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2011.01.04

絶滅危機のブルトン語、フランスは多様性と向き合えるか

  CNNでこの記事が掲載されてから、「ブルトン語」で検索してくる方がふえています。これまでに数多くの関連エントリーを書いていますが、まずNHK テレビでフランス語 La langue bretonneを読んでいただくと、現状がわかっていただけるのではないかと思います。ブルターニュにはフランス語以外にブレイス語とガロ語が存在しています。La langue bretonneは日本語ではブルトン語と訳されていましたが、最近ではブレイス語と表記することが多くなっています。



絶滅危機のブルトン語、フランスは多様性と向き合えるか
2011.01.02 Sun posted at: 10:50 JST

フランス北部ブルターニュ地方のカンペールにあるクレープ店。昼時には肉やチーズや卵たっぷりのガレットを楽しむ客でいっぱいになる。

クレープがフランス料理の文化として欠かせない存在になる一方、ブルターニュ地方独特のもう1つの文化、「ブルトン語」は、話し手の高齢化に伴い絶滅の危機に瀕している。

ブルトン言語局によると、20世紀初頭の時点でブルトン語を話す人は約200万人いた。しかし今ではユネスコ(国連教育科学文化機関)の統計で約25万人に減り、深刻な絶滅の危機に瀕している言語に指定された。

しかもブルトン語を使う人のほとんどは70歳以上の高齢者が占め、毎年約1万人のペースで減っている。

ブルトン言語局の局長は「ブルトン語はわれわれの文化とアイデンティティーの中心的存在」「もし言葉を失えば、すべてを失ってしまう」と危機感を募らせる。

ブルターニュは歴史的に、フランスとは違う独自の文化を育んできた。5~6世紀にかけてケルト人が英国から移り住み、住民は今でも遺産として受け継いだケルト伝統の音楽と文化に誇りを持つ。その文化はフランスよりも、英コーンウォール、ウェールズ、アイルランドに近い。

16世紀にはフランスに併合されたが、正式な国家に組み込まれたのはフランス革命後の1789年だった。

これに伴ってフランス語が公用語となる。地元の言葉は「野蛮な」過去の象徴であり、捨て去るべきものとされた。ブルターニュのほか、南西部のコルシカ、アルザス、バスクなどの地方には今もそのつけが残る。

専門家によると、フランスの状況はスペインや英国など少数言語を持つほかの欧州の国に比べ悪いという。フランスは「欧州地方言語・少数言語憲章」を批准していない数少ない国の1つ。保護活動家は、欧州言語の多様性を保つためにはこの批准が欠かせないと訴えている。
ブルトン語など地域独自の文化を公認しないフランスの姿勢を、ロマ人の追放やイスラム教徒のブルカ着用禁止といった少数者に対する姿勢と結びつける向きもある。

ブルターニュのジャーナリスト、ヤン・リバレン氏は「フランスは多様性が非常に苦手だ。フランスの政治文化には、外を恐れ、内をも恐れる部分がある」と話す。

ブルトン語と国との関係が最悪になったのは第2次世界大戦後だった。運動家のほとんどがドイツに協力した疑いをかけられ殺害された。その後も長年の間、学校ではブルトン語が禁止され、公園には「地面につばを吐いたりブルトン語を話したりしないこと」という注意書きが貼り出された。

多くの家庭では、文化の後退とみなされた言語が子供たちにとって不利になることを恐れ、ブルトン語を次世代に伝えないことを選んだ。リバレン氏はこれを、現代でもアラブ系などの移民がフランスの生活に溶け込むのが難しい現実と重ね合わせる。

「自分の言葉や出身や伝統を捨て去れば、フランス人であることの素晴らしさを享受できるという考えだった。しかし2代目、3代目は、現実にはそうなっていないことに気付いている」「この地でも同じだった。私の両親はすべてを捨てろと言われ、そうすれば仕事に就き、近代的な生活ができると言われたが、長い間それは実現しなかった」とリバレン氏は述べる。

近年になってようやく、地域の問題に関心を持つ地元組織や政治家がブルトン語保護活動の支援に乗り出した。バイリンガルの標識が普及し、ブルターニュ独特の音楽と文化の祭典「ロリアン・インターケルティック祭」が毎年開かれるようになった。

2008年には地域言語を「フランスの文化遺産の一部」と認定する憲法改正案がフランス国民議会を通過。すべての子供に地域言語教育を保証する内容の地域言語法案も提出されている。

フランス文化コミュニケーション省のザビエル・ノース氏によれば、政府は地域言語の発展のために年間100万ユーロを拠出し、バイリンガルの教員採用や保護団体のバックアップなどを行っている。フランス全土で既に40万人の児童・生徒が地域言語の授業を受けているという。
しかしリース氏は、フランスの状況は欧州のほかの国とは大きく異なると述べる。すべての県とフランス領を合わせると、使われている言語は75もあると指摘し、それを公認すれば「フランスの本質そのものが危うくなる。これらすべての言語を公認するのは困難だ。歴史的には、フランスはフランス語の上に成り立ってきた」と話す。

また、ブルトン語は言語保護下にあるものの、話し手が急減していることもあり、政治的認定も手遅れとなって衰退は食い止められないかもしれないと懸念する声もある。「話し手の数は20万人から10年後には7万人に減るだろう。非常に危うい状況だ」とリベレン氏。

ブルトン語保全活動の最前線では、次世代にこの言語を根付かせることを目指し、幼児教育から大学入学準備教育までほぼすべての授業をブルトン語で行う学校「ディワン」(ブルトン語で「種」の意味)ができた。「ブルトン語を話すお年寄りはどんどん減っている。この言語を死滅させたくなければ、新しい世代に話し方や読み書きを教えなければならない」と同校の教員は言う。

リバレン氏は、21世紀のブルターニュが独自性を誇れるようになるためにも新しい世代がこの言語を活性化させ欲しいと話し、「学校でバイリンガル教育を受けた第1世代の登場で、ここ3~4年のうちに至る所でブルトン語を耳にするようになった」と期待を寄せる。

4歳の娘をディワンに通わせている母親は、父親の母語がブルトン語だったにもかかわらず、自分が子供の時はブルトン語を学ぶ機会がなかったと打ち明けた。今は娘と一緒にブルトン語んでいるといい、「学校でブルトン語を話すと罰せられた祖父のために、ブルトン語のルーツを根付かせたい」「娘はブルトン語で歌を歌ったり数を数えたりするようになった。父は自宅でブルトン語の歌が聞けることをとても喜び、やや感傷的になっているようだ」と話した。


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 さらに知りたいかたはカテゴリーのブルターニュ情報1,2をお読みください。


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