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2007年10月の記事

2007.10.31

地球温暖化が進めば、山はどんどん高くなる?

Montblanc07

    ヨーロッパの最高峰Mont Blanc モン・ブランの標高はこれまで4808.75mとされていた。ところが、9月に測量したところ4810.9mメートルとこの2年間で、2.15m高くなっているという。地球温暖化のせいで氷河は溶けているというのに、これはどういうことだろうと首をかしげた。

  どうも暖かくなったせいで、高い山の上でも雪が降り、標高も高くなったというのだ。すぐには納得できないが、測量結果が異なっているのだから、これから山はどんどん高くなるのだろうか?

  写真はAiguille du midi エギュー・ド・ミディ(3842m)から見た神々しい美しさのMont Blanc モン・ブラン。今年の春、4度目でやっとエギュー・ド・ミディに登ることができたが、この時は快晴だった。

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2007.10.30

世界でいちばん贅沢な生活

  NHK Bourgogneブルゴーニュ特集 小さな村の豊かな実り、Savigny les Beaune サヴィニー・レ・ボーヌ村の物語 「極上のワインを愛でる」にはエッセイストの玉村豊男さんが出演。

なだらかな丘陵地帯に見渡す限り広がるブドウ畑。サヴィニーは、ブルゴーニュの中でも最高級のワインを生み出すことで知られるコート・ドール(黄金の丘)に位置するワインの村。ここでは9月、ワインを試飲しながらブドウ畑を歩く、ワイン遠足が開催され、遠方からも多くの参加者を集める。ワイン醸造の営みと極上の味わいを紹介するとともに、村のワイン農家に嫁いだある日本人女性の奮闘ぶりも伝える。

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  畑をぬけて丘を登りつつワインを味わうツアーは、実に楽しそうだった。生産者と語りあいながら首からぶら下げたグラスでワインを飲むことができる。丸一日かけて歩きながら25杯ものグラスを空にした人までいた。そこにワインをサービスする日本人女性がいた。ビーズ千砂さんだ。「毎日おいしいワインを飲めてうらやましい」と思うだろうが、ブドウ栽培は天候に左右されるので、品質管理は大変だ。ブドウ摘みを手伝ってくれる人たち、約50人分の食事を用意するのも大切な仕事だ。

  その日常生活をつづった本がブルゴーニュワイン村で見つけた世界でいちばん贅沢な生活la plus belle vie au mondeだ。購入して読んでみた。たくさんのお客をもてなし、地元でのつき合いをこなす。忙しくても充実した暮らしが目に浮かぶ。

  だが近年フランスのワイン消費量は減少しているし、チリや中国といった人件費の安い国で生産されたワインが増加している。ブルゴーニュでも廃業においこまれる生産者が少なくはない。いろいろ苦労はあるだろうが、ブルゴーニュワインを守り続けてほしい。ビーズ千砂さん一家が手塩にかけたワインDomaine Simon Bize et Filsは日本でも購入できる。下にその一部をあげておいた。

シモン・ビーズChevalier Montrachetシュヴァリエ・モンラッシェ2000
シモン・ビーズの新しいチャレンジ。ジュブレ・シャンベルタンのグランクリ...
コルトン・シャルルマーニュ [2003] シモン・ビーズ750ml 白 辛口
シモン・ビーズSavigny Les Beaune Aux Vergelessesサヴィニ・レ・ボーヌ・オー・ヴェルジュレ...
シモン ビズ ブルゴーニュ ルージュ レ ぺリエール 2003


Savigny en tous sens Savigny les Beaune サヴィニー・レ・ボーヌ村で9月の第一日曜日に開催される試飲ツアー

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2007.10.27

サントリー天然水のおまけ

Suntory

  スーパーで見つけた小さな幸せ。サントリー天然水のペットボトルについていたおまけです。SUNTORY Kitchen Gardeningを取り出して種をまいてみました。サントリーと第一園芸のコラボ・ノベルティ第2弾ということです。


