってカテゴリー別の記事一覧を開きました。すると「ブルターニュ情報」のカテゴリーは途中までしか出てきません。記事が消えてしまったわけではなく、月別記事にはちゃんと残っています。複数のカテゴリーを指定したものだけ、どういうわけかカテゴリーわけがめちゃくちゃ。ためしに「書籍」のカテゴリーを見てみると、2ヶ月前に書いたものも、「ブルターニュ情報」からはずれてしまっています。

  はじめて見てくれたみなさん。「ブルターニュ情報」はどのカテゴリーにもはいっています。これをもとに戻すには記事ひとつひとつを設定しなおさないといけないのですが、エラーになっているエントリーは数百あるので、すべてを変更できません。

  とりあえずカテゴリー別に見ていただくか、この下のcocohoreをクリックしてすべてのエントリーを見てもらうしかありません。どうしたらいいのかわかりませんが、とりあえずお知らせします。

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2006.08.24

Gmailはサインアップ制へ変更

    Googleグーグルは8月23日に、招待制度でしか登録できなかったGmailをサインアップ制へ変更したことを発表した。以前Gmailの招待券プレゼントすると書いたら、たくさんのメールをもらった。

  その後招待券はないことを明記したにもかかわらず、Gmailの招待を求めるメールを送ってくる人がいた。それだけ期待が大きいことのあらわれだろう。これからは日本国内のユーザーは、招待されなくてもGmailアカウントを取得できるようになった。サインアップ制になったのはオーストラリアとニュージーランドに次いで、日本は3か国目だ。

  メールボックス容量2.7GBというのは非常にありがたい。今でもいくつかのメールアドレスを使い分けているが保存したいメールはGmailに転送しておけば読み返すことができて便利。またフランス語のアクセントがあってもただしく表示できるのでいちいち変換する必要もない。

  日本語対応グローバルメールサービスがあるので海外のネットカフェからもAjax IMEやsumibiなどで日本語メールがうてるというので、こちらも試してみたい。

    参考

  グーグルの「Gmail」が招待制からサインアップ制へ CNET Japan

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海のシンフォニーを奏でるブルターニュのピアニスト Didier Squibanディディエ・スキバン

Didier_squiban_mont_dol
  日本で「海辺のピアニスト」という名称で知られ、すでに日本公演も7回行っているDidier Squibanディディエ・スキバン。(日本語のプロフィールはこちらからどうぞ)。はじめてそのコンサートを聴いた。会場はMont Dolモン・ドルの教会である。L'été culturel du Mont-Dolというイベントだった。

  彼のピアノはネット上で視聴したことがあったのだが、正直に言うと特に印象に残る演奏ではなかった。ところが会場でワンフレーズ、ほんの10秒くらいを聴いただけで、その演奏に魅せられてしまった。たったひとりで演奏しているのに、そこには広大な海が蜃気楼となってあらわれた。
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  なんということだろう。ブルターニュに何年も暮らしていて、こんなに素晴らしいピアニストを知らなかったことが恥ずかしい。一曲終わるごとに隣の男性は「ブラボー」と叫んでいた。この教会の音響効果は想像以上。小さなコンサートホールよりずっといい。全身で演奏しているので曲が終わるごとに流れる汗を真っ白なバスタオルでごしごし拭いてにこやかに観客に話しかける。

  プロデューサーのはからいでコンサートの前後に個人的に話をした。7回も来日しているのですっかり日本通。「音楽雑誌だけでなくグルメ雑誌まで取材にきたんだよ。僕が日本料理を好きだって聞いたんだろうね。魚だけではなく肉もうまい。神戸牛はビールを飲ませてマッサージすると知りびっくりしたよ。一緒にマッサージしてほしいね」と上機嫌だった。東京しか知らないので次はほかの地方にも行きたいそうだ。ダイナミックな演奏とこの気さくな人柄。すっかりファンになってしまった。

  帰宅してからネットで調べてみるとブルターニュを舞台とした映画L'Equipier「燈台守の恋」のテーマ曲を弾いていることがわかった。2004年のこの映画、見逃してしまったのだが、ブルターニュのことがきちんと描かれた秀作だと噂に聞いていた。これは是非見なくては・・・日本では昨年秋に公開されたようだ。公式サイト燈台守の恋を開くとDidier Squibanのピアノが流れるので今すぐクリック!


