メルランの生涯(アーサー王伝説)
29日、土曜日の夜、Les Nuits des Rives Celtesに出かけた。音楽もさることながら、12des meilleurs conteurs de ce Pays 12人の秀でた語り手たちが集まっていたのである。
Roger le Contou&Fred le Disouの2人はガロ語をまじえて、ある一家の話をした。掛け合い漫才みたいに底抜けに楽しくて、少々卑猥な話も盛り込まれていた。観客は大声でお腹をかかえて笑い転げていた。だいたいの筋はあるものの、その場ののりで言葉を変えてゆくので全く同じ話にはならないそうだ。
その後数人の話を聞いたが午後11時からのMyrdhinミルディンの語りは秀逸だった。ケルティックハープを爪弾きながら語られるLa Vie de Merlinメルランの生涯。伝説の森La forêt de Brocéliandeブロセリアンドにまつわるアーサー王伝説である。これは数日前に書いたLe Barzaz-Breiz バルザス・ブレイスをもとにしたものなので、一般に知られている話とは異なっている。
メルランがハープを弾きながら呪文を唱えると石さえも空を飛ぶのだ。魔法をかけるには正しい時間に正しい場所で、決められた旋律を奏でなければならない。ハープは魔法をかけるのにかかせないものなのだ。目をとじて大空に数千の石が舞い上がるさまを想像した。
アーサーが岩にささったエクスカリバーを抜く。まばゆい光が大地を照らしハープの音色が高らかにに鳴り響く・・・待ち望まれた偉大な王の到来である。
この演奏があまりに素晴らしかったのでCDを購入して家でくり返し聴いている。MyrdhinミルディンはRencontres Internationales de Harpe celtiqueの主催者のひとりである。縁があってこの数ヶ月で何度も会っているのだが、このように長い演奏を聞くのははじめてだった。このCD、ネットで検索してみたがでてこなかった。どうしても欲しい方はメールで連絡していただければ仲介できるのでどうぞ。
これまでにもブルターニュのアーサー王伝説について何回か述べたことがあるが、ブルターニュには英国と異なるアーサーの物語がたくさん伝わっている。各地の教会にもゆかりの彫刻やステンドグラスがあったりするのである。アーサー王の居城もあるほどなのだ。私はこれらをたずねてブルターニュじゅうをくまなく巡っている。
伝説は口承で語り継がれてきた。この夜のように。長い冬の夜、暖炉の前で「続きを話してよ」とねだる子供たちの姿が目に浮かぶ。久しぶりにメルランとヴィヴアンヌが暮らしていた不思議の森、ブロセリアンドをたずねよう。
参考文献
ケルトの森・ブロセリアンド 田辺保著 青土社 1998
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