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2006.11.12

平常心を取り戻す秘薬 その2 天国と地獄

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    さてフランスの最も美しい村々にも選ばれているConquesコンク。そんな小さな村で偶然出会ったムッシュー・モワンは教会の入り口前で私をまっていてくれた。サント・フォア教会のタンパンは天国と地獄の姿をくっきりと浮かび上がらせた彫刻で有名である。

  私の長年の研究テーマは「生と死」なので、これまで「死」を表現したフレスコ画や彫刻をたくさん見続けてきた。サント・フォア教会の彫刻は評判にたがわぬ傑作だ。ここではキリストはそれぞれの手で「天国」と「地獄」を指し示している。「救済」と「劫罰」がはっきりと目に見えるように区別されているのである。

  下の写真は「地獄」の一部分である。中央に座っているのが地獄の大王。左端の馬から引きずりおろされている領主(くさび帷子着用)は「傲慢」を、互いの首を縄でくくられている男女は「淫乱」を、大王の右側で首を吊られている男は「吝嗇」を、その足元で舌を引っ張られている男は「虚偽」を、それぞれ象徴している。拷問を加えられている人間の血管まで浮き上がって見えるほど細かな描写なのに恐怖がわいてこない。

  このタンパンの前で静かにムッシュー・モワンは話し始めた。「昨日の夜はもと修道院の建物に泊まったんだけれど、エネルギーが満ちているのを感じたよ」。それから次第に心の仕組みに話はうつっていった。「人にはそれぞれ苦手なものがある。怖さはいろいろな種類に分類できるんだ。犬が怖いとか闇が怖い。過去のひどい体験が忘れられない、または得体の知れないものやまだ起きていない未来が怖いとかね。客観的に自分を見つめなおすことが、第一歩なんだ」と。
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  私はめったに自分のことを人に話さないのだが、この村全体を包み込む雰囲気がそうさせたのだろうか。過去について、そして現在について聞かれるままに、正直にありのままを答えた。そうして30分くらい話しあっただろうか。彼はいくつかの製品の名前と使用方法を書いてくれた。「このメモを持って薬局に行けばいいよ。それからコニャックとミネラルウォーターも忘れずに。これは薬ではないから副作用もない。きっと心が楽になるから」。

  ひとりひとりの症状に応じて組み合わせを変えるらしいのだが、それとは別にたとえばひどいショックを受けたとか、受験前とかイザという時にほんの数分で平常心に戻るまるで魔法のような処方もあるという。一種の植物療法だが、私がこれまで知識のあったアロマテラピーや、フランスでは普通に行われているホメオパシーではないという。ではいったいどういうものなのか。
  
  その3に続く  (その1はこちらから)

 
    関連書籍

  Le tympan de Conques en détail コンクのタンパンについての解説書 写真入りで詳しい説明がはいっているのだが、30ページと小冊子なので携帯できる
  フランス・ロマネスク この本のコピーを持参して見学した
  ロマネスクの図像学〈上〉
  ロマネスクの図像学〈下〉

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