■種の種類 全6種
○イタリアンパセリ ○小かぶ ○小ねぎ(万能ネギ) 
○チンゲン菜 ○ミニニンジン ○ラデイッシュ 
■容量 各20粒程度
■内容 PPミニ鉢 ネームプレート ヴェルデナイト用土
■添付期間 景品無くなり次第終了
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  私の種は小かぶとイタリアンパセリです。発芽は3~14日と書いてありましたが、2日で小かぶの芽が出ていました。キッチン・ガーデンというだけあってミニ野菜なんですね。小かぶは数日中に少し深めのプランターに植え替えようと思います。

  イタリアンパセリは春に株を買って植えていました。立派に育っていたのですが台風で枯れてしまいました。ですから早く芽がでないかと楽しみにしています。

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2007.10.24

フランスの異境をゆく 週刊新潮

Shincho

  週刊新潮8月30日、巻頭のカラーグラビア6ページは「さいはての祭典」だった。Bretagne ブルターニュの西部にあるQuimperカンペールで行われたコルヌアイユ祭りのレポートだった。後ろのほうには「フランスの異境をゆく」というグラビアが3ページあった。
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  上部右側の写真で女性の被っている白いレースをla coiffe コワフと呼ぶ。村ごとに形がちがうので、地元の人は見ただけでもどの村か判別できるのだ。右の華やかなオレンジ色の刺繍と高いコワフはPont l'Abbé ポン・ラベのもの。淡いブルーの衣装をつけた女性は今年のコルヌアイユの女王である。

  「フランスの異境をゆく」にはCarnac カルナック等の巨石や教会にある石の彫刻が紹介されていた。

Fête des Brodeuses 2006 刺繍祭り

  

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2007.10.22

中国にあるエッフェル塔

  いつだったか忘れたが、テレビを見ていると、「中国にエッフェル塔完成」という映像がながれていた。高さは108メートルある。浙江省杭州市の郊外(上海の南部)にある「広廈天都城」という場所だ。パリのアパートを模倣した大通りの端にエッフェル塔がそびえたつという光景だった。

  ホームページの写真では、Le château de Versailles ベルサイユ宮殿の庭にあるアポロンの泉やラトーヌの泉、それからLe château de Vaux-le-Vicomte ヴォー・ル・ヴィコント城、はたまた化石林まであるではないか。でも中国語の説明ではさっぱりわからない。そう思って探してみるとおもしろい記事があった。

  「上海不動産ミステリー」という連載の5回目、そこまでやるか? パリをエッフェル塔ごと縮小コピー(日経BPnet 10月15日)である。この記事を読んで、ここはテーマパークではなく、ニュータウンなのだとわかった。総敷地面積48万平方メートル。80億元(1280億円)をかけて建設が進んでいるのだとか。

  連載の1回目は“チャーチル”が佇む無人の英国式ニュータウン(日経BPnet 9月14日)という内容だ。こちらは上海市松江区にあるロンドンの「テームズタウン(Thames Town)」の話。総敷地面積は98ヘクタールだから、街としてまとまっている。

  それでも実際に住まず、投資物件として購入する人たちが多いらしい。日本のバブル時代を彷彿とさせるが、ほんとうに値上がりするのかは疑問だ。

  

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2007.10.21

フランスのストライキ終了

    フランスで17日から実施されたストライキだが、日曜日になって交通機関も平常にもどった。Transports: retour à la normale pour dimanche(TF2)

  その概要はすでに報道されているとおりだ。仏の公共交通、電力・ガスなどが全土で24時間スト(読売新聞 10月18日)

  フランス国鉄、パリ市交通公団、電力・ガス両公社などの主要官公労は17日深夜から、全土で24時間の時限ストライキに突入した。国鉄の幹線のほか、都市部の交通がほぼ全面的にマヒしている。