  Didier Squiban 公式ホームページ
  日本で発売されているCD Didier Squibanディディエ・スキバン。

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2006.08.22

ブルターニュの料理学校

Galettes_stj
  ブルターニュといえばガレットとクレープ。この作り方を教えてくれる料理学校があります。Ecole Maître Crêpierです。

  例えば入門コースは9日間。70時間の講習があります。入門というものの「クレープのプロ養成講座」ですから内容はもりだくさん。材料選びから飲み物との相性、メニューづくりからコマーシャルの仕方まですべてを学ぶことができます。

  おもしろいのはcrêpes du monde世界のクレープという講座。世界中のクレープ状のものを5日間で学ぶのです。メキシコのタコスから日本のお好み焼きまでカリキュラムにはいっていますが、いったいどんなお好み焼きなのでしょうか。食べてみたいですね。

  写真は私がレンヌで2ヶ月ほど前に食べたガレットです。丸いのはほたて貝なのですが、はじめて食べたのでどんなソースだったか忘れてしまいました。アルコールを使用していたのですが、ウイスキー風味だったでしょうか?場所は古い刑務所跡、prison St Michelの2階です。メモがないので、次に通ったら店の名前を見てきます。

  ブルターニュにあるクレープリーを検索するにはここからどうぞ。たくさんありすぎて困りますが・・・(リンクが間違っていたので張り替えてあります) 

      追加情報

  写真のガレットはL'Ecossaise(スコットランド風)でSt Jacques flambées au whisky,crème fraîcheほたて貝をウイスキーであぶったもの。生クリーム入り。

  店の名前: L'Art ty chaud
  住所   : 7 allée rallier du baty
    Tel    : 02 99 79 19 20

  

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2006.08.21

フォー・ラ・ラット、ケルト夜想曲

Fort_la_latte     Les Nocturnes Celtiques de Fort-la-Latte「フォー・ラ・ラット、ケルト夜想曲」というイベントに出かけた。7月19日から8月17日まで毎週水曜日と木曜日にミュージシャンが音楽を演奏し、語り部たちが話をするという催しだった。時間は午後9時から真夜中まで。
Fort_la_latte2
  Fort-la-Latteは中世のころにつくられた要塞で、19世紀になると見捨てられていたのだが、その後修復された。上の写真は塔の上から見下ろしたところだ。すぐ横に海が迫る光景は中世のころから何ら変わっていない。映画のロケ地として好まれ、何本もの映画が撮影されたのもうなずける。

  Iniskisという3人組みのグループの演奏が始まった。日の入りは午後9時すぎだが、夕立が降ったのであたりはすでに薄暗い。アイルランドやスコットランドの音楽に入場をまちわびた観客から拍手がおきた。Fort_la_lattei野外に設けられた別のステージではSylvain Cebron de Lisleが神秘的な物語を語っていた。

  次にケルティックハープを聴く。lydwenというハーピストが海に暮らす妖精の物語を演奏した。8月になってから、7月の暑さがうそのように肌寒い日が続いている。大きな暖炉に焚かれている火が心地良いほどの冷え込みなのである。
Fort_la_lattely
  塔の中ではFort-la-Latteでどのように映画のロケが行われたかを回想するドキュメンタリーが放映されていた。メインで紹介されていたのは「バイキング」という作品。カーク・ダグラスが製作総指揮・主演で、北欧の沿岸地帯を荒らしまわったバイキングの波乱万丈の生涯を描いたスペクタクル大作なのだが、英国・ノーザンブリア城攻めの迫力あるシーンがここフォー・ラ・ラットで撮影されたのである。硬く閉ざされた城の門を巨大な木を使って打ち破ったシーンを撮影した時の秘話が語られていてとても興味深かった。

   Fort-la-Latteフォー・ラ・ラット ホームページ 一部日本語あり  
  今年のイベントはこれで終了したが、毎年行われているので機会があれば来年おとずれてほしい。

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2006.08.18

青い紫陽花、無花果、セージ

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  紫陽花は「シーボルトがヨーロッパに持ち帰り改良した」ということを以前ツタのからまる家に書いた。日本では紫陽花は梅雨のイメージがあるが、ブルターニュでは春から夏にかけて晴れの日が多いので、夏を代表する花として親しまれている。

