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2007.11.29

女王ボウディッカとウサギ占い

Voadicea

  ボウディッカ(ブーディカ)はブリテン島南東部に暮らすイケニ族の女王だった。領地はローマによる属州となったのだが彼らは自治を許されていた。王プラスタグスは遺言で2人の娘に統治権を継承した。だがローマはそれを無視して蛮行におよぶ。女王ボウディッカは鞭打たれ、娘達は強姦されたのだ。さらに王の親族たちは奴隷に落ちぶれる始末だった。

  部族の誇りを汚されボウディッカはAC60年、反乱軍の先頭に立つ。これに周囲の部族も協力し、ローマ軍の歩兵部隊は壊滅。7万人が殺戮された。しかしローマ軍の反撃にあい、ついに反乱は鎮圧された。反乱軍の犠牲者は8万人にのぼった。そして女王は自ら毒をあおって果てた。その決戦の前に行われたのがウサギ占いだった。

"Let us, therefore, go against (the Romans), trusting boldly to good fortune. Let us show them that they are hares and foxes trying to rule over dogs and wolves." When she had finished speaking, she employed a species of divination, letting a hare escape from the fold of her dress; and since it ran on what they considered the auspicious side, the whole multitude shouted with pleasure, and Buduica, raising her hand toward heaven, said: "I thank thee, Andraste, and call upon thee as woman speaking to woman..."

「これにより、私たちを(ローマ人へ)向かわしめ、勇ましさと幸ある未来をご信託ください。彼奴らが、犬や狼を御そうとする野ウサギか狐であることをお示しください」彼女(ブーディカ)は祝詞を終えると、衣の襟を開いて野ウサギを放ち、予言の儀を執り行った。野ウサギは吉を兆す方へ駆け、群集は歓喜の声をあげた。ブーディカは掌を天に高く掲げつつ述べた。「アンドラステの神よ、感謝を捧げます。ひとりの女として、女性である貴女へ…」
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  忘れ去られた女王ボウディッカの名声が高まったのは19世紀、ヴィクトリア朝時代だった。桂冠詩人のアルフレッド・テニスンは詩を書き、海軍フリゲート艦隊の名称にも命名された。写真はロンドン中心部、ウエストミンスター橋のたもとにある女王ボウディッカの像だ。

  Enya エンヤの歌うboadiceaは1986年に英国BBC局で放映されたテレビシリーズThe Celts 幻の民 ケルトのサウンドトラックThe Celtsとして制作されたアルバムの中の一曲。私はこのDVDをフランスで購入した。その時インターネットで検索して一番安かったのはカナダの会社だった。送料はフランス国内と変わらなかったので喜んでいた。ところがよく確かめずに、リージョン1を買ってしまい再生できない。フランスも日本と同じリージョン2なのでそこまで考えていなかった。どうしても中身を見たかったので悩んだ末にパソコンをリージョン1に変更。(リージョンの変更は3回しかできない)。おかげで、それ以降フランスでDVDが見えなかったといういわく付きなのだ。

  カエサルは「兎と鶏と鵞鳥を食べるのはよくない」と述べていて、それは神聖視されていたからだと考えられているが、一方で、ウサギが生贄にされることもあったようだ。これらについてはまた次回に。

  ガリア戦記 (講談社学術文庫)
  ケルト神話・伝説事典
  海のかなたのローマ帝国―古代ローマとブリテン島 (世界歴史選書)
  世界古典文学全集〈第22巻〉タキトゥス (1983年)

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