 ストは、官公労職員を優遇している年金特別制度の撤廃を打ち出したサルコジ大統領に対し、方針撤回を求めるもので、サルコジ政権下での大規模なストは初めてだ。

 同特別制度は、労働者全体の1割に満たない一部の官公労職員の「特権」と受け止められており、是正の必要性が長く叫ばれてきた。仏メディアの世論調査では、約8割の国民が大統領の改革案を支持。「ストには正当性がない」と考える国民も6割程度に達しており、大統領は「ストに屈して方針を変えることはない」と強気だ。

  一般的な定年は60歳だが、国鉄SNCFの運転手は50歳。「かつては日本でもそうだったように蒸気機関車が走っていた。石炭を補給するのは重労働だったから、定年も早かったってわけだ。それが今まで改定されていないのだから、時代にそぐわなくなってきているんだよ。見直す時期じゃないかな」というのはSNCFに勤務している友人の話である。

  このような公共交通機関のストライキで足がわりに利用されたのが、パリのレンタル自転車Vélib' ベリブだ。7月15日にスタート以来、予想を大幅に上回る人気となっている。通勤に利用している人が多いし、24時間利用可能という手軽さもうけている。これからパリ郊外に拠点が増えてゆけば利用価値は高いと感じた。

  パリ市内では何かイベントがあると交通が麻痺してしまうので、自転車は非常に便利なのだ。先月パリのリヨン駅から空港に向かおうと、エールフランスバスを待っていた時のことだ。渋滞がひどくて結局バスはモンパルナス駅からシャルルドゴール空港に直行。規定のルートであるリヨン駅には来なかった。その理由はバスチーユ広場でテクノフェスティバルがあって若者が道路にあふれていたからだ。

  エールフランスの人がタクシーを止めてくれて空港に向かったが普段なら1時間のところ2時間以上かかった。このバスを利用する方も多いと思うが、くれぐれも時間には余裕を持って出発したほうがいい。
  
  パリのレンタル自転車事業が大はやり(日経BPnet 10月17日)
  Vélib' ベリブ ホームページ

関連情報

  11月のストライキ予定 11月13日からのストライキ情報
  フランス11月のストライキ 追加情報 随時追加

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2007.10.20

前例のない現職大統領の離婚劇

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  現職大統領の離婚が公式に発表されたが、国民は冷静に受け止めていた。この夫婦が数年前から別居状態であったことを誰もが知っていたからだ。サルコジ大統領は離婚に対しての記者の質問にも具体的なことは語らず、マスコミに八つ当たりする有様。

  選挙期間中も戻ってこなかったセシリア夫人が大統領に選ばれた夜(新大統領決定の夜、参照)に帰ってきた。プライベートジェットでマルタ島に飛び超豪華クルーザーに乗ってひさしぶりの家族団らん。サルコジ氏は大統領の権力を国民にではなく妻に誇示して、何とかつなぎとめておきたいとあがいているようだった。しかし居所を隠して雲隠れしたものだから、スクープされ途中で帰らざるをえなくなった、Cecilia_sarkozy_l_interview_exclusi

  夏のヴァカンスもシラク元大統領夫妻のように南仏Le fort de Brégançon ル・フォー・ド・ブレガンソンにある別荘ですごしていれば何の問題もなかった。それなのにわざわざアメリカまで出向き、44000ユーロもする
実業家の別荘に招待(Deux riches familles ont payé les vacances des Sarkozy)してもらった。おまけにカヌーを漕いでいる写真の贅肉まで修正されていたことが発覚。大恥をかくはめになった。そのような恨みが積もってノーコメントとなったのだろうか。

  それでも商魂たくましい女性誌Elleは発売日を2日も前倒しして、セシリア元大統領夫人の特集を組んできた。ニュースを検索しようとフランスのYahoo(2枚の写真はクリックすると拡大)を開くと、Elleの広告が出ていた。いつインタビューしたのかと考えてしまう。

