Disparition de Jean Markale ジャン・マルカル氏とのお別れ
Jean Markale ジャン・マルカル氏(本名はJacques Bertrand)は私の本棚にもその作品が並んでいて、いつか会ってみたいと思っていた作家だった。生涯で102冊の本を出版。ケルト文化やアーサー王伝説のシリーズなどを次々と生み出し、それらは25ヶ国語に翻訳されている。
本棚からContes populaires de toutes les Bretagne ブルターニュの民話を取り出して読んだ。こういった地味な民間伝承を出版し続けた功績は大きい。検索してみると、Les grandes heures de la Bretagneのような新しい本もあった。
数年目のある日のこと、アーサー王伝説の残るBrocéliande ブロセリアンドの森にあるEglise de Tréhorenteucで彼の講演会があると知った。すでに何回か教会を訪ねたことはあった。しかしそのころは車を持っていなかったので、個人で行くにはバスでブロセリアンドの森、Paimpont パンポンまで行き、そこから自転車をレンタルするしかなかった。
たまたまバスで一緒になったスペイン人観光客と一緒に、レンタル自転車で教会を目指した。ところが、森の中はアップダウンがあって、自転車はなかなか前に進んでくれない。途中で何度も引き返そうと考えたほどだ。それでもJean Markale ジャン・マルカル氏に会いたい一心で何とかたどり着いた。やっと到着すると教会は閉まっていた。すぐ横に観光案内所があるのでそこで聞くと、「ジャン・マルカル氏の講演会は中止」だと言う。どっと疲れがおしよせてきて悲しかった。その帰り道の長かったこと。足がふらふらだった。
でもその数週間後にもう一度講演会あるのでまだ会えるチャンスはあった。ただもう自転車では行くのは無理だと思ったので、友人にたのみこんで連れていってもらった。「何を話そうか」と胸がおどった。やっと会えるはずだった。しかし、その日もJean Markale ジャン・マルカル氏はいなかった。そのままでは納得できないので、中止理由をたずねた。
何と、本人はアイルランドに行っていて留守。観光案内所の人が自宅に問い合わせると奥さんがそう言ったそうだ。約束を忘れていたのか、急用ができたのかはわからないが、わざわざ連れて行ってくれた友人にも申し訳ないことをした。ブルターニュの書店には彼の本がずらっと並んでいて、その本を見る度に本人と会える日を信じていた。L'agence Bretagne Presseのニュースを見るまでは・・・そっとロウソクに火を灯ししばらく祈った。
ひとり、またひとりと大切な人たちが去ってゆく。いつかなどと悠長に考えていてはいけない。今日できることは明日にのばしてはいけない。何だかむしょうにブルターニュの空気を吸いたくなった。
日本で買えるJean Markaleさんの本。
Disparition de Jacques Bertrand, plus connu sous le pseudonyme de Jean Markale ABP
Nécrologie. Jean Markale un passionné de celtisme Le Télégramme
Jean Markale, spécialiste de la mythologie celtique, est mort Figaro
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