「幻想映画ヒロイン大図鑑」永遠の恋人から絶叫美女まで
映画がフランスで産声を上げてからまだ1世紀しかたっていない。その間「特殊撮影」や「コンピュータ・グラフィクス」など撮影技法が驚くほど発展し、想像の世界は無限の広がりを見せている。これまでにどれだけの映画が公開されたのか知らないのだが、何せ数が多いものだから特定の映画について調べようとすると図鑑でもないかぎりむずかしい。
先月末に幻想映画に登場する美女ばかりを網羅した「幻想映画ヒロイン大図鑑―永遠の恋人から絶叫美女まで」が発売された。著者とは以前からの知り合いで、とにかく映画が好きだという。そしてつい集めてしまった映画関連グッズにうずもれながら暮らしているらしい。
幻想映画ヒロイン大図鑑 目次グラフページ
(日本版ポスター集/ 日本版パンフ・プレスシート集/ メトロポリス資料/ 外国版ポスター・パンフ・プレスシート集/ 外国版ポスター・ロビーカード集/映画イメージ集 ほか)映画紹介
(吸血美女伝説/ 人造美女/ 異界から来た彼女/ 永遠の恋人たち/ 原始美女とジャングル美女/宇宙の美女/異界の女王/異形の愛/愛の奇跡/悪女と妖女/絶叫美女)
「幻想映画ヒロイン大図鑑」の前半100頁にわたりポスター、プレスシート、ロビーカードなど約800点がぎっしり詰め込まれているのだが、そのなかには個人で世界中からコツコツと収集してきた、今では手に入れるのが困難であろうお宝も多数紹介されている。これまで日本で幻想映画にしぼった解説書は出版されていなかったそうだ。
「銀幕のヒロイン」という言葉があるように美女ぞろいと聞けば中身をのぞいてみたくなるだろう。ごらんのように世相を反映した服装や髪型、化粧など見ているだけでもとても楽しい。また1960年代以前のB級、C級映画資料はマニア垂涎ものに違いない。
ここでひとつの作品に焦点をしぼってみたい。1955年のフランス映画「わが青春のマリアンヌ」である。「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」で知られる漫画家・松本零士氏が「ヒロインの美しさにボーっとしながら帰宅したのを覚えている。今もこれ以上の女性は現れていない」と絶賛する美女なのだ。
松本零士氏、映画への感謝を語る「生涯の夢を授けてくれた」 映画.COM 2015年5月2日
この映画の監督はフランス映画界の巨匠、Julien Duvivier ジュリアン・デュヴィヴィエ。フランス映画だが主人公のマリアンヌ・ホルトさん以外のキャストを変えてドイツ語版も同時に制作されるという特殊なものだった。
日本での公開にあたり字幕をつけたのはあの字幕翻訳者秘田余四郎さんだったのだ。デュヴィヴィエ監督の作品では「ゴルゴダの丘」「望郷」「旅路の果て」「巴里の空の下セーヌは流れる」「殺意の瞬間」などの字幕も手がけている。
わが青春のマリアンヌ [DVD]巨匠が描く美しく、儚く、そして残酷な通過儀礼。鹿が遊ぶ森と美しい湖を控えるイリゲンシュタット館には身寄りのない少年たちが暮らしていた。そこに、アルゼンチンからヴィンセントという少年がやってくる。少年たちと湖の対岸にある古城を訪れたヴィンセントは、マリアンヌとという美しい女性と出会う… 漫画界の巨匠、松本零士をはじめ伝説のロックバンド、ジャックスやアルフィーなど多くのアーティストに影響を与えた青春ドラマの傑作。
原題:MARIANNE DE MA JEUNESSE
制作:1955年・フランス
なお「アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待」は作品リストや年表が非常に充実しており、あわせて読むとSFやファンタジー映画の流れがよくわかるだろう。
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