ブルターニュの民話集 その1
ケルト関連の民話集はたくさん出版されていますが、ブルターニュ関連の文献は数えるほどしかありません。定期的に新刊をチェックしているのですが、タイトルにブルターニュと記載されていないと見落としてしまうこともあります。このフランス民話集〈1〉 (中央大学人文科学研究所翻訳叢書)は2月末に発売されたのですが、気が付きませんでした。
そんなある日、ブルターニュのFañch Broudic ファンシュ・ブロディックさんから「フランス民話集をもう読んだ?」とメールが届いたのです。ブロディックさんはブレイス語のニュースキャスターで伝統文化を守ることに情熱を傾けている人。日本語の文献情報まで知っているとはまいりました。さっそく購入して読みました。
この本はFrançois-Marie Luzel フランソワ・マリー・リュゼル、Adolphe Orain アドルフ・オラン、Paul Sébillot ポール・セビヨが編纂したブルターニュ全域にまたがる民話を抄訳したものです。 Luzel リュゼルはThéodore Hersart de la Villemarqué テオドール・エルサール・ド・ラ・ヴィルマルケが出版したバルザス・ブレイスの信憑性に疑いをいだき、Querelle du Barzaz Breiz バルザス・ブレイス大論争の口火をきった人物で伝承をそのままのかたちで保存することにこだわりを持っていたのです。
Adolphe Orain アドルフ・オランも民衆から聞き取りを行い、民話や歌を収集、風習もふくめたくさんの著書にして後世に残しています。Paul Sébillot ポール・セビヨは民俗学者としてブルターニュで200以上の民話を集めました。またブルターニュのみならずフランス各地の民話集を編纂し、学問として民俗学を確立させた功労者でもあります。妖精や魔法に満ちた不思議な物語や動物に変身する話、笑話など盛りだくさんな内容です。豊富な挿絵も服装や風景などブルターニュの様子がよくわかります。
かつて教養文庫やメルヘン文庫などから世界の民話集が出版されていました。我が家には様々な国のものが並んでいます。ブルターニュの書籍にのせてある「ブルターニュ幻想集」、「フランス妖精民話集」、「フランス怪奇民話集」などにはブルターニュの民話も多く紹介されています。その2ではさらに独特な民話集について書きますのでお楽しみに。
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