森の思想が人類を救う
哲学者、梅原猛さんは森の思想が人類を救うで、日本人の心の中に森が息づいていることを思い起こさせてくれる。森の文明について述べられた箇所にハッとした。
家や船の材料になる樹木は、熊や、樹木の姿になって人間のもとにみやげをもって訪れた客人(まれびと)と考えられています。ですから、人間はその客人の意志に従っておいしい肉や、温かい毛布や、どんぐりや、材木をありがたくいただきますが、その霊はていちょうにあの世へ送るのです。彼らの考えでは、あの世は、死んだ人間ばかりか、死んだ熊や木もこの世と同じような生活を営むところなのです。
この後まだまだ興味深い記述は続くのだが、ここには書ききれないので手にとってご覧いただきたい。上記のような考え方はアイヌやケルトの宗教、ドルイド教にも相通ずるものがある。ブルターニュではまだ一部で信仰を持ち続けている人たちがいるのだが、またこの話は日をあらためて。
さて私が本屋に行くと必ずページをめくるのは、Arbres remarquables de Bretagneである。この本はブルターニュの巨木ばかりを掲載した本で、発売は2005年1月。この年のPrix Meilleure Nouveauté en BretagneブルターニュのLe prix du livre特選出版物に選出された。写真家Olivier Hameryは撮影に2年をついやしたそうである。Leica Mライカを使用したらしいが、どの機種なのか知りたいものだ。
樹齢数百年を経た巨木はそこにたっているだけでいとおしい。このブログでも以前ブルターニュの古木というエントリーでブルターニュ最古のchêne(カシ、カシワ、ナラなどのコナラ属)の写真をお見せしたことがある。ここではわざと人物がうつっている写真にした。木の大きさを人間の身長と比べてほしかったからだ。
梅原猛さんは上記の本で「日本の神道は私は本来、森の宗教であったと思う」と述べている。「森のない神社は神社ではない」という連想は誰でも抱くものであろう。自然崇拝イコール大樹崇拝は世界共通のものだったと私も考えている。今だからこそ人は森に帰るべきではないだろうか。
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