フランス映画字幕翻訳者 秘田余四郎さんの偉業
秘田(ひめだ)余四郎さんという名前を聞いたことがあるだろうか?私は数日前まで全く知らなかった。開催中のターシャ・テューダー展を見にでかけて、館内を一周してたまたま覘いたのが「生誕100周年、映画字幕の名工・秘田余四郎展」だった。少々色褪せた映画のポスターや手書きの原稿がところせましと並んでいる。
「誰この人」と思いつつ、写真を見た。名前さえ知らないその人は、誰でも知っている多くのフランス映画に字幕をつけた人だった。会場内をグルグルまわっているうちに、その内容の濃さに頭がクラクラしてきた。こんなにすごい内容の展示がすぐ近くにあることをこれまで知らなかったことを自分で腹立たしく思うと同時に、見ることができてよかったという思いが交錯する。
「天井桟敷の人々」、「禁じられた遊び」、「赤と黒」、「レ・ミゼラブル」、「かくも長き不在」、「シェルブールの雨傘」などのフランス映画に加えイギリス映画「第三の男」などの字幕も手掛けている!!!25ページもあるカラーのパンフレットが100円だったので、とりあえず3部買って家に帰った。
一気に読んでしまったのだが、映画だけでなく、ジュール・ヴエルヌなどフランス文学の翻訳本も少なくはなかった。それなのに秘田さんのことは記憶にない。そこで本棚から一冊の本を探してみた。映画100年 STORYまるかじり―フランス篇は映画のあらすじと監督、俳優、美術、録音、音楽などの情報が詳しくのっていて、これを参考にビデオを借りたりしていた。しかし、字幕翻訳者の情報はない。
実際に字幕監修者の記録は所属していた東和(現東宝東和)にも存在しないので、他の人の記憶に基づいて判断するしかないそうだ。右が確認されているリスト(クリックで拡大)だが、もしかすると秘田さんはさらに多くの作品の字幕にたずさわったのかもしれない。もっともっと秘田さんのことを知りたいし、たくさんの人たちにこの偉業を知ってもらいたいものだ。
【生誕100年 映画字幕の名工 秘田余四郎(ひめだよしろう)展】
徳島県立文学書道館: 088-625-7485
→2008年11月26日(水)~2009年2月13日(金)
9:30 ~ 17:00 休館日 月曜日
秘田余四郎さんの翻訳書
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