  フランスで国の元首が離婚したのは「フランス人民の皇帝」ナポレオン・ボナパルトがジョゼフィーヌと1908年に離婚してから約2世紀ぶりのこと。大統領制度となってからははじめてだ。だが王制だったころは結婚の取り消しをしたり、それでも無理なら王妃を幽閉してしまったりと好き勝手にしていたのだから、たかが離婚くらいで騒ぐほうがおかしいのだろうか。

Cécilia : "Nous n'avons jamais menti" TF1のニュース 「我々はうそをつかなかった」とセシリアさん。

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2007.10.15

狩りにかかせないTrompe de chasse 角笛

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  フランスの森には多くの野生動物がすんでいる。これらの森では銃を用いた狩猟が盛んに行われている。私も友人に連れていってもらったことがある。藪の中を歩いて擦り傷だらけになったことを思い出した。一方で猟犬と馬で獲物を追い詰める中世さながらの狩りも続いている。

  歴代の王たちにとって欠かせない娯楽だった狩猟。深い木立をかき分け逃げてゆく鹿やイノシシ等の獲物を数十頭の猟犬が追いつめてゆく。そしてその後を馬に乗った騎士たちが続く。この時互いの意思確認に使われたのがTrompe de chasse 角笛だった。時代と共に動物の角、木、そして銅や真鍮製へと素材は変化した。その長さは4、5メートルもあるというからびっくりだ。3回半巻かれているのであまり大きく感じない。写真はナントで行われていた角笛の演奏の様子だ。

  そして狩猟シ-ズンの秋から冬にかけて、gibier ジビエと呼ばれる野禽類が食卓を彩ることになる。ジビエを料理するのはたいてい男性。自分でしとめた獲物の毛をいそいそとむしっている姿をよく目撃した。イノシシのステーキをごちそうになった翌日は精がついたような気がした。

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ありきたりでは満足できない人々

  農民の妻に対する偏見を取り除く目的でヌードカレンダーを発売したフランスの農家の人たちを紹介した表現の自由

  トイレの形をしたガラス張りの自宅を建築中の沈さんの話。

  フランスと韓国の2つの話題をLes Cahiers Blancsに書いたのでよろしければどうぞ。

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2007.10.12

ファーストレディはもうエリゼ宮には帰らない?

  フランスのファーストレディ、Cécilia Sarkozy セシリア・サルコジさんは、フランスにはいない。どこにいるのかというと、レマン湖のほとりにあるスイスのジュネーブだ。先週はじめ娘の結婚準備のためロンドンにいて、水曜日からはジュネーブのホテルに滞在している。

  以前からのあらましは新大統領決定の夜仏大統領就任に書いておいた。プラダのモンテーニュ店で購入した、サウンドベージュのシルクサテン生地のドレス。おそろいのエナメルの靴を女性誌は賞賛し、そのままエリゼ宮の住人となった。一方それまでは沈黙を守っていた一般メディアは、夫人が大統領に与える影響が大きいと徐々にセシリアさんを批判するような特集を組むようになった。

  Nicolas Sarkozy ニコラ・サルコジ氏がフランス共和国大統領に就任したのは、今年の5月。話題のファーストレディはわずか4ヶ月でエリゼ宮を後にした。この宮殿には365の部屋、957人の雇用人がいる。車だけでも61台もある。前シラク大統領夫人は「エリゼ宮が懐かしい」と語っているが、最初から「エリゼ宮には行かない」ともらしていたセシリアさんにとっては、遅すぎた選択だったのだろうか?Le Parisienは「もう決別したのか」と質問したのだが、公式発表は行われていない。

  Cécilia est bien à Genève Tribune de Genève

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2007.10.10

ノルマンディーの小さな村 Beuvron en Auge ブーヴロン・アン・オージュ

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  Beuvron en Auge ブーヴロン・アン・オージュ。ノルマンディーにある「フランスの最も美しい村々」149村のひとつにも選出されている小さな村。17~18世紀の街並みをBa1975年に当時の材料を用いて復元している。上の建物は民宿になっていた。