    知り合いの家の庭には5メートルくらいある無花果の木がある。大きな葉が太陽の日差しをさえぎっているので、その木陰にいると風さえもさわやかでとても快適なのだ。そこには小さなテーブルと椅子が置かれていて、ゆっくり本など読むのだとか。今年は春先まで寒い日が続いたのであまり実がなっていないそうだ。(写真は2枚とも7月なかばに撮ったもの。上の写真はPont l'Abbéポン・ラベの城で撮影)。

  友人と一緒に訪ねたら冷蔵庫から手作りのsaugeセージ水を出してすすめてくれた。セージは香辛料として肉料理によく用いられる。これはセージのもつ抗酸化作用を生活の知恵として活用しているためだ。血行促進、強壮、老化防止などに有効だと言われている。Figueほかにも低血圧・肥満・うつ病・更年期障害・頭痛・リウマチなどにも効果が期待できる。日本にいたころはセージを鉢植えにしていてよく料理やハーブティーに使っていたが、そういえば最近あまり使っていない。

  世界中で昔から使用されていたのだが、フランスではドイルドたちが万能薬として使用し、シャルルマーニュがセージの栽培を奨励していたのだという。疲れが気になるあなた、試してみてはいかがですか。

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2006.08.16

巨大な黒猫捜索で海水浴場閉鎖

  フランスの北部、ベルギーとの国境に近い海岸Wissantに体長1.2メートルの巨大な猫科の動物が出現。ヘリコプターと地元警察80人が捜索にあたっている。この騒ぎで海水浴場閉鎖は閉鎖され、話題騒然。この動物が海岸に現れたのは9日だった。11日にはベルギーからの観光客や地元住人らが、そして12日にはトウモロコシ畑で目撃されている。にもかかわらず捜索は難航している。14日になってやっと通行人が写真に撮ることに成功した。

  Les Cahiers Blancsに写真を載せておいたので見てほしい。目撃者のひとりは「豹じゃなく大きな猫だ」と証言しているが、たしかに写真を見ると耳が立っていて大きな猫に見える。動物園やサーカスから逃げ出した動物もいない。体長は1メートル以上というがいったい何だろう?

  不思議なことに、この近辺ではすでに何回もこの黒猫騒ぎが起きている。1986年に50キロほど離れたTouquetで「豹」が目撃され、50人の警官が捜索。狩犬を使ったり、肉を置くなどの作戦も失敗している。2000年にはAmiensやArrasの近くで「虎」らしき動物の目撃もあったが見つけることはできなかった。特に被害もないのなら、探さずにそっとしておくわけにはいかないのだろうか。

  Les gendarmes recherchent une "grosse bête noire" (TF1)
  Un gros félin noir aperçu de nouveau par des gendarmes sur la côte d'Opale (AFP)

  

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2006.08.15

中世のおもかげの残る町、ディナン

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    ここは不思議な町だ。何回も行っているのに、行く度に道違う小道に迷い込んで地図とにらめっこするはめになる。ブルターニュの中でも中世の木組みの家がたくさん残るDinanディナンにはいたずら好きの妖精たちが今でも住んでいるのかもしれない。

  饗庭孝男さんも海と森のブルターニュで「私がとりわけ心惹かれた町」と書かれている。
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  上の写真はPlace Merciersメルシエ広場に残る堂々とした家。Dinanディナンはフランドル(現在のベルギー、オランダ、フランスの一部を含む地域)や英国との交易で非常に栄えていたのである。堅固な城壁の上に立つとフランス相手に戦っているブルターニュ公国の騎士たちの姿が瞼に浮かんでくる。

    1年おきに中世の祭りが開催されるが今年は行けなかった。04年の様子は中世の祭り1 ディナンからどうぞ。坂道が多いのでけっこうきついが、店もたくさんあり散策するのはとても楽しい。

  Rennesレンヌを基点としてMont Saint Michelモン・サン・ミッシェルに行った帰りにSaint Maloサン・マロだけでなくぜひDinanディナンにも立ち寄ってほしい。

    Dinan office de tourisme visite virtuelleのcliquez iciという文字をクリックすると地図があらわれるので、地図の上の番号をクリック。すると写真と説明が右側に表示される。これを見ておけば道に迷わなくてすむかもしれない。

