フランスの牡蠣が大量死滅 日本産稚貝の緊急輸入
フランスの食卓には欠かせない牡蠣ですが、2008年から大量の稚貝が病死。フランス国立海洋開発研究所ではその原因をバクテリアや「OsHV-1」というウイルスではないかと推測していますが、効果的な対策がうちだせないままもう2年が経過。収穫量が減少しているので、牡蠣の価格が高騰しています。消費が増える昨年のクリスマス、牡蠣の価格は数年前と比較すると30-40%も高くなっていました。
そしてこのままでは牡蠣が絶滅するおそれがあるとの危惧が広がっています。以前Cancale カンカルの生牡蠣で紹介したようにフランスでは1960年代の終わりから70年代にかけて、牡蠣に病気が蔓延。全滅の危機においやられたことがありました。そこで、宮城のHuître creuse マガキをフランスに輸入したのです。
右の表を見てください。Production d'huîtres creuses par région フランス国内の地域別ヒラガキ生産高を示したものです。もともとフランスでとれていたBelon ブロンというHuîtres plate ヒラガキと比較してHuître creuseマガキがいかにフランスに順応したかがいただけるとわかると思います。そこで牡蠣を蘇らせるために昨年ブルターニュから宮城県気仙沼市にある水山養殖場に牡蠣業者が視察に訪れ、稚貝500個体と成体150個体を持ち帰ったのです。まだ今は試験段階ですが、この牡蠣が再びフランスで繁殖することを願ってやみません。
欧州で広がる宮城県産カキ 仏産、病気で大量死 稚貝を大量輸入へ 2010/10/16 16:22 日本経済新聞【パリ=古谷茂久】欧州一のカキ生産国フランスで原因不明の病気により稚貝が大量に死滅し、政府と養殖業者らは日本産稚貝の緊急輸入の検討を始めた。仏のカキは1960~70年代にも病気で全滅しかけ、宮城県産の稚貝を導入して立て直した。それ以来、日本産のカキが定着しているが、今回の危機で欧州の食卓には、日本のカキがさらに普及することになりそうだ。
仏国立海洋開発研究所と仏貝類養殖業者評議会の専門家グループが来日し、日本で養殖されているカキの品種を試験用に持ち帰った。宮城県産の稚貝500個体と成体150個体も近く日本から仏向けに発送する。仏の研究所で病気への耐性や食味などを調べる。
評議会のグルバン・ブレスト会長は「試験は2カ月ほどかかる。優良と確認された場合は、日本から大量の稚貝を輸入することになるだろう」と話す。ただし出荷は早くとも5年後になるという。
仏では2008年からカキ養殖場で稚貝の大量死が相次ぎ、養殖業者が大打撃を受けている。ウイルスが原因とされるが詳細は不明だ。書き入れ時となるクリスマスシーズンの今年の出荷量は、例年の半分程度に激減する見通し。5月にはパリで養殖業者が支援を求めカキ殻をまくなど抗議活動を行った。仏政府は大量死滅で被害を受けた養殖業者向けに資金支援を検討している。
Noël de crise pour les producteurs d'huîtres creuses Libération 21/12/2010
Les prix des huîtres flambent pour Noël Ouest France 15/12/2010
France-Okaeshi(フランスお返し)プロジェクト 東日本大震災後、フランスの牡蠣業者からの支援が続いています 2011.07.09
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