ボーヌの最後の審判 その1

Beaune ボーヌに着いたとき、曇り空からひとしずくの雨が落ちてきた。車を城壁の外に置いて、はやる心をおさえつつ街にはいる。

15世紀に建てられたHospices Civils de Beaune ボーヌ施療院は白い壁とardoise スレート葺きの真っ黒な屋根という簡素な外観だった。ブルターニュで見慣れた建物と同じだ。ところが中庭に一歩中にはいるとこのような美しい大屋根があらわれる。これは20世紀に修復されたものだが、15世紀の瓦を忠実に再現しているという。
順路にそってゆくといきなり大きな部屋になる。ここがボーヌ施療院の中核、la grande salle des pauvres 「貧者たちの間」だ。写真の奥に見えているのは礼拝堂だ。高い天井は木貼りで舟底をつくる技術を応用したもの。これもブルターニュの教会でよくあるものだ。梁から動物や人間の顔がにょっきりと突き出している。
この時代でも財力がありさえすれば専属の医者をやとい手厚い看護をうけることができた。
だが貧者は野垂れ死んで路傍の石となりはてるのがあたりまえだった。そんな貧者たちがここでは修道女たちから心のこもった治療を受けることができたのである。
ボーヌ施療院の患者ひとりひとりに割り当てられたベットの美しいことといったらどうだろう。人目を避けたいときは、カーテンをひけば完全な個室になる。このようなめぐまれた環境で静かに死と向き合うことができた人は幸せだったに違いない。
その2に続く
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