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2006.11.26

森の思想が人類を救う

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    哲学者、梅原猛さんは森の思想が人類を救うで、日本人の心の中に森が息づいていることを思い起こさせてくれる。森の文明について述べられた箇所にハッとした。

家や船の材料になる樹木は、熊や、樹木の姿になって人間のもとにみやげをもって訪れた客人(まれびと)と考えられています。ですから、人間はその客人の意志に従っておいしい肉や、温かい毛布や、どんぐりや、材木をありがたくいただきますが、その霊はていちょうにあの世へ送るのです。彼らの考えでは、あの世は、死んだ人間ばかりか、死んだ熊や木もこの世と同じような生活を営むところなのです。

  この後まだまだ興味深い記述は続くのだが、ここには書ききれないので手にとってご覧いただきたい。上記のような考え方はアイヌやケルトの宗教、ドルイド教にも相通ずるものがある。ブルターニュではまだ一部で信仰を持ち続けている人たちがいるのだが、またこの話は日をあらためて。

  さて私が本屋に行くと必ずページをめくるのは、Arbres remarquables de Bretagneである。この本はブルターニュの巨木ばかりを掲載した本で、発売は2005年1月。この年のPrix Meilleure Nouveauté en BretagneブルターニュのLe prix du livre特選出版物に選出された。写真家Olivier Hameryは撮影に2年をついやしたそうである。Leica Mライカを使用したらしいが、どの機種なのか知りたいものだ。

  樹齢数百年を経た巨木はそこにたっているだけでいとおしい。このブログでも以前ブルターニュの古木というエントリーでブルターニュ最古のchêne(カシ、カシワ、ナラなどのコナラ属)の写真をお見せしたことがある。ここではわざと人物がうつっている写真にした。木の大きさを人間の身長と比べてほしかったからだ。

  梅原猛さんは上記の本で「日本の神道は私は本来、森の宗教であったと思う」と述べている。「森のない神社は神社ではない」という連想は誰でも抱くものであろう。自然崇拝イコール大樹崇拝は世界共通のものだったと私も考えている。今だからこそ人は森に帰るべきではないだろうか。

  

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コメント

世の中の全ての生き物には「命」があります
それらから受ける「自然の恵み」は人間には無くては
ならないものです。
「ありがたみ」を忘れた瞬間に
営利目的だけの森林伐採や乱獲などはじまり
その結果、今地球は悲鳴をあげています。
自然への感謝の気持ち・・・
本当に大切だと思います。

投稿: うーさん | 2006.11.26 16:32

こんにちは

フランスの森はどんぐりが多いのです。秋に森を歩いていると、ガサガサ音がして、ちょっと怖かったのですが、それはどんぐりが木から大量に落ちてきた音だったとわかりました。

これらのどんぐりは動物たちの食料となり、あまったものから新たな木が芽吹いてゆきます。そんな森が家のすぐ横にある、それがフランスの魅力です。

投稿: 市絛 三紗 | 2006.11.26 16:47

こんにちは 梅原猛氏の講演を4年前聴きに行ったことがあります。「怨霊と縄文」徳間文庫、「君は弥生人か縄文人か」中上健次氏との対談、集英社も興味深かったです。日本語はアイヌ語と古代朝鮮語からできたとか。梅原氏が、古代韓国人である柿本人麻呂が、平仮名を作ったと書かれていました。天皇家祖先は、高句麗、百済、新羅から来日されたとのこと。小林恵子(やすこ)著「興亡古代史」文芸春秋社には、古代の政権争いというか、国を超えて移動するモンゴル出身のハーンが来日して厩戸皇子になったという説を書かれていて、スケールの大きいことに感嘆します。
古代から現代まで、権力争いや策謀が似た形で継続していることにも驚きました。ジャパンハンドラーズhttp://amesei.exblog.jp/を見てそう思いました。

投稿: Paris | 2006.11.28 01:52

アイヌの貴重な文化を伝える「金成(かんなり)マツノート」の翻訳にかかる費用を打ち切る予定と聞きました。

ブレイス語もそうですが、消滅してからでは遅いのですよ!

投稿: 市絛 三紗 | 2006.12.01 03:12

日本人のルーツを記録に残す情熱を持った、資金のある人がいませんでしたね。現代の日本人が、突然宙から湧き出たわけではないので、年をとったらルーツに興味が出てきました。しかし、逆に、それを残したくない人々もいるのかも。つまり、あたかも、自分達が歴史の元だとか歪曲したい人々など。「驕れる白人と闘うための日本近代史」松原久子著
文芸春秋社にも、近代の欧州とアジアを比較しているところがあり、考えさせられます。例えば中世、オリエントと貿易にあたり、欧州では白人をさらってきたり、戦争で負けた白人を奴隷として売買していたということは、ここでも黒海貿易とぼかしてさらっと数行のみ教科書にのっているそうな。当時は中国を始め、アラブ、アジアの方がリッチだったということ、ピンと来ませんでした。全ておカネにならなければ採算が
取れない、とボツになるのは悲しいことですね。ロシアも一時そうだったそうですが、最近は、残したいものは、採算に合わなくても出すように変わってきたと米原万里さんが書かれていましたが。金成さんのこと、欧米のマスコミに投書して、寄付を募るとかはいかがでしょう?

投稿: Paris | 2006.12.01 22:50

parisさん。こんにちは。

>欧米のマスコミに投書して、寄付を募るとかはいかがでしょう?
日本の文化を伝承するのに、他の国にたよるのは本末転倒だと思います。

parisさんは豊富な話題をお持ちなので、ご自分のブログなどで情報発信されてはいかがでしょうか。きっとほかの方も興味をもたれるはずですから。ぜひどうぞ!

投稿: 市絛 三紗 | 2006.12.02 00:29

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