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2009.02.08

フランスの大学、「ペクレス改革」に異議あり

  La ministre de l'enseignement supérieur, Valérie Pécresse 高等教育担当大臣ヴァレリー・ペクレスの「ペクレス改革」に反対する大学の教員や学生がデモやストライキを繰り返しているのだが、強気の大臣に対抗してついに無期限ストライキに突入。

  そのAppel international à tous les universitairesを現在ブルターニュに滞在中の東北大学、小田中教授が翻訳されたので、こちらで紹介させていただく。

Appel international à tous les universitaires 「すべての大学関係者に対する国際アピール」 2009年2月4日(水) ピエール・クレペル、ティエリ・デュモン、ジェローム・ジェルモニ(フランス、リヨン第1大学カミーユ・ジョルダン研究所)

フランスの大学は無期限のストライキに入った。
フランスは、独立と自由と敬意を享受する、高等教育および優れた研究の公共サービスを有していた。政府は、ここほんの数ヶ月で、暴力的に、しかもなんの合議もなく、この公共サービスを破壊し、不安定性と恣意性が支配する一種の知識マーケットに変質させることを決定した。
- (教育と研究を担当する)教員は安定な身分を失い、授業時間数は(学長の一存で)どうにでもなり得る様になる。
- 独立性をもたず不安定な非常勤教員と入れ替えるために、常勤教員のポストは劇的に減らされようとしている。
- 博士候補生に対し、大学は、最初の6ヶ月については、何の理由もなくその身分を奪う事が出来る様になる。しかもまた、当人には何の了承も得ず、そして何の権利も持たせず、企業の為に奉仕させられる事になろうとしている。
- 初等•中等教育教員の養成するシステムは破壊されている。
- (何よりも競争にさらされ、国家の強化された支配下で)「自主独立化」し、充分な予算を持たない大学は、まもなく授業料を徴収せざるを得なくなり、また地元財界に服従せざるを得なくなる事は、想像に難くない。
- フランス国立科学研究センター(CNRS)は廃止され、テクノクラート(高級管理職技術者) による予算配分機関に変えられている
- 研究者は、すべての学会から拒絶された不適切で馬鹿げている「定量的」な基準にもとづいて評価される。

我々、全ての国の大学関係者および研究者は、ここに、世界各地でおしつけられてきた(そして今日もおしつけられようとしている)官僚主義的で金銭至上主義的で危険な方策を見いだす。

以上の理由から、我々は、フランスの大学関係者と連帯する。『百科全書』、ボルテールやルソー、更に「人権宣言」を生んだ国において、教育と研究が一種の商売に貶められ、諸々の権力の恣意に左右されることになるとすれば、そこで脅かされるのは全世界の自由である。

是等の新たな状況を強いる諸々の圧力が、一気に押し寄せて来ている。我々の存在価値を守る為には、我々はこれまで以上に、そしてこれら諸勢力以上に団結しなければならない。それゆえ、我々は、大学関係者たちに対して、この様に広められつつある、如何なる時代の人文主義的知識人も、誰一人として味方しなかったこの偏流に直面する今日、政治的、哲学的、あるいは宗教的な立場の違いを越えて団結することを訴える。

  La grève dans les universités s'amplifie Le Monde 05.02.09


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コメント

ご紹介いただき、ありがとうございます。もっとも、ぼくは下訳を(おしかけ的に)お手伝いしただけで、リヨン第1大学にいらっしゃる日本人の教授がかなり修正してちゃんとした文章にしてくださいました。

それにしても、今回は大学教員がデモ&ストに参加しているというのが、かなり画期的だと思います。5日には各地でデモ&ストがあり、10日にはパリで大規模なデモが予定されています。11日には、とうとうペクレス大臣と大学関係者との話合いの場がもたれるようです。さて、どうなるか。

ちなみにこの11日、当方はレンヌ第2大学でセミナーを予定しているのですが、デモ&スト好きで知られるレンヌ第2大学だけに、大臣に圧力をかけるべく山猫ストでもするんじゃないかと期待……もとい心配しています。

投稿: 小田中直樹 | 2009.02.09 04:43

こんにちは

ブルターニュ出身で日本の高校で英語を教えている女性は、「日本で学校の先生がストをしないのに驚いた。自分の給料が下がるというのに、怒ったりしないのはフランスではありえないこと」と言っていました。

同時に高校生が政治にあまり関心を持っていないことにも違和感があるようです。レンヌでは高校生が道路、地下鉄、鉄道を封鎖している光景が珍しくないのですから。

でもフランスではストライキが長期化してしまいますので、「学ぶ権利もうばわれてしまう」こともしばしば起きます。レンヌ第2大学でそれを実感しました。またデモに便乗して破壊行為におよぶ人がいるので注意も必要です。

投稿: 市絛 三紗 | 2009.02.09 10:34

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