平常心を取り戻す秘薬 その1 巡りあい
微笑みをたやさずにいたいと思っても心をコントロールするのは容易ではない。知らぬ間にバランスが微妙にくずれ、いらいらしたり落ち込んだりする。
体調がすぐれないとなおさらだ。10日ほどまえから風邪で喉が痛くなり、それがおさまったと思ったら鼻炎になって、まだ完全にはもとに戻っていない。今日は数年ぶりの偏頭痛に悩まされた。それに背骨のずれから来る痛みはもう1ヶ月も続いている。だが、風邪で寝込んでいる間に非常に興味深い体験をした。眠るたびに楽しくてたまらない夢を立て続けに見たのだ。
実は1週間前からあるものを服用している。それが確かに心に効いているのだ。身体はなかなか回復しないのだが、驚くほど気分は落ち着いて安定している。その秘薬を処方してくれたのは、Conquesコンクで知り合った男性で苗字が何とMoineモワン(修道士という意味)さん。徒歩で巡礼している途中だった。
この出会いもおもしろいものだった。私が観光案内所で聞いた民宿でその夜の宿泊を頼んでいたら、大きなリュックを背負った男性がやってきて、「chambre(部屋)はありますか」と聞いた。「すみません。こちらの女性がたった今決めたところです」とことわった。私が横から「ベットはひとつ空いてますけれど」とつぶやくと、男性は不思議そうにじっと私の顔を見ていた。そしてもういちど「champooing(シャンプー)がほしいのです」と言った。
オーナーと私はしばらく考えてから大笑い。そこで別れたのだが、Conquesコンクは狭い村なので誰もがすぐに顔見知りになる。Moineモワンさんは教会前で再び出会った私を「別の店でシャンプーを買い、さっぱりしました。やはり相部屋お願いできませんか」とからかいながらも巡礼仲間に紹介してくれ、8人と一緒に夕飯を食べた。よく話を聞くと、私の部屋は彼と友人がその前日にキャンセルしたものだった。ほかの人たちも別の道ですでに挨拶を交わしていた人たちだった。
それぞれ同じ順路を歩いているうちに親しくなった人たちだそうだ。巡礼路は長いのですべての行程を一度に歩き通す人はごくわずかしかいない。彼の場合は友人に誘われ、2週間だけ参加している。この8人のうち6人がこの日が巡礼の最終日だったこともあり、教会でパイプオルガンの演奏を聴き夜半まで話がはずんだ。職業をたずねるとしばらく考えて「エネルギー研究家」だという。「たとえば風力発電とか、そういうものですか」という問いに「いやいや、生体エネルギーです」という答えが返ってきた。もう時間が遅かったので、翌日の朝教会の前で待ち合わせをした。
その2につづく
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コメント
しばらくPCにアクセスできない間に、待望のコンク編が始まっていました!
素晴らしい光景ですね。
内陣よりのトリビューンから入口へ向けてですか(それとも逆?)
この写真はご自身でお撮りになったものですか?
この空間の中に身を置いてみたいものです。
投稿: K | 2006.11.14 19:59
こんにちは
>内陣よりのトリビューンから入口へ向けてですか
そのとおりです。昼間は立ち入り禁止なのですが、夜5ユーロお金を払うと2階部分を歩けます。
パイプオルガンの演奏を聴きながら30分くらい上でいたのですが、柱頭の彫刻が素晴らしかったです。写真は自分で撮ったものです。
投稿: 市絛 三紗 | 2006.11.14 23:50