
これだけの施設を運営するには多額の経費がかかる。Nicolas Rolin ニコラ・ロランはまず、塩田からの収入を積立てて経費をねん出しようとした。この塩田は妻の実家であったサラン家が所有していたもので、ブルゴーニュ公国の重要な産業だった。
加えて、自分が所有していたブドウ畑を施療院に寄付し運営費の一部とした。この施療院があるボーヌの周辺は、ブルゴーニュワインの産地がひしめいている。施療院の評判が高まるにつけ寄付されるブドウ畑も増加する。そして今では60ヘクタールのブドウ畑を持っている。Hospices de Beaune オスピス・ド・ボーヌの名前を持つワインはその品質でも高い評価を得ている。
このボーヌで毎年11月に開催されるワインのイベントはLes Trois Glorieuses 栄光の三日間と呼ばれている。初日はConfrérie des Chevaliers du Tastevin ブルゴーニュ利き酒騎士団 の入団式と晩餐会。2日目にオスピス・ド・ボーヌのVente aux enchères des Hospices de Beaune チャリティー・オークション。3日目がLa Paulée de Meursault ムルソーで収穫を祝う昼食会だ。
昨年2007年のチャリティー・オークションは冷夏にもかかわらず前年より27,10 %上昇し4,291 millions d’euros(約70億円)の高値がついた。特に赤ワインは38 %の伸びを示した。(フランス語の新聞記事を続きにはりつけておく)。この収益金はHospices Civils de Beaune ボーヌ施療院の運営のほか、Programme "personnes âgées" de la Fondation de France 高齢者基金やl'Unicef France ユニセフ・フランスへの寄付にあてられる。
写真はボーヌ施療院の厨房。20世紀初頭の厨房を再現したものだ。蛇口の先が白鳥の首になっていて非常に優雅。あくまでも最高のものを目指した創始者Nicolas Rolin ニコラ・ロランの意志はこのボーヌに生き続けている。
Hospices Civils de Beaune 公式ホームページ
ボーヌで死ぬということ―「中世の秋」の一風景
著者は私が敬愛するフランス文学者である。その知識の豊富さは言うまでもないが、読む度に魂が揺さぶられるのだ。「限りなく与えつくし、忍耐をもってすべて受け忍ぶ、犠牲の精神」私のような凡人にはとうてい到達できない境地だが、どう生きるかを考えさせられる名著である。ぜひ一読を!
オスピス・ド・ボーヌ2005年のワインを購入する
オスピス・ド・ボーヌ2004年のワインを購入する
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