いろいろ調べ物をするときに便利なのが百科事典Wikipediaウィキペディアである。これは誰でも無記名で記事を投稿できたり、またおかしなところを他の人が訂正できたりする百科事典なのだが、ここに記載された内容が事実と異なるものであっても、法的に名誉毀損の責任を問われることはないだろうというのである。
ことの起こりは2005年5月にのアメリカの元ジャーナリストで著述家であるJohn Lawrence Seigenthalerジョン・ローレンス・シーゲンソーラー氏の項目にジョン・F・ケネディおよびロバート・ケネディの暗殺事件にかかわっていた可能性があると記載されていたこと、そして経歴にも誤りがあったというもの。9月になってこの事実を知った本人がウィキペディアに対して何度も抗議したのだが、実際に訂正されたのは10月だった。
この経緯に業を煮やしたシーゲンソーラー氏は11月29日の「USAトゥディ」でウィキペディアを痛烈に非難した。その後同サイトを運営するウィキメディア財団(フロリダ州セントピーターズバーグ)のジミー・ウェールズ会長は12月5日、記事の投稿者にユーザー登録の義務を課す方針を明らかにした。
この便利な百科事典ウィキペディアは英語版だけで85万件を超す記事を掲載している。日本語にはまだ翻訳されていないものもあるので、私はフランス語や英語などほかの言語でも検索するようにしている。ウィキペディアはそれぞれの分野の専門家やボランティア執筆者が新しい記事を投稿したり、すでに掲載された記事を編集したりできるというオープンソースシステムを採用している。その内容に関しては投稿者の良識にゆだねられている状態である。またユーザー登録の義務を課すとはいうものの、投稿済みの記事を編集する際には、登録なしでも行なえるのである。
そして1996年に制定された連邦通信品位法(Communications Decency Act :CDA)第230条により、ウィキペディアは、たとえ誤った内容が公に掲載されていたとしても、名誉毀損の法的責任を免れることが出来るというのが専門家の見解である。なぜならウィキペディアはあくまでもサービスプロバイダだからである。
ウィキペディアはその豊富な情報量で読者をひきつけてきたわけだが、記事数が増えるほど誤りも増えることは想像しうることである。私もこれまでこのブログの中で何度かウィキペディアの記事を引用したことがあるし、ひとつの記事からリンクをたどってほかの項目を参照できるので、最近愛用している。それゆえこの論争は他人事ではない。だがいちいち疑っていたら切りがない。いったいどうしたものだろう。
参考資料
フリー百科事典ウィキペディアから
ジョン・ローレンス・シーゲンソーラー
ジョン・シーゲンソーラー・ウィキペディア経歴論争
「USAトゥディ」に掲載されたシーゲンソーラーによる論説
泣き寝入りしかないのか--Wikipediaの名誉棄損問題が投じた波紋 CNET Japan
拡大するフリー百科事典『ウィキペディア』の課題 WIRED NEWS
追加 2005 12 17
フランス語の項目を翻訳して投稿された方が、翻訳であることを言い添えなかったため投稿を採用されず「厳格すぎ!」と感じた体験をこちらに書いている。同時にかなり偏った執筆者の意向がにじみ出た項目もあるそうで、こうなってくると、ますます使い方に注意しなくてはいけない。
ウィキペディア百科事典は信頼できるにNature誌の行った調査ではWikipediaとBritannicaが正確な情報源として同レベルにあるという結論になったことを記載した。