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2007.10.06

教科書で伝える歴史

  沖縄戦の集団自決を教科書から削除するか否かが問題視されている。この報道を読んで、2005年に自分で書いた記事を思い起こした。沖縄戦での「日本人としての共通の歴史認識」について、もっと真剣に語り合うべきだと思う。


  「フランスとドイツ、共通の歴史教科書作成」

 今年は第二次大戦終結から60年目の節目にあたり5月に各国で記念式典が開催されたことは記憶に新しい。また昨年のノルマンディー上陸作戦(1944年6月6日)60周年の式典でも戦後はじめてドイツのシュレーダー首相とドイツ人退役軍人が招待されたことも話題となった。

 そしてフランスとドイツの退役軍人が互いの戦争体験を語り合い、手を取り合う場面がテレビで放映された。彼らは少なくとも70歳代後半である。このことが画期的であったということは裏を返せば、そのわだかまりがとけるまでそれだけの歳月が必要だったということだ。

 いまのフランスの若者たちはドイツに対して特別な感情をいだいているわけではなく、欧州連合の同胞ととらえているが、まだ戦争の記憶をひきずって、ドイツ人をこころよく思っていないフランス人がいることも事実なのである。

 戦争で多くの死者がでたことに加えてナチス占領時代のフランスではユダヤ人迫害に手をかしたフランス人も多かったのだ。ルイ・マル監督の映画『さよなら子供たち』はある転校生と級友とのつかの間の交流を描いたものである。

 その転校生はユダヤ人で何とかそれをごまかそうとしていたのだが、調理場で働く少年によってゲシュタポに密告されてしまう。3人のユダヤ人少年たちと神父が連れ去られる場面は幾度見ても胸が苦しくなる。これは実話であるが、こういったことはフランス全土で起きたことなのである。

 そんな苦い記憶を乗り越えてフランスとドイツで共通の歴史の教科書を使うことが検討されている。このプロジェクトは2003年のエリゼ協定40周年時に発足し、07年秋からこの教科書の導入が開始される。

 8人の歴史家(各国4人)が概略を話し合い、高校生用に3冊の歴史教科書を共同執筆するのである。共通部分は4分の3で、残りはそれぞれの国で異なる。はじめに使用されるのは、ヨーロッパクラスのバイリンガルコースと海外にあるフランスの高校でまだはっきりとした数字はわからないが1万冊以上になる見込みである。これは強制ではなく教師はこの教科書以外のものを選択することも可能である。

 欧州連合が拡大しつつある中で、フランスとドイツの連携は必須である。「ヨーロッパ市民として共通の歴史認識を持つ」というこのプロジェクトの意義は大きいといえるだろう。

    参照

  ノルマンディー上陸作戦から60年 記念式典のテレビ中継について
Au_revoir_les_enfants
  Au revoir les enfants さよなら子供たち【字幕版】(1987)

ルイ・マル監督がえがくナチス占領時代のフランス。子供たちの心理描写が素晴らしい。家族でみてほしい名作だ。

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