  15世紀の木組みの立派な家がシンボル的存在だ。可愛いお店が軒を並べていて、シードルの試飲も出来る。10月の最終ウイークエンドにはシードル祭りが開催される。

  村中競い合うように花が飾られていて、どこを撮っても絵になる風景だ。疲れを癒し、一休みするには最適。数日間のんびり過ごしてみたい。

  Beuvron en Auge 観光案内

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2007.10.09

秋真っ盛り

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燃えるように華やかな衣をまとった家々。さながらオペラ歌手のようだ。

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2007.10.07

ゴーガンの描いたブルターニュ

  たまたまテレビのチャンネルをかえていると、コワフを身につけたブルターニュの民族衣装が目に飛び込んできた。NHK新日曜美術館「画家たちに誘われて フランス風景画紀行」という番組だった。内容は次のとおりだ。

# 鉄道網が全土に広がった19世紀のフランス。画家たちも旅をするようになり、風景画が確立した。モネ、ゴーガン、セザンヌらの絵画と描かれた土地との関係を紹介する。
# 19世紀フランス。道路や鉄道など交通網が発達して旅が身近になり、携帯可能な画材も誕生した。画家たちはパリのアトリエを離れて旅に出るようになり、今まで知らなかった“風景”との出会いに創作意欲をかきたてられた。そして「風景画」が確立し、その中から印象派やそれに続く20世紀の美術の潮流が生まれていった。モネ、ゴーガン、セザンヌらの絵画と、描かれた土地との関係を紹介する。
  ゴーガンはポン・タヴェンで創作活動を行っていて、ブルターニュの風俗を描いた作品も多い。私がたまたま見たのはパルドン祭の映像だった。これは年に一度、地元の教会で日ごろの行いを振り返り、罪を懺悔するというキリスト教、カトリックの宗教祭だ。ケルトと関係はない。

  ごく一部しか見ていないし、録画もしていないので、正確な表現でないことは先におことわりしておくが、映像の説明だけ聞いていると、「パルドン祭はケルトの祭である」というふうにとれるようなナレーションだった。ブルターニュの出来事が何もかもケルトと結びつくわけではないので、誤解しないでほしい。

    参照

  Saint Yves聖イヴのパルドン祭

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2007.10.06

教科書で伝える歴史

  沖縄戦の集団自決を教科書から削除するか否かが問題視されている。この報道を読んで、2005年に自分で書いた記事を思い起こした。沖縄戦での「日本人としての共通の歴史認識」について、もっと真剣に語り合うべきだと思う。


  「フランスとドイツ、共通の歴史教科書作成」

 今年は第二次大戦終結から60年目の節目にあたり5月に各国で記念式典が開催されたことは記憶に新しい。また昨年のノルマンディー上陸作戦(1944年6月6日)60周年の式典でも戦後はじめてドイツのシュレーダー首相とドイツ人退役軍人が招待されたことも話題となった。

 そしてフランスとドイツの退役軍人が互いの戦争体験を語り合い、手を取り合う場面がテレビで放映された。彼らは少なくとも70歳代後半である。このことが画期的であったということは裏を返せば、そのわだかまりがとけるまでそれだけの歳月が必要だったということだ。

 いまのフランスの若者たちはドイツに対して特別な感情をいだいているわけではなく、欧州連合の同胞ととらえているが、まだ戦争の記憶をひきずって、ドイツ人をこころよく思っていないフランス人がいることも事実なのである。

 戦争で多くの死者がでたことに加えてナチス占領時代のフランスではユダヤ人迫害に手をかしたフランス人も多かったのだ。ルイ・マル監督の映画『さよなら子供たち』はある転校生と級友とのつかの間の交流を描いたものである。

 その転校生はユダヤ人で何とかそれをごまかそうとしていたのだが、調理場で働く少年によってゲシュタポに密告されてしまう。3人のユダヤ人少年たちと神父が連れ去られる場面は幾度見ても胸が苦しくなる。これは実話であるが、こういったことはフランス全土で起きたことなのである。