       追加情報

    饗庭さんの「フランス芸術紀行」を読み返していたら、ディナンのことも、サン・ジルダ・ドゥ・リュイスのことものっているではないか。後者は教会と書かれていたので読み過ごしたのだろうか。写真が載っているから修道院まで足を運んでいるのだ。どうして忘れていたのか情けない。それからエロイーズの続きを書かずにいてごめんなさい。忘れてはいませんので・・・

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フランス、値上げあれこれ

Edf
  8月15日から個人向けの電気料金が1.7%引き上げになる。引き上げは3年3ヵ月ぶりで、04年1月には1.6%引き下げされていた。2600万世帯が対象となり、100平方メートルのアパートでは月に1ユーロくらいの割り増しになる計算だ。

  EDFフランス電力はこの表のとおり「フランスの電気料金はほかの国より安い」と主張しているが、この値上げによって通年ベースで営業粗利益が3億6000万ユーロ増加する見込みだ。バカンス中に値上げを認めた政府の対応や、2005年に過去最高益を達成し財務状況もよいにもかかわらずなぜ今値上げするのかと非難もある。

  航空燃料の高騰を理由に米国の航空会社が7日に運賃の値上げを発表したが翌日にはエールフランス・KLMが燃油特別付加運賃の値上げを決定した。この運賃はすでに10日から適用されている。例えばエールフランスの場合、国内線で1ユーロ、中距離路線で2ユーロ、長距離路線で7ユーロの値上げとなった。KLMは、欧州路線で1ユーロ、長距離路線では5ユーロ値上げする。この制度を開始したのは2年前だったが、それからこれまでに7回目の値上げ。今年は4月に値上げされたばかりなのだ。

  ガソリンの値段も毎月上がっていて、ハイオクは1.5ユーロ/リットル以上する。円になおせば200円をこえている。日本ではまだ140円くらいだろうか。ガソリンスタンドによって価格に差があるので、安いところは長蛇の列ができている。このまま上昇が続けば、ドライブもおいそれとは行けなくなりそうだ。

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灯台とアンティチョーク

Artichaut  左側にあるのは6月に紹介したBatzバッツ島にある灯台です。ちいさく見えますが、42.65メートルあります。(海面からの高さは71.65メートル)。1836年から使用されていますが今は自動制御になっています。1970年から勤務していた人が95年に定年退職したためです。

  右側はArtichautアンティチョークという野菜です。市場ではこのようにして売っています。少しほろ苦いのですが、フランス人には好まれている野菜です。アンティチョーク畑を撮りたかったのですが、ちょうどいい場所に車を駐車できなかったので、数本しかありませんでした。(この写真も6月に撮影したものです)。

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2006.08.12

液体爆弾と海野十三

    次々と新しい手法で爆弾づくりにはげむテロリストたち。報道でも容疑者は爆発物として液体を使う予定だったと伝えられている。無色透明な粘液状のニトロメタンや、ゼリー状のニトログリセリンをカメラのフラッシュや携帯電話の電源で爆発させる仕組みのようである。ペットボトルを加工して二重底にしてあったので、中身を飲んでみせることも可能だったとか。なんだかスパイ映画、007でも見ているようである。

  「液体爆弾」という単語を検索にかけてみた。すると海野十三(うんの じゅうぞう、またはじゅうざ)さんの名前が出てきたので驚いた。海野さんは昭和初期にSFや探偵小説を書いた作家であり、日本のSFの先駆者と称されている人なのだ。「今昔ばなし抱合兵団、金博士シリーズ・4」(昭和16年8月に発表)に「液体爆弾」の記述がある。この時代に書かれた「液体爆弾」とはどのようなものなのか、興味津々で読みはじめた。

なにがさて、例の金博士(きんはかせ)の存在は、現代に於ける最大奇蹟だ。博士に頼みこむと、どんなむつかしそうに見える科学でも技術でも、解決しないものは一つもない。雲を呼んでくれと博士にいえば、博士はそこに並んでいる壜(びん)の栓(せん)を片端(かたはし)から抜く。抜けば、壜の中よりは、濛々(もうもう)たる怪しき白い霧、赤い霧、青い霧、そのほかいろいろが、竜巻(たつまき)のような形であらわれ、ゆらゆらと揺(ゆ)れているのを面白がっている間に、いつしか部屋の中は一面の霧の海と化(か)してしまって、そのうちに博士がどこにいるやら、実験台がどこにあるやら、はては自分の蟇口(がまぐち)がどこにあるやら、皆目(かいもく)分らなくなってしまうというようなわけで、結局金博士の智慧を験(た)めそうとした奴の蟇口の中身が空虚(から)と相成(あいな)って、思いもかけぬ深刻(しんこく)な負けに終るのが不動の慣例だった。

