ラリック社、スイス企業が買収

René Jules Lalique ルネ・ジュール・ラリック氏(1860- 1945)といえばアール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代にわたって活躍したフランスの宝飾デザイナー。パリのルーブル美術館のすぐ横にあるMusée des Arts Décoratifs 装飾美術館やMusée d'Orsay オルセー美術館などでその作品を見ることができる。
ラリックは16歳で金属細工師に弟子入り。1900年のパリ万国博覧会で注目を集めた。その技術の高さと芸術性に魅了されヨーロッパ各国の王室、アメリカやアジアの富豪までもがこぞって彼の宝飾を買い求めたほどだった。その後50歳を迎えた1910年頃からガラス工芸に転向し、1910~30年代のアール・デコ期を代表するガラスの巨匠として活躍。工場で花瓶、置時計、テーブルウェア、アクセサリーなどの生産を行うようになった。日本でも1932年に旧皇族朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)のガラスの扉やシャンデリアなどの製作をしている。
本人が亡くなってからも事業は息子のマルク、そして孫娘であるマリー=クロードに受け継がれていた。彼女はハンドバッグやスカーフなどの商品も手掛け事業を拡大。米国や日本にブティックを構えた。英ロック歌手エルトン・ジョンさんのエイズ撲滅基金に賛同して作品をデザインしたことでもあったが、1994年にラリック社の株をPochet ポシェ社(1623年創業のポシェは、ジャンポールゴルチエ、ディオール、ケンゾーなどを顧客とする香水瓶や化粧品容器のメーカー。売り上げの7割はフランス国内と米国)に売却。しかし経営は赤字でかねてから売却先を探していた。ラリック社は社員600人(うち仏で425人)で、昨年の売上高は6700万ユーロ。10年来で初めて営業黒字に転換していた。
そして今回スイスのアート&フレグランス社(売上高3500万ユーロ)が買収すると発表された。社長はスイスの富裕300人ランキングに入る実業家Silvio Denz氏でラリック作品の個人コレクターとしても知られている。これから2012年までに1200万ユーロを既存の工場に投資する計画。
ラリック社の買収には多くのファンドが関心を示していたが、最終的にラリック作品の価値を認める経営者の手に渡った。投機的な目的で売買されずによかったと思う。
参考情報
la cristallerie de luxe Lalique ラリック・クリスタル ホームページ
L'art nouveau ルネ・ラリックの宝飾品の写真がみられる。
René Lalique au Musée du Luxembourg 昨年パリMusée du Luxembourgで開催された展示会
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