 そんな苦い記憶を乗り越えてフランスとドイツで共通の歴史の教科書を使うことが検討されている。このプロジェクトは2003年のエリゼ協定40周年時に発足し、07年秋からこの教科書の導入が開始される。

 8人の歴史家(各国4人)が概略を話し合い、高校生用に3冊の歴史教科書を共同執筆するのである。共通部分は4分の3で、残りはそれぞれの国で異なる。はじめに使用されるのは、ヨーロッパクラスのバイリンガルコースと海外にあるフランスの高校でまだはっきりとした数字はわからないが1万冊以上になる見込みである。これは強制ではなく教師はこの教科書以外のものを選択することも可能である。

 欧州連合が拡大しつつある中で、フランスとドイツの連携は必須である。「ヨーロッパ市民として共通の歴史認識を持つ」というこのプロジェクトの意義は大きいといえるだろう。

    参照

  ノルマンディー上陸作戦から60年 記念式典のテレビ中継について
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  Au revoir les enfants さよなら子供たち【字幕版】(1987)

ルイ・マル監督がえがくナチス占領時代のフランス。子供たちの心理描写が素晴らしい。家族でみてほしい名作だ。

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2007.10.05

フランス小さな村の物語、ロクロナン

  NHKでフランス秋色散歩 ブルゴーニュ 小さな村の豊かな実りの第一回放送を見ました。Bretagneブルターニュの「フランスの最も美しい村々」のひとつLocronanロクロナンも登場しましたね。村の全景は最初にでききましたが、家並みはあまり紹介されておらず少し残念でした。

  また放送で用いられていた「ケルト人」という名称も気にかかりました。ブルターニュにはケルトの末裔であるブルトン人が住んでいます。そして以前にも触れたことがありますが、ケルトというのは民族や人種を示すのではなく、インド・ヨーロッパ語族に属するケルトの言葉を話す人々を指します。ですから「ケルト人」という名称は違和感があります。ヨーロッパでケルトを自分たちの祖先の一つに数える国は20カ国以上あるのです。もちろんケルトが栄えたのは紀元前のことであり、まだどんな生活を営んでいたのか、論争が続いています。

  ところで、NHKで今年1~3月に放送された「フランス小さな村の物語」が今再放送されているようです。ちょうど、今日の朝Locronanロクロナンの物語が再放送されたようですが、知らなかったので見逃してしまいました。夜の放送はこの番組を編集したものだと推測しました。

  この「フランス小さな村の物語、ロクロナン」を録画された方はいらっしゃいませんか。ぜひご連絡ください。お待ちしております。

   うちはケーブルテレビにはいっているのですが、さて2日目の放送を見ましょうと準備していたら、ハイビジョン放送がうつりません。近所の友達に電話して聞くと「10月1日から見えなくなったんじゃないの」というのです。結局1日だけだったのね。悲しいです。こちらも録画されたらどなたか見せてくださいませんか。

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NHK ブルゴーニュ特集

  今晩5日から13日まで8日間にわたり、NHKでBourgogneブルゴーニュ特集 小さな村の豊かな実りがあります。特に今晩は今日は「フランスの最も美しい村々」に選出されているChâteauneuf-en-Auxois シャトーヌフ・アン・オーソワ村から生中継ですのでお見逃しなく!この村にある城は中世の城砦建築のなかでも傑出しているそうですから楽しみです。