  この続きに興味のある方は青空文庫発表年順からどうぞ。

  話を現代に戻すが、94年12月にマニラ発セブ島経由成田行きフィリピン航空機内で日本人7人が死傷した事故があった。それ以後、空港では液体の持ち込みが制限されるようになったのだという。このとき用いられた爆弾はコンタクトレンズの容器に隠して機内に持ち込まれたニトログリセリンが主原料だった。アメリカ同時多発テロ事件が2001年9月11日に起きてからはさらに持ち込み検査が強化された。

国内では04年11月から「液体物検査装置」を導入した。ペットボトルやアルミ缶を装置の上に置くと、水やお茶などの飲料水以外の爆発物が混入している場合に赤いランプがともり、異常を示して持ち込みを防ぐ。すでに国内の主要空港には設置済みだ。毎日新聞 

  自分でこのような装置を見た覚えがないので、どのようなものなのか調べてみた。すると置くだけでペットボトルやアルミボトル内の可燃性液体を簡単にチェックできる「ボトル内液体物検査装置」を東京ガスが開発し、国内の空港に導入している。この検査装置は2005東京発明展、バーチャル展示会で関東経済産業局長奨励賞を受賞したこともわかった。

  ヨーロッパは節水している状態なので、海野十三さんの小説のように雲を呼んでくれたらありがたい。だが「液体爆弾」は空想の中だけで十分だ。

          追加情報

  世界で初めて発売された液体物検査装置、「ボトル内液体物検査装置、SLC-215D」がどのような過程をへて開発されたのかが紹介されている。製品の概要、特徴 試作品、開発の過程

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2006.08.11

フランス国内も警戒強化

  まだテロ計画の全貌があきらかになったわけではないが、そうとう進行していたようだ。航空機テロは数日後に実行される見込みだったようである。朝日新聞の英テロ未遂、逮捕者24人に 実行予定は「数日後」かに各メディアの情報がまとめられている。

  フランス国内でも警戒レベルが最高のniveau rougeとなり、英国に向かうユーロスターや、飛行場での手荷物検査は非常に厳しくなりそうである。

Le ministre de l'Intérieur Nicolas Sarkozy a annoncé l'instauration de "fouilles à 100%" des bagages à mains sur les vols à destination des Etats-Unis, de la Grande-Bretagne mais aussi d'Israël, à l'issue d'une réunion à Matignon."Nous ferons également faire des fouilles aléatoires et renforcerons les patrouilles sur l'Eurostar, sur l'ensemble des gares et des aéroports français", a-t-il ajouté.Air France a par ailleurs informé ses passagers d'un renforcement des mesures de sûreté sur les vols à destination des Etats-Unis, avec l'interdiction en cabine de tout produit liquide, gel, crème ou pâte. France2

    サルコジ内相はフランス発の米国、英国、イスラエル行き航空機の乗客の手荷物を徹底的にチェックするよう通達を出した。ユーロスターをはじめとするフランス国内の駅、あるいは空港でも同様である。エールフランスは米国行きの航空機には液体、ジェル、クリームやペースト状の品物の持込を禁止すると発表している。

  

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Opera 9.0.1 アップロード

  体調がすぐれないかったので2日間ボーとしていたら、ロンドンからテロ未遂のニュースがあった。こちらも緊急措置としてOpera 9.0.1をいれてみた。タブが上に開くのでちょっと戸惑うが、やはりフリーズしてしまうFirefoxはちょっと休んでいてもらおう。

  検索するのにパソコンは必需品なので、しばらくほかの人の様子を見てみたい。Firefoxでどうしてもエラーになって見られないサイトもOpera 9.0.1では見ることができるので、Firefoxに何かトラブルがあるように思う。

  

