蒼い聖母ご出現の地 Pontmainポンマン その10

それまで蒼い服を着た女性は両手を下ろしていたのだが、その手を肩の高さまで上げた。そして聖歌のリズムにあわせ微笑みながら、指をゆっくりと動かした。「笑っていらっしゃる。何て美しいお姿だろう」と子供たちは手をたたきながら飛び上がった。「今まで見たことなかったもの」「お側まで飛んでゆけたらいいのに」「羽があったらなあ」口々に感想を述べながら、空を見上げる子供たち。
しばらくすると聖母の表情がくもったようだった。そのとき真っ赤な十字架が出現した。よく見ると真っ赤なキリスト磔刑像をともなっていた。ひとつの星が下の方から上に移動して、聖母の身体の周りにある4本のロウソクに火がともった。村人たちは一心不乱に祈った。
シスターMarie-Edouard マリー・エドワールがAve Maris Stella アヴェ・マリス・ステラ(めでたし、海の星)を歌いはじめると、赤い十字架が消え、聖母は両手を元のように下げた。それから聖母の両肩のところに真っ白な十字架が2つあらわれた。「ああ。微笑んでいらっしゃる」と子供たちもうれしそうにつぶやいた。
ちょうど、夜のお祈りの時間だった。各々がその場に跪きひたすら祈った。すると白いベールが足元から聖母をつつみはじめ、その身体が見えなくなった。もう顔も判別できなくなっていた。そして4本の火のついたロウソク、蒼い楕円形の縁取りも闇にまぎれてしまい、すべてが終わった。
時刻は午後9時になっていた。静かな安らぎに満たされ、村人たちは家に帰った。心配はすべて消え去っていた。
Ave Maris Stellaの歌詞日本語訳 解説も素晴らしい。
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