10月5日(金) プレミアム10 午後10時~11時 総合/BShi 「プレミアム10 生中継 秋のブルゴーニュ フランス小さな村の物語」<ソムリエ 田崎真也>

10月6日(土) 午後10時~10時44分 BShi シャトーヌフ・アン・オーソワ村 「秋本番!狩猟祭り」 <ソムリエ 田崎真也>

10月7日(日) 午後10時~10時44分 BShi
レジー村 「素朴な村のりんご祭り」 <女優 岸惠子>

10月8日(月) 午後10時~10時44分 BShi
ブランシオン村 「秋のキノコづくし」 <女優 岸惠子>

10月9日(火) 午後10時~10時44分 BShi
サヴィニー・レ・ボーヌ村 「極上のワインを愛でる」<エッセイスト 玉村豊男>

10月10日(水) 午後10時~10時44分 BShi
サン・クリストフ・アン・ブリオネ村 「食通垂涎!シャロレー牛」<エッセイスト 玉村豊男>

10月11日(木) 午後10時~10時44分 BShi
フラヴィニー・シュル・オズラン村 「ボンボン飴と農家レストラン」<エッセイスト 玉村豊男>

10月12日(金) 午後10時~10時44分 BShi
ノワイエール・シュル・スラン村 「世界三大珍味=トリュフの“首都”」<女優 岸惠子>

10月13日(土) 午後11時~11時44分 BShi
シャスラ村 「盛況!クリ祭り」 <女優 岸惠子>


ハイビジョン放送が見えない我が家のケーブルテレビですが、15日からはじまった再放送はBSですので放送を楽しんでいます。内容に関連するテーマについてもこれから書いていこうと思います。

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2007.10.04

ガラスの器で魚のスープ 

Soupe

  気候がめまぐるしく変化する秋。9月17日の夜、St-Malo サン・マロで友人と待ち合わせをして午後9時ごろ外に出ると、嵐のような強風にふきとばされそうになった。体感気温は5度くらいだっただろう。薄着をしていたので寒かった。

  こんな時にたのんだのはSoupe de poisson 魚のスープである。伝統的な魚スープは以前こちらで紹介したことがある。この夜の器は透明のガラスだった。最近のレストランはこういった高さのある盛り付けをよく見かける。

  味は少々スパイシーだったと思うのだが、おしゃべりに夢中でメニュー名もメモしていなかったのではっきりとした味覚を覚えていない。Cafe_de_louest_1メインの皿はほたて貝のバルサミコ風味だったと思う。皿にもソースで模様を書いてある。

  場所はお城の入り口の向かい側。いつも賑わっているのだが、大風と夕方から急に気温が下がったためかすいていた。考えてみれば、St-Malo サン・マロの城壁の中で夕食を食べたのははじめてだ。ここは夜の雰囲気がよかったのでよかったらどうぞ。

Café de l'Ouest
4 Place Chateaubriand - Intra Muros -
35400 Saint-Malo
Tél. : 02 99 56 63 49
  

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2007.10.02

シードルとワインの産地をゆく

Vigne

  9月に訪ねたフランスの町をまとめてみました。滞在時間はそれぞれ異なりますが、2週間でこれだけ立ち寄りました。下線を引いた4箇所は世界遺産に登録されているところです。前半のサン・ドニ以外は30人の団体行動。某協同組合の海外視察旅行に同行。案内や通訳をさせていただきました。名産のシードルになるリンゴの木にたくさん実がなっていました。

 パリ Paris, Saint-Denis

 ピカルディー Chantilly
 サントル Chartres
 ブルターニュ Saint-Malo, Dinan, Fougers,
 ノルマンディー Mont-Saint-Michel, Bayeux, Arromanches, Falaise, Honfleur, Beuvron en Auge, Le Havre, Etretat, Rouen, Giverny

  後半は一人でレンタカーで移動。各地で取材をしました。特にNantesの企画展示と、Beauneに行くことができ意義深い旅になりました。ちょうど木々が紅葉していて、落ち葉が舞っていました。上の写真は収穫まじかのワイン畑の様子です。今度はブルゴーニュのワインカーブを巡りたいものです。

  またラグビーのワールドカップ開催中なので、国中がいつもにも増してお祭り騒ぎになっていました。ただ全体の移動距離が長かったのでまだ旅をしている夢を見ています。

 ブルターニュ Rennes
 ロワール Nantes
 ブルゴーニュ Brianny, la ferte loupiere, Auxerre, Vezelay, Avallon, Autun, Beaune, Dijon


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