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2006.08.10

ロンドンで航空機爆破テロ未遂 飛行場大混乱

  ロンドンからニュースがはいっている。航空機爆破テロ未遂事件である。標的とされた航空機は9機。米国のユナイテッド航空、アメリカン航空、コンチネンタル航空だった。

ロンドン警視庁は10日、英国発米国行きの複数の航空機を同時爆破させるテロを計画したとされる容疑者21人を逮捕したと発表した。リード内相は「大勢の命を奪うことを狙い、数機の航空機を飛行中に爆破させる計画だった」との見方を示した。英政府は国内のテロ警戒レベルを最高の「危機的」に上げたほか、米政府も米英間を結ぶ民間航空の警戒態勢を最高レベルに引き上げた。 朝日新聞 
 

  英国では昨年ロンドンで爆破テロが起きている。そのため警戒レベルが最高になり、英国からの出発客は、手荷物の持ち込みがほとんどできなくなるという事態になった。旅券や現金、カードなど必要最低限の携帯品だけ透明のビニール袋に入れて持ち込むのである。

  BBC放送によると、ロンドンのヒースロー空港は10日、航空機の着陸を認めない措置を取っているのでバカンス客でごった返す空港は極度の緊張が続いている。関連写真はLes Cahiers Blancsからどうぞ。 

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2006.08.09

これが噂に聞くガストロなのかな?

  昨日の朝から胃腸の調子が悪かったので以前医者にもらった胃腸薬を飲んだ。身体に力が入らないので早く寝た。ところが朝起きると強烈な吐き気と腹痛。それと同時に目がかすんだ。トイレにたどり着いたものの、目の前は真っ白でほとんど見えない。一気に脂汗が体中から噴出してくるのがわかった。普通ではないよね。

  これが噂に聞くGastroガストロ、ウイルス性胃腸炎なのかな?でも8月はバカンスで医者も長期で休みが多い。電話できるような友人たちもみんなバカンスに行っていて、レンヌには誰もいない。とりあえず水を飲む。腹痛はわかるけれど、目がもとに戻らないのはどうしてなのか?

  それでも10分ほどすると症状は少し落ち着いて、目も見えるようになった。やれやれ。水を飲んでヨーグルトを食べた。それからよろよろとベットに戻り横になっているうちに寝てしまった。数時間後起きたがとくに腹痛もない。こんな時はおかゆに梅干がよさそうだが、梅干は売っていない。ご飯をやわらかめに炊いて食べた。少し胃に違和感があるが、痛みはないのでちょっと様子をみてみよう。

    食中毒でも目に異常がでることはあるらしい。ドクターQ&Aから。
  

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2006.08.06

戦闘で引き裂かれる家族たち

  イスラエル軍がレバノン攻撃を開始したのは7月12日。その後戦闘が激化しているがやっと国連安全保障理事会の決議案が合意となった。

 米国とフランスは5日、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘激化で危機に陥っているレバノン情勢の打開に向け、双方に「敵対行為の全面停止」を求める国連安全保障理事会の決議案について合意した。

  安保理は同日午後(日本時間6日早朝)、緊急の非公式協議を開き、米仏の決議案について討議、早期採択を目指す。中露から大きな異論が出なければ、決議は数日中に採択される見通し。イスラエルとヒズボラがこれに従い、戦闘を即時停止するかどうかが最大の焦点となる。 読売新聞

  レンヌにはアラビア語を勉強している日本人女性がいる。彼女は昨年もシリアに夏季講習に行っていた。この夏は中近東諸国を旅行するつもりだと聞いたので、一緒に行きたいと伝えてあった。ひとりではとても行けないだろうし、アラビア語がしゃべれるというのは何よりも心強いからだ。当初の予定では9月にシリアやヨルダン、レバノンにも行こうと話しあっていた。
Map  シリア人の友人は「うちに泊まって」と言ってくれていた。だがレバノン攻撃がはじまってから観光どころではなくなった。スペインから帰って連絡すると「叔母がレバノンに住んでいるのにまだ連絡できない。怪我していないかとても心配。フランスはサッカーで浮かれていて私たちの事なんか忘れていた」と悲しそうにしていた。

  さきほどレバノン在住のジャーナリスト安武塔馬さんのメルマガが届いた。ちょうど日本出張中に戦闘となりレバノン人の奥さんと3歳と1歳、二人の子供の待つ国になかなか帰国できないその様子が綴られていた。「レバノンに戻れず、家族に万が一のことがあったら、悔やんでも悔やみきれない」という思い。読んでいても苦しくなった。

  いったいどれほどの家族が眠れぬ夜を過ごしていることだろう。安武さんは家族と無事再会できたが、もう二度と家族と会えない人たちもいる。日本人にとって紛争など遠い国の関係ない話だろう。ヨーロッパは中近東やアフリカと近いだけに仕事で観光で常に行き来がある。それだけに無関心ではいられない。国際情勢に振り回されて犠牲となるのは一般の住民なのだ。

  一日でも早く停戦になってほしい。そう願わずにはいられない。

  ベイルート通信 中東情勢を伝えるホームページ
  安武さんのメルマガはJapan Mail Mediaのサイト上で最新版だけ閲覧可能だ。(これを投稿する時点ではまだ掲載されていない)。

       追加情報

  もうひとつ購読しているメルマガが届いた。「ロシア政治経済ジャーナル」である。こちらはモスクワに住む北野幸伯さんが書いている。今日の内容は「中東戦争勃発!すべての紛争はイランに通ず2」というタイトル。バックナンバーも読めるようになっている。北野さんの著書:ボロボロになった覇権国家

  内容についての是非は私には判断しかねる。だがいずれにせよ中東には石油という強みがある。その利権をめぐって熾烈な駆け引きが行われているのは確かだろう。庶民にとっては政治のことなどまるで雲をつかむような話だ。ある日突然爆弾が降ってきて、家を出て行かなければならない。そんな悲しい現実があるだけである。
  

【エルサレム5日共同】イスラエル軍は5日、レバノン第3の都市、南部サイダを空爆するため、全市民に退去を要求した。イスラエル紙ハーレツ(電子版)は空爆を開始したと伝えたが、同国軍報道官はこの報道を否定した。同軍報道官は4-5日の36時間で、レバノン全土で約160回の空爆を実施、イスラエルをロケット弾で攻撃するイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対する軍事作戦が激しさを増している。同軍はサイダ空爆を前に、市民に危険を知らせるビラをまいた。同市の人口は約15万人。レバノン警察当局者は5日、欧州メディアに対し、イスラエル軍の空爆や砲撃は「今日が最悪だ」と述べた。 8月5日 共同通信

  

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ブルターニュ特産 有塩バター

Beurre_de_baratte2
  ブルターニュ独特の有塩バターとは、天然のゲランドの塩の粒が練りこまれたバターのこと。バゲットにバターを塗って口にほうばると、塩の粒が後から口の中で溶けて、ほのかな海の味が広がってゆく。日本で食べていたバターとは比べ物にならないほどおいしい。ブルターニュでは料理にもお菓子にもふんだんバターが用いられる。

  いろいろ食べ比べてみたが、写真の2つの商品がおいしいと思う。上はCORALISという会社のもの。2005年度のPrix Meilleure Nouveauté en Bretagne特選新製品に選ばれた商品なのだ。

  下はLAITERIE LE GALLの商品である。1923年から伝統を守り、作り続けられているこだわりの品である。Beurre_de_baratte1同じ会社のle gall DOUXは農務省主催2005年のコンクールで銅賞を受賞しているから、その実力も折り紙つき。ブログLyon Newsにle gall のバターとして紹介されている。

  甲乙つけがたいのだがあえて選ぶとしたら上のCORALISの商品だろうか。微妙にさっぱりしていてやめられない味なのだ。パッケージも個性的でこのまま食卓に置けるのがいい。このバターにジャムやハチミツをたっぷり塗ったパンと紅茶。これだけで幸せな気分になる。


   < 関連エントリー >

  Jean-Yves BORDIER ジャン・イヴ・ボルディエさんのお店
  ボルディエさんの貴重なバターを購入できます

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2006.08.04

タイトルの写真を入れ替えたはずが・・・

  メインタイトルの写真をいったんいれかえ、もう一度違う写真にして、文字を白抜きにして・・・ と変更しているうちになぜか写真が表示されなくなりました。疲れたのでまた明日やり直します。

  結局違う写真にしました。はじめは森の写真にするつもりだったのですが、なぜか海の写真に!サン・マロです。島の後方に白く小さく写っているのはヨットです。

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2006.08.03

メルランの生涯(アーサー王伝説)

Myrdhin_1
  29日、土曜日の夜、Les Nuits des Rives Celtesに出かけた。音楽もさることながら、12des meilleurs conteurs de ce Pays 12人の秀でた語り手たちが集まっていたのである。

  Roger le Contou&Fred le Disouの2人はガロ語をまじえて、ある一家の話をした。掛け合い漫才みたいに底抜けに楽しくて、少々卑猥な話も盛り込まれていた。観客は大声でお腹をかかえて笑い転げていた。だいたいの筋はあるものの、その場ののりで言葉を変えてゆくので全く同じ話にはならないそうだ。

  その後数人の話を聞いたが午後11時からのMyrdhinミルディンの語りは秀逸だった。ケルティックハープを爪弾きながら語られるLa Vie de Merlinメルランの生涯。伝説の森La forêt de Brocéliandeブロセリアンドにまつわるアーサー王伝説である。これは数日前に書いたLe Barzaz-Breiz バルザス・ブレイスをもとにしたものなので、一般に知られている話とは異なっている。
Myrdhin1jpg

  メルランがハープを弾きながら呪文を唱えると石さえも空を飛ぶのだ。魔法をかけるには正しい時間に正しい場所で、決められた旋律を奏でなければならない。ハープは魔法をかけるのにかかせないものなのだ。目をとじて大空に数千の石が舞い上がるさまを想像した。

  アーサーが岩にささったエクスカリバーを抜く。まばゆい光が大地を照らしハープの音色が高らかにに鳴り響く・・・待ち望まれた偉大な王の到来である。

  この演奏があまりに素晴らしかったのでCDを購入して家でくり返し聴いている。MyrdhinミルディンはRencontres Internationales de Harpe celtiqueの主催者のひとりである。縁があってこの数ヶ月で何度も会っているのだが、このように長い演奏を聞くのははじめてだった。このCD、ネットで検索してみたがでてこなかった。どうしても欲しい方はメールで連絡していただければ仲介できるのでどうぞ。

  これまでにもブルターニュのアーサー王伝説について何回か述べたことがあるが、ブルターニュには英国と異なるアーサーの物語がたくさん伝わっている。各地の教会にもゆかりの彫刻やステンドグラスがあったりするのである。アーサー王の居城もあるほどなのだ。私はこれらをたずねてブルターニュじゅうをくまなく巡っている。

  伝説は口承で語り継がれてきた。この夜のように。長い冬の夜、暖炉の前で「続きを話してよ」とねだる子供たちの姿が目に浮かぶ。久しぶりにメルランとヴィヴアンヌが暮らしていた不思議の森、ブロセリアンドをたずねよう。

  
  参考文献

  ケルトの森・ブロセリアンド  田辺保著 青土社 1998 

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2006.08.02

ブログ上の物々交換で一軒家を手に入れたカナダ人男性

  ブログを書くだけで一軒家を手に入れたカナダ人男性がいる。その期間わずか1年間。彼が用意したのはペーパークリップ1個だけだった。

  赤いペーパークリップ1個を物々交換することによって、一軒家を手に入れてしまったのだ。「ネット版わらしべ長者」になったのはカナダに住むKyle MacDonaldさん。26歳の若者である。ブログはone red paperclipである。

  私が彼のことを知ったとき、ちょうど住宅の賃貸契約(1年間)を手に入れたところだった。友人たちと「まさか、一軒家は無理だよね」と話したのだが、それから数ヶ月で本当に家と交換してしまったのだ。

  ネット上ではありとあらゆる可能性がある。彼は本も執筆しているし、「映画やテレビ放送権などについて団体の方々と交渉している」というから、これからの展開も注目されている。だが「インターネットはコミュニケーションの手段」で、実際に人と会うことで目標が達成できたと述べている。

  私自身もブログを通じて知り合った人たちと、一緒に食事をしたり、ドライブに出かけたりしている。家にとめてもらったことまであるのだから、ネットの持つ威力ははかりしれない。会ったことはなくても心のこもったメールをいただくと励みになる。

  また日本語で書いているにもかかわらず、案外フランス人の眼にとまっていて、リンクしてくれているのだからとてもうれしい。このようにしてブログをきっかけとして生まれた交流はかけがえのないものなのだ。これからもどのような出会いがあるか、ワクワクしながら書き続けたい。


     参考

  「ネット版わらしべ長者」--一軒家を手に入れるまでの軌跡 CNET News.com

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