ベルサイユ宮殿で開催予定 村上隆氏の展示会に非難の声
村上隆氏作品展に極右反発 仏ベルサイユ宮、デモも【パリ共同】パリ郊外の世界遺産ベルサイユ宮殿で9月に予定されている日本の現代芸術家、村上隆さん(48)の作品展に対し、フランスの極右や保守勢力などから、歴史遺産を冒涜するものだとの批判が噴出、作品展の中止を求める抗議デモや訴訟が準備されていることが分かった。フランス公共ラジオが28日伝えた。
同宮殿は2008年から毎年、前衛芸術の最先端作家を紹介する作品展を開いており、村上さんは3人目。作品展の責任者ジャンジャック・エラゴン氏は「古い装飾の中に置かれる現代アートは人々の関心をそそる。これは知性への招待状なのだ」と作品展開催を擁護した。
作品展では、村上さんがマンガなどから着想したオブジェなど約20作品が、ルイ14世の居室や第1次大戦の講和条約が結ばれた「鏡の間」などに展示される予定だが、インターネット上で「ベルサイユ、わが愛」を名乗る団体は「現代アートの挑発に反対する」と宣言、約3500人の賛同を集めた。サイトの主催者は作品展開幕の9月14日に宮殿前で抗議デモを予告している。 共同通信
フランス人にとってのベルサイユ宮殿は日本でいえば江戸城や皇居にあたるだろうか。太陽王ルイ14世からルイ16世と王妃マリー・アントワネットの時代までフランス絶対王政の象徴的建造物であり、世界遺産に指定されている。フランス革命の混乱時に破壊が進んでいたが、近年当時の家具が買い戻され王室の暮らしぶりがよくわかるようになっている。
村上隆氏の個展に反対している団体は現代アートというだけで反対しているのではない。彼の一部の作品が露骨な性表現をしているからだ。My Lonesome Cowboyは裸の男性が立ち、むき出しの男性器から精液が飛び散っているというもの。2008年にニューヨークで開かれたサザビーズのオークションで、1516万1000ドルで落札されているから知名度は高い。またHiroponは女性の乳房からミルク状の液体が噴出するという作品なのだ。
フランスは予想外かもしれないが、カトリック信者が多いため保守的な考え方が根強く残っている。今回の個展ではこれらの作品は展示されないようだが、ベルサイユ宮殿を愛する人々にとっては品格がないとみなされたようだ。
また«Union nationale des écrivains de France»フランス作家協会は「漫画」に対してもベルサイユ宮殿にはふさわしくないと述べている。この論議は2008年に開催されたアメリカ人アーティストJeff Koonsの展示会の時にすでにはじまっていた。
村上隆氏の展示会に抗議する人々は署名をあつめ、14日にはデモも予定。非難の声はブルボン王家末裔をまきこみ加熱している。
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