船乗りはウサギが嫌い?
ウサギの足が縁起がよいと先日ウサギにまつわる話に書いた。そうするとフランスに住む友人から連絡があった。
「理由はよく知らないけれど船乗りはウサギを嫌うの。うちの主人なんて、子供がウサギのデッサンのついたTシャツを着ているとヨットに乗る前に脱げって言うのよ。ウサギを乗せると船が難破すると思っているらしいの」と言うではないか。ウサギは縁起がよいはずではないのか? ただのデッサンだけでもダメと信じられているのならこれは意味深だ。
そう考えているとフランス語で書かれたブルターニュの本にこれに関連する記述があった。「ウサギが船乗りにどうして恐れられているのだろう」というエッセイだ。ウサギは大航海時代に貴重な蛋白源として船に積み込まれていた。ところが逃げ出したウサギがロープや槙皮(まいはだ)を噛むこともあり、それが難破の原因となることもあったのだ。
だが、船内にはほかにも噛む習性をもつ動物がいた。それはネズミだが、こちらはそう悪いことばかりではない。ネズミがいることは航海が安全だと考えられた。なぜならネズミは乗組員の食料を食べる反面、船が沈没する前に逃げようとする。一方ウサギは船が沈むその時まで噛み続けているので、嫌がられるようになったと推測されるという話だ。
日本は来年ネズミ年。ネズミにあやかって運が向いてくると信じよう。
参考
女王ボウディッカとウサギ占い
槙皮:ヒノキやコウヤマキの甘皮を砕いて繊維としたもの。舟や桶などの水漏れを防ぐために、材の合わせ目や継ぎ目に詰め込む。のみ。のめ。
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コメント
はじめまして!
船乗りの視点から
「ウサギ」についてお話します
操船技術とは波との戦いです
波にはさまざまな種類がありますが
なかでも厄介なのが「三角波」です
文字通り三角形の波が次々と発生し
波頭が白く砕けるのが特長です
この海況を「ウサギが跳ねている」
と船乗りは表現するのです
港から沖を見て「ウサギ」が見えれば
その日は出港を断念します
沖に出てから「ウサギ」に囲まれたら
神さまにお祈りするしかありません
船乗りがウサギを嫌う理由は以上です
投稿: 逆風亭へさき | 2007.12.26 11:02
逆風亭へさきさま
コメントありがとうございます。
なるほど、「ウサギがはねている」と怖いですね。ウサギには大人しく寝ていてもらいましょう。
投稿: 市絛 三紗 | 2007.